ミニカーの「トミカ」について、精神科医の名越康文さんにお話を伺ったときのことだ。1970年代から2000年代までの10年ごとの売上げトップ5のリストを見ていた名越さんは「人気車種の変遷をたどることで、時代が見える」と驚いていた。

我们以玩具小汽车“Tomica”为主题,采访了精神科医生名越康文。名越老师见到了从1970年代到2000年代间,每10年Tomica玩具车的销售量TOP5的名单,震惊地表示:“追溯人气车种的变化,可以看到时代的变迁。”

70年代の1位はダンプトラック。以下ミキサー車、クレーン車、ブルドーザーと、日本の高度経済成長を支えてきた車両が並ぶ。これが80年代に入ると建設車両に加え、1位ハシゴ消防車、3位清掃車、5位救急車という「働く車」が入ってくる。これは豊かになった生活や健康、財産を守り、生命を育む管理社会を象徴し、国家が安定していることの証左であるという。

70年代排在第一位的是自(动倾)卸卡车。接下来便是搅拌车、大吊车、推土机等,罗列着支持着日本高度经济增长的车辆。进入了80年代,加上了建设车辆,第1位是阶梯消防车、第3位是清扫车、第5位是救护车,这些“工作型车辆”进入了榜单。这也是守护富裕的生活、守护健康、保卫财产、打造孕育生命的管理型社会的象征,也是国家安定的有力佐证。

しかし90年代に入ると変化が起きる。3位にパンダを運搬するトラックが入ってくるのだ。実際にパンダを檻に入れて外から見える状態で運搬することはあり得ないため、これは完全に架空の車両。名越さんは「管理社会が先鋭化して、個の時代を映す“キャラクター”が出現」「ミニカーはもともと実際にある車両をコピーしたキャラ的要素を含むものなので、キャラクターの出現は必然」と語っていた。

但是,一进入90年代就发生了变化。排在第3位的是搬运熊猫的卡车。实际上,将熊猫放在笼子里,以一种从外面完全能看到的状态搬运是不可能的,所以这是一种完全架空的车辆。名越老师说道:“社会管理激进化,于是出现了映照时代的‘角色’”“本来玩具小汽车就是拷贝实际上存在的车辆,包含着一定‘角色性’要素,所以特殊角色的小汽车横空出世也是必然现象。”

その変化は2000年代に入ると顕著となる。1位は『ポケットモンスター』のキャラクターがあしらわれた観光バス、3位にも「ピカチュウカー」がランクインするのだ。中でも名越さんが注目したのは、2位ショベルカー、4位オフロードダンプ、5位救急車「スーパーアンビュランス」で、「本来の目的とは違う部分に造形美を見出す“萌え”であり、キャラ的要素を発見していて、異質なもの同士を結びつける“象徴的記号化”の能力」が発揮されていると指摘していた。

这种变化在进入2000年代的时候变得显著了。排在第1位的是配合着《宠物小精灵》中的角色设计的观光巴士。还有 “皮卡丘汽车”也排在了第3位。在榜单中,名越老师关注的是第2位的铲车和第4位的卸货翻斗车,还有第5位的“超级急救车”,他指出:“在与本来目的无关系的其他部分突出了造型美,即‘萌点’,这是一种发现角色要素并且将相异性质的元素结合在一起,形成‘象征性记号化’的能力。”2000年代的商品将这种能力发挥了出来。

かように「キャラクター/キャラ」を取り巻く環境というのは激変が続いている。気鋭の文筆家であるさやわか氏は『キャラの思考法 現代文化論のアップグレード』(青土社)で、現代における「キャラ」(本論は漫画評論家の伊藤剛氏による「キャラクター/キャラ論」の「キャラクター=登場人物を指す言葉」「キャラ=その人物の特徴を指す言葉」という概念をベースにしている)についてマンガ、アニメ、ラノベ、ゲーム、音楽、映画、演劇、アイドルなど様々なジャンル、視点から読み解いていく。

像这样,包裹着这些“角色/角色性”的环境不断地发生着激变。现如今朝气蓬勃的作家さやわか老师在书籍《角色性思考法 现代文化论的质量提升》(青土社)中关于角色性(本书中“角色/角色性论”中的角色是基于漫画评论家伊藤刚的定义:角色=登场人物、角色性=登场人物的特征这一概念运用的。)的解释,作者从漫画、动画、轻小说、游戏、音乐、电影、戏剧、偶像等各种形式,各种视点进行了解读。

前出のインタビューで名越さんは「“つながりの本質”とは欠落であり、人間は欠落した部分を象徴的に解釈することで共通項を見出し、つながりを感じる」と指摘していたが、本書を読むと、現代は20世紀とはまったく違う新しい形の「つながり」が生まれていることがわかる。そして作品に完成形がなく、様々な要素を取り込みながら変わっていくということ、そして今やそれさえも過去のものとなっていることに進化のスピードを感じた。メディア側などから一方的に与えられる、あらかじめ設定された「キャラ」は、双方向のコミュニケーションによって自由に読み込まれることで変化し、書き換えが可能となった。さらに「時間」という概念を獲得し、二次元と三次元を行き来するようになってアップグレードを繰り返しているのだ。

在前述的采访中,名越老师还指出:“所谓‘联系‘的本质是欠缺,人们将欠缺的部分用进行象征性的解释找出共通项,于是就有了一切联系起来的感觉。”,读了这本书之后,就会发现现代社会诞生出了与20世纪时有着完全不同的新形式的“联系”。还有,作品不仅仅追求完全的形态,还需要一边结合各种各样的要素一边产生新的变化,并且,我们还能感受到一种“就连当下也会迅速化为过去”这样进化的速度感。媒体们等群体单方面发出需求,事先设定好的“角色性”经过双方面的交流变得能够自由地被读取,从而产生变化,也使改写成为可能。更甚的是,作者获得了“时间”这一概念,可以在平面与立体的空间中来回穿行,反复之中获得了质量的提升。

欠落を埋める新たなものが次々と生み出され、つながりや関係性を構築するスピードも速度を増している現代は、提示されたものの意味をゆっくり咀嚼しているとあっという間に置いて行かれてしまう。しかし現れるものの表層をなぞるばかりでは消耗し、疲弊するばかりだ。こうした論考によって現状を把握し、通底するものを見つけ、その先にどのような変化があるのかを考えることが新たな流れを生み出す源泉となることだろう。

掩埋掉欠缺的新事物层出不穷,在构筑联系及关系性的速度愈发加快的现在,如果想要慢慢咀嚼那些被提示的事物的意义,那么瞬间就会被迅速发展的世界抛下。但是,如果对于出现在眼前的事物的表层都一直来不及知道,跟着潮流就这样被消耗、只会疲惫不堪。因此根据此论述考察所说,应该把握现状、找出表面上看起来不同但根本上是共通的事物,思考之后它们将会有怎样的变化或发展趋势,这样便会有新的想法应运而生吧。

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