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LEDと工場野菜

あなたの身の回りで、こんなものを目にしたことはないだろうか。0から9の数字を表示する装置だ。よく見てみると、表示される部分は7つに分かれていて、1つ1つの数字はその組み合わせによって表示されている。

この表示部分に使われているのはLEDと呼ばれるもので、7個のLEDを選択して点灯させることで、0から9の数字を表示する仕組みだ。例えば、1を表示する場合は縦に2個、2は2個に横3個(都合5個)といった具合である。すべてを選択して表示したのが8であり、ちょうど「日」の字の形になる。

LEDは、電気を通すと光を放つ半導体の一種で、英語のLight Emitting Diodeの頭文字をとったものであり、日本語では「発光ダイオード」という。故障しにくく、ほとんど劣化もしない。そのため、寿命が非常に長く、ほぼ永久的に利用できる。比較的サイズが小さく、発熱量が少ないという点も注目すべき特長だ。

わたしたちの生活ではこうしたLEDの特長を利用したものを見かけることが実に多い。電光板はもちろんのこと、駅や電車などの案内表示板、信号機や照明のほか、携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器のインジケータ、さらに家電の赤外線リモコンなど、例を挙げればきりがない。

現在では、このようにさまざまな場所で実用化されているLEDだが、1980年代には赤色と黄緑色のものしかなかった。それが、1990年代に、実用化が困難だといわれていた高い輝度を出す青色LEDの量産に成功した。これを機に、純緑色LEDも実用化が可能となり、赤・緑・青の、いわゆる「光の三原色」がそろった。これにより、それぞれの光の強さを調節して自由に色を生み出す、つまり、フルカラー表示ができるようになったのだ。さらに、青色LEDに黄色の蛍光材料を塗布すると白色LEDができ、これがパソコンやテレビの液晶画面のパックライトには欠かせないものとなった。この白色LEDは、発熱量の多い従来の電球に代わる照明材料としても、すでに製品化が進んでいる。

ところで、「工場野菜」という言葉を聞いたことがあるだろうか。主にレタスやサラダ菜など、植物工場で生産された野菜のことだ。植物工場とは、密閉された施設内で、光、温度、水、栄養分など、植物の生育に必要な環境を人工的に作り出すシステムを指し、土を使わない水耕栽培が主流である。季節や天候に左右されず、野菜の安定供給が可能になるという利点があるため、砂漠のような、植物にとって厳しい生育環境でも野菜を栽培することができる。だから、将来、中東産のレタスやサラダ菜などが、どこかの国のスーパーに並ぶということもありえない話ではない。

実は、植物工場では、太陽光とともに、LEDが光源として用いられている。太陽光からは、紫外線から赤外線まで幅広い光エネルギーが放出されるが、植物の生育にとって、そのすべての光エネルギーが必要なわけではない。LEDを使えば、植物の生育に必要な光エネルギーを選択できるというわけである。それが赤色と青色のLEDで、赤色は植物の光合成を促進して成長を早める効果があり、青色は葉などの形態形成にとって重要だ。しかも、露地物に比べて、LEDを照射して育てたレタスはピタミンAの含有量が高いという栄養面での効果も報告されている。

また、LEDは発熱量が少ないため、長時間照射しても、葉などへの熱による影響はほとんどない。こうした特長を生かし、「食品に優しい」照明として、スーパーなどのショーケースでもLED照明が用いられるようになっている。

このように、いいことずくめのLEDだが、最大の課題はコストだ。照明材料費としては従来のものの20倍以上もかかる。そのため、例えば、液晶画面のパックライトに用いる場合、商品化されたものは、その分高価になってしまう。植物工場にしても、十分な光源を確保するためには、かなりの設備投資が見込まれる。安定供給を軌道に乗せるには、相当のコストを覚悟しなければならない。

しかし、LED照明を1日6時間使用したとしても、約20年使えるという研究データも示されており、長い目で見れば、維持管理のコストはむしろ抑えられるとの見方もある。さらに、太陽電池を併用するなど、工夫次第でコストの軽減は図れるはずだ。いずれにしても、遅かれ早かれ、LEDが照明材料の主流となる日が来ることは間違いないだろう。

 

新出語彙2

エルイーディー(LED) [名] 发光二极管
わかれる(分かれる) [动2自] 分、分开
てんとうする(点灯~) [名·サ变自他] 点亮,点灯
つごう(都合) [副] 总共、总计
はなつ(放つ) [动1他] 发出、放出
はんどうたい(半導体) [名] 半导体
かしらもじ(頭文字) [名] 第一个字母、首字
はっこう(発光) [名·サ变自] 发光、放光
はっこうダイオード(発光~) [名] 发光二极管
れっか(劣化) [名·サ变自] 老化,退化,恶化
そのため [连] 所以,因为如此
えいきゅうてき(永久的) [形2] 永久性的、长久
でんこうばん(電光板) [名] 电光板
ひょうじばん(表示板) [名] 告示牌
インジケータ [名] 指示灯、指示器
リモコン [名] 遥控、遥控器
きり [名] 终结、限度
きみどりいろ(黄緑色) [名] 黄绿色
きど(輝度) [名] 亮度、辉度
りょうさん(量産) [名·サ变他] 量产、批量生产
げんしょく(原色) [名] 原色(红、黄、青三色)
フルカラー [名] 全色、所有顔色
けいこう(蛍光) [名] 荧光、荧火虫的光
とふする(塗布~) [名·サ变他] 涂布,涂覆,搽
しろ(白) [名] 白色
バックライト [名] 背投灯、背光源
でんきゅう(電球) [名] 电灯泡、灯泡、白炽灯
サラダな(~菜) [名] 莴苣的一种
しょくぶつこうじょう(植物工場) [名] 植物工厂
みっぺいする(密閉~) [名·サ变他] 封闭、密闭
えいようぶん(栄養分) [名] 养分
すいこう(水耕) [名] 水栽、营养液栽培
しゅりゅう(主流) [名] 主流、主要倾向
ちゅうとう(中東) [名] 中东
こうげん(光源) [名] 光源
ほうしゅつする(放出~) [名・サ变他] 放出、发放
こうごうせい(光合成) [名] 光合作用
はやめる(早める) [动2他] 加速,加快
けいたい(形態) [名] 形状;形态
けいせい(形成) [名・サ変他] 形成
ろじもの(露地物) [名] 露天栽培的植物、地里长的植物
しょうしゃする(照射~) [名・サ变自他] 照射
がんゆう(含有) [名・サ变他] 含有
ショーケース [名] 商品陈列街
とうし(投資) [名·サ变他] 投资
かくごする(覚悟~) [名・サ变他] 决心、思想报告
ながいめ(長い目) [名] 长远的视点
へいようする(併用~) [名・サ変他] 并用
ありえない 不会有,不可能有
いずれにしても 无论如何,无论怎样
おそかれはやかれ(遅かれ早かれ)迟早

純(じゅん)  纯~
~産(さん) ~产,~生产

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