■転売ヤーの独り勝ち状態

■黄牛独胜状态

誤解のないように書いておくと、この改正電気通信事業法の施行前から、携帯電話の転売を目的とした契約は存在した。しかし、これはショップと転売ヤーの「共犯関係」であり、今回のように店側だけが一方的に損をするようなものではなかった。

为了不引起误解,这里要说的是,在《电气通信事业法》修正案生效前,有专门以倒卖手机为目的的合同存在。然而,这时店铺与黄牛是“共犯”,而不是像现在一样,只有店铺一方承担损失。

たとえば月末が近くなり、契約数がノルマにどうしても足りない場合。ショップはのりかえ契約時に特価で機種を提供すると、目ざとい転売ヤーが来てのりかえ契約をしてくれる。転売ヤーは契約ルールや手続きを熟知しているから、店頭でモタつくこともない。イチかバチかで店頭に来た“素人”に営業をかけるよりも安全かつ迅速に契約を得て、ノルマ未達のピンチを回避することができるわけだ。

例如,临近月末签约数量没有达到营业额要求时,店铺就会在签约时以特价提供机种,这时眼尖的黄牛就会来签约。因为黄牛熟知签约规定和手续,所以不会在店内花费太多时间。比起招待那些不确定会不会签约的“普通人”,与黄牛签约反而能更安全迅速的获得合约,也能规避达不到营业额的危机。

また、携帯電話には「各キャリア1名義あたり5回線まで」という保持の上限がある。これによって、1人が利益を乱獲する状態はある程度抑止されていた。

此外,在日本,手机有一个“个人可以在各运营商最多签订五项合约”的上限。因此,某种程度上也能规避个人投机取巧的风险。

しかし今回の移動機販売による転売ヤーの跋扈は話が別だ。移動機販売は回線契約を伴わない販売方法のため、1人で何度でも端末を買うことができてしまう。転売ヤーにとってはやりやすいことこの上ない状況だといえるだろう。

然而,本次由于单机销售的规定造成的黄牛一家独大就是另外一码事了。因为单机销售是一种与签约解绑的销售方法,所以一个人可以多次购买手机终端。对黄牛而言,倒卖手机更是容易。

■転売ヤーは「ズルい」のか

■黄牛太“狡猾”?

ここまで読んでいただいた方の多くは「法律の不備を突いて儲けるなんて、転売ヤーは汚すぎる」という感想を持ったのではないか。いずれにしても、自分とはあまり関係のない世界という感がある。

读到这里,很多人可能会觉得“钻法律的空子,黄牛太过分了”。但无论如何,总觉得这件事和自己没什么关系。

だが、日本に住んでいる人でこの問題と関わりのない人は、ほとんどいないと断言できる。それはなぜか。キャリアが端末を割引販売する原資は、当然ながらキャリアの得た営業収益から捻出されているからだ。それはつまり、「あなたが転売ヤーの食い扶持を支払っている」ということに他ならない。

然而,笔者可以断言,只要你生活在日本,这件事就一定和你有关。为什么呢?运营商的销售折扣出自它们的营业收益。也就是说,“正是你助长了黄牛的风气”。

格安SIMユーザーであっても同様だ。格安SIMはキャリアから回線を間借りすることでサービスを提供しており、収益の一部はキャリアに還元されている。そのため、「私はドコモもauもソフトバンクも使っていないから、関係がない」とは言えないのである。

廉价SIM的用户也是如此。廉价SIM是从运营商合约当中借出后提供给用户的服务,一部分收益会返还给运营商。因此,没有人可以说“因为我没用docomo、没用au也没有softbamk,所以和我没关系”这种话。

携帯キャリアがスマートフォン本体をいくらで仕入れているのかは不明だが、前述のようにiPhone12を2万2000円で販売したら、赤字なのは間違いないだろう。大サービスの割引原資は、あなたが支払った料金だ。

虽然不知道手机运营商是多少钱从官方进货的,但如果如上文一般,用2.2万日元的价格卖出一部iPhone12的话,无论如何都是亏损的。因为折扣的来源资金正是你支付过的套餐费用。

私自身も不健全な状況ではあると思うが、転売ヤーを批判するつもりはない。法律で認められた範囲であれば、誰もが自らの利益のために最善手を打つ権利があると思う。

笔者本身也不是完美的,所以并没有批判黄牛的意思。因为只要是在法律认可范围内的事情,任何人都有权利为自己谋取最大利益。

■ふるさと納税の返礼品に金券を選ぶのは「ズルくない」のか

■在“故乡税”的礼品中选择兑换券就“不狡猾”吗?

私の家の近所には、スーパーが数件ある。その日の気分でどこに行くかを決め、肉や野菜などの食材を買うのだが、スーパーへ行く前にチラシをチェックして、安い方のスーパーを選ぶようなことはしない。おそらく、ご近所の主婦から見れば無駄遣いだろう。この場合、私がスーパーマーケットに対するリテラシーを持っていないから、無駄なお金を払っていることになる。では、チラシを比較して「スーパーマーケットでお得に買い物する主婦」はズルいのだろうか。

笔者家附近有几家超市。笔者会根据心情决定去哪家买肉和蔬菜等食材,而不会看哪家的传单更优惠去哪家。可能这在附近的主妇眼里是很浪费的吧。这种情况下,由于我对超市没有明确的认识,所以浪费了钱。那么,比较哪家超市有更优惠后“去便宜的超市买便宜东西的主妇”是不是就很狡猾呢?

