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作家であり、詩人であり、教育者でもあった宮沢賢治。明治、大正、昭和の激動の時代を生きた
彼は多くの作品を残し、38歳の若さでこの世を去りました。このサイトでは、初稿が書かれてから
80年近く経った今もいまだに多くの人に愛され、読み続けてられている童話「銀河鉄道の夜」に
スポットを当て、賢治の内面を探りながら読み解いていきます。どうぞお楽しみ下さい。

そして見ているとみんなはつつましく列を組んであの十字架の前の天の川のなぎさにひざまずいていました。そしてその見えない天の川の水をわたってひとりの神々(こうごう)しい白いきものの人が手をのばしてこっちへ来るのを二人は見ました。けれどもそのときはもう硝子(ガラス)の呼子(よびこ)は鳴らされ汽車はうごき出しと思ううちに銀いろの霧(きり)が川下の方からすうっと流れて来てもうそっちは何も見えなくなりました。ただたくさんのくるみの木が葉をさんさんと光らしてその霧の中に立ち黄金(きん)の円光をもった電気栗鼠(りす)が可愛(かわい)い顔をその中からちらちらのぞいているだけでした。

窗外,人们恭恭敬敬排着整齐的队伍,跪在十字架前的天河岸边。两人看见一个身穿漂亮白衣的人越过无形的天河之水,正庄严肃穆地伸出双手,向这边走来。就在此时,清脆的汽笛声响起,火车开始启动,银白色的云雾从下游倏地飘来,立时吞没了一切,什么都看不到了,唯有许多核桃树的叶片明灿灿地闪现在雾中。带有金色光环的电松鼠,时隐时现地露出可爱的小脸向外张望。

そのときすうっと霧がはれかかりました。どこかへ行く街道らしく小さな電燈の一列についた通りがありました。それはしばらく線路に沿って進んでいました。そして二人がそのあかしの前を通って行くときはその小さな豆いろの火はちょうど挨拶(あいさつ)でもするようにぽかっと消え二人が過ぎて行くときまた点(つ)くのでした。

尔后,云雾又倏地散尽,现出一条不知通往何方的街道,路旁点着一排小灯泡。当二人顺着那灯光向前走时,小灯泡宛如向他们点头致意似地熄灭了,而当二人走过时,却又亮了。

ふりかえって見るとさっきの十字架はすっかり小さくなってしまいほんとうにもうそのまま胸にも吊(つる)されそうになり、さっきの女の子や青年たちがその前の白い渚(なぎさ)にまだひざまずいているのかそれともどこか方角もわからないその天上へ行ったのかぼんやりして見分けられませんでした。

回头望去,刚才那座十字架已截然变小,简直可以作项链挂在胸前。刚才的小女孩和青年等人依然跪在那片白色的河岸上呢,还是去了那虚无缥缈的天上?景物迷离,无从知晓。

ジョバンニはああと深く息しました。

焦班尼长长叹了口气。

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼(や)いてもかまわない。」

“柯贝内拉,又只剩下我们俩了。我俩无论到哪儿都要同行才好。我现在就像那只小天蝎,只要能为大家寻求真正的幸福。就是身经千锤百炼,我也不在乎。”

「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙(なみだ