まん延防止重点措置の全解除から早1カ月が過ぎた。街を歩くと、多くの人が以前と同じ生活に戻りつつある姿が見られる。テレワークや時差出勤などを行っていた企業でも、通常業務に戻した会社が多いのではないだろうか。

自从全面解除防止新冠疫情蔓延等重点措施,如今已经一个多月了。走在街上会发现很多人恢复了日常生活,即使居家办公、错锋上班的企业,也大部分都恢复正常业务了。

久しぶりに全員そろったオフィスに来てみると、意外と人が多かったことに気が付くかもしれない。

时隔多日全体员工都来到办公室,可能会意外地发现人好多。

日本企業の会社の多くは、仕切りのない大部屋で上司も部下も一緒に働くスタイル。実はこのスタイルは欧米ではあまり見られず、日本独特のものだという。

大多数日本企业都是上司和下属一起在无隔断的大房间内办公,其实这种模式欧美很少见,是日本独有的模式。

組織論、人事管理論を専門にしている同志社大学政策学部教授・太田肇氏は、このような日本企業特有のオフィス形式について、「承認欲求」が大きく関わっていると言う。

针对这种日本企业独有的办公模式,专业研究组织论、人事管理论的同志社大学政策学院教授太田肇认为这与“承认需求”有很大关系。

承認欲求と大部屋オフィスの関係とは?

承认需求与大办公室的关系是什么?

新著『日本人の承認欲求―テレワークがさらした深層―』を上梓したばかりの太田氏に聞いてみた。

太田刚出版的新书《日本人的承认需求-居家办公暴露的深层意义-》这样说道。

「グローバル企業の多くは世界共通の職制、人事制度を取り入れており、日本支社でも欧米と同じように個人の分担が明確です。ところがオフィスを見学すると、はっきりとした違いが目に入る。海外では管理職は個室で仕事をするのが普通であり、非管理職のデスクもパーティションで仕切られているのに対し、日本では管理職も大部屋で、デスクも仕切りがないか、あっても高さの低いところが多いのです」

“大多数跨国公司都采用全球通用的组织制度、人事制度,个人分工日本分公司也会像欧美一样明确,但当你去办公室实地看一下会发现有明显区别。在国外管理层一般有单独办公室,而非管理层的桌子则用隔板隔开,但在日本管理层也在大办公室内办公,桌子也没有隔断,即使是有隔断高度也很低。”

仕事柄、さまざまなオフィスを訪ねる機会がある太田氏は、社内の人々に大部屋の理由を尋ねてみた。すると主に管理職が「大部屋、仕切りなし」を望むからという答えが返ってきたという。

因为工作太田经常去各种办公室,当询问公司内部员工为什么用大办公室,而对方回答到主要因为管理层希望“是无隔断的大办公室”。

「コロナ禍以前から、日本ではテレワークの導入に賛成しない管理職が多いという話がよく聞かれました。今回のコロナのまん延によって、感染対策として日本でもオフィスに仕切りを設ける企業が増え、日本企業もようやく変わってきたかと思い、さっそくオフィスをのぞいてみました。

“听说疫情前日本很多管理层不赞成居家办公。此次新冠疫情蔓延,作为防止感染措施,在办公室设置隔断的日本企业不断增加,大概日本企业也终于迎来变革了吧,让我们一起来看看办公室。

すると、たしかに一人ずつ仕切られているのですが、仕切りは透明のアクリル板。これならウイルスの侵入は防げるかもしれないが、視線は防げない。視線を遮らないことはそれほど大切なのか、と思わず苦笑してしまいました」

如今的确是每人都用隔断隔起来了,但隔断是透明的亚克力板。这样可能能防止新冠病毒传染,但并不妨碍视线。我不禁苦笑,不遮挡视线难道如此重要吗?”

海外のドラマなどで描かれるオフィス風景では、確かに上司には個室が与えられ部下とは明確にスペースが区切られている。

国外电视剧内描绘的办公室景象的确是上司有单人间,下属也有明确的区域划分。

「トイ・ストーリー」などの作品で有名なアメリカのPixarでは、社員一人一人に入社初日から個室が与えられるという。周囲の視線を気にせず思う存分クリエイティブに働けるというわけだ。

因《玩具总动员》等作品闻名的美国皮克斯公司就是每位员工在刚进公司就都有单人间,能专心从事创意工作,不用在乎周围视线。

一方、「釣りバカ日誌」では1部上場企業の役員である佐々木さんと、万年ヒラ社員の浜崎伝助がフラットに机を並べている。

然而,在《钓鱼迷日记》中作为一家上市公司员工的佐佐木和普通社员滨崎传助在同一空间办公桌相临。

そもそも、一体なぜ日本企業では管理職が部下と一緒に大部屋で働きたがるのか。

那到底为什么日本企业要管理层和下属一起在大办公室里工作呢?

「大部屋で仕切りのないオフィスでは、上司が部下の仕事ぶりを常にチェックできます。そのため部下は、上司の視線や言動をいつも気にしていなければならない。さらに、取るに足らないひと言や、表情、態度、服装、身なりの変化にも部下は耳を傾け、注目する。それが上司の承認欲求を満たしてくれるのです。

“大办公室没有隔断,上司能时常确认下属的工作状态,于是下属也必须时常注意上司的视线和言行。即使是微不足道的话语、表情、态度、服装、打扮的变化,下属也会多加注意,这是为了满足上司的承认需求。”

加えて、日本では管理職が個室に入らず、大部屋で部下と一緒に仕事をすると、オープンマインドで部下とのコミュニケーションを大切にする民主的な管理職だと評価されがちです。

另外,日本不为管理层设置单独房间,而是和下属一起在大办公室工作,这种形式通常被认为是一种开放思想,重视与下属的沟通,民主管理。

しかし当然ながら、部下と机を並べて仕事をしているからといって、上下関係がなくなるわけではありません。

但是,尽管与下属并排工作,上下级关系依旧存在。

テレワークはこうした状況から部下を解放したという面があります。が、それは上司にとっては承認欲求を満たす機会を減らしたともいえる。大部屋への出社を望む上司は、意識しているか、していないかは別として、どこかで部下から常に承認される場を求めているのではないでしょうか」(同)

某些方面,居家办公使下属摆脱了这种情况,但对于上司来说满足承认需求的机会减少了。无论希望去大办公室上班的上司是否意识到这件事,但他大概会从其他地方寻求下属的承认。

要するに「大部屋、仕切りなし」、おまけに仕事の分担が不明確で部下が上司に依存するという日本の職場は、上司の承認欲求が自然に満たされる構造になっているのだ。しかも世間では、それが平等主義的だとか、民主的だとか評価されるのだから、上司にとってはいっそうありがたいことだろう。

总而言之,在“大办公室、无隔断”以及职场分工不明确导致下属依赖上司的日本职场中,形成了满足上司承认需求的职场结构。而且这种方式总被认为是平等主义或者民主,对于上司来说大概更值得高兴了。

「上司も部下もフラットな場で働いているから、ウチの職場はオープンなのだ」と悦に入っている上司、役員の方々は、部下もそう思っているかどうかは気を付けたほうがいいのかもしれない。

当上司、员工都高兴地说,“上司和下属在同一空间工作,我们公司的职场环境很开放。”这时最好注意下属是否真的这样想。

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