以前、ふるさと納税で大阪府泉佐野市や静岡県小山市が返礼品に金券を用意し、多数のふるさと納税を集めたことがあったが、「換金性の高いプリペイドカード」の返礼品は総務大臣による通知で禁止されていた。

之前,大阪府泉佐野市和静冈县小山市会为交故乡税的人准备兑换券作为回报,虽然这种方式能够募集很多故乡税,但总务大臣下达通知后,禁止使用“兑换性高的预付卡”作为回报。

しかしながら納税者にペナルティーはないため、多くのメディアで取り上げられたし、実際にふるさと納税でこれらの自治体を選んだ人も多いだろう。これも感情的な面で言えば「ズルい」と思うし、国の財産である税金を盗んでいるわけだから、ある意味では携帯キャリアから金を(間接的に)奪う移動機販売よりも悪質だと思うのだが、なぜかこちらを批判する声は少ない。

但是,由于纳税人不会交罚金,再加上很多媒体报道,所以实际上有很多人在选择故乡税捐献地时都会选择这些自治体。这在情感上来说也是“很狡猾”的,因为这也是变相盗取税金这一国家财产的行为,所以从某种意义上来讲,这比单机销售这种间接从手机运营商手里抢钱的行为更加恶劣,但人们对这件事的批判却很少。

■「端末代金と通信料金の完全分離」は愚策だった

■“手机终端费用与套餐费用的完全分离”是项愚蠢的政策

私個人の意見で言えば、回線と割引のセット販売自体は所持できる回線数に上限がある以上、無限に特価を享受することはできないため、これを廃止してしまった「端末代金と通信料金の完全分離」は愚策だったと思っている。

要说笔者个人的意见,针对合约与终端折扣捆绑销售本身来说,由于每个人可以开通的合约数量有上限,不可能无限度地享受特价,因此废止了这种销售方式的“手机终端费用与套餐费用的完全分离”是项愚蠢的政策。

しかし一度禁止となった施策が復活するとは思えないので、「1名義、もしくは1機種につき特価販売は年間〇回まで」と、割引が適用できる回数に上限を定めてしまえばこうした状況は緩和されると思う。既に一部キャリアでは、こうした運用を行う動きも出ているようだ。

然而,禁止了的政策很难再次开通,那么,规定出可以使用折扣的次数上限可能能够缓和目前的情况,比如“每个人或者一个机种一年可使用N次特价优惠”。而且一些运营商似乎也开始推出这类政策。

もちろん、これでも一部の転売ヤーは名義を借りるなど、何らかの方法で突破を図ってくるだろうし、販売履歴を審査するキャリア側の負担は増える。それでも現状よりはマシになるはずだ。ただし、これだけでは前述したような「端末を割り引いてくれない大手キャリアを使う理由がない」という問題は解決していないため、応急措置にしかなりえない可能性は残る。

当然,即便如此,一部分黄牛还可以租借个人信息,或者用其它方法钻空子,而审查购买记录这一手续也会增加运营商的工作负担。但这也比保持现状要好得多。不过,光凭这些还无法解决上文提到的“手机不打折就没理由再用大运营商”问题,所以它依然可能只是一项应急措施而已。

■制度の隙が、人を転売ヤーに変えてしまう

■制度的空子让每个人都变成了黄牛

転売ヤーは制度の隙を突いてくる。転売行為を止めたいのであれば、制度そのものを変えるしかない。……と、きれいに結論付けたいところだが、移動機販売が流行してからはインターネット上では移動機販売で端末を購入し利益を出すためのマニュアルなどが販売されるような状況になっているし、SNS上で携帯電話の転売に関するトピックを大っぴらに話す人も増えた。

黄牛就是在钻制度的空子。若想制止倒卖行为,就必须要整改制度本身——虽然很想干净利落地得出这个结论,但自单机销售实施后,网络上就出现了通过这种销售方式谋取利益的指南教程。各大社交平台上也有越来越多的人开始大肆讨论手机倒卖相关的话题。

携帯電話の転売シーンは、電気通信事業法の改正前後で状況が大きく変化したように感じられる。恫喝を行うような行為がまかり通るようになったのも、法改正が行われたからだ。

倒卖手机的现象在《电气通信事业法》修正前后发生了巨大的变化。也正是修正案的实施,才让威胁恫吓等行为不断横行。

そうなると「転売ヤーが制度の隙を突いてくる」のではなく、「制度の隙が、人を転売ヤーに変えてしまう」のではないだろうか?

如此一来,就不再是“黄牛在钻制度的空子”,而是“制度的空子让每个人都变成了黄牛”。

そうなると、転売行為が行われないような制度設計を行う必要があるのだが、利益を目的とした携帯電話の購入や販売はポケベルやPHSの時代から存在している。短絡的に「これを変更すれば、すべてうまくいく」という簡単な話ではない。

因此,我们就必须要制定一项阻止倒卖行为的制度,但以盈利为目的购买和销售手机行为从BB机和小灵通时代就已经存在。因此不能简单笼统地认为“只要改变了这些就能解决所有问题”。

今まで一般人から見て携帯電話の世界は「複雑で難しいから」という理由で、非常に身近であるにもかかわらずスルーされがちな分野だった。今回の転売問題で多少なりともスポットライトが当たり、前向きな議論が行われることを祈っている。

一直以来,在普通人眼中手机的世界是一个非常熟悉却容易被忽视的领域,原因就是它“复杂难懂”。希望这次的倒卖问题多少能引起大家的警醒,让大家积极地进行讨论。

翻译为沪江日语原创,未经授权禁止转载。

相关阅读推荐:日元汇率跌爆了!日本专家表示“还将持续”但“不是恶性贬值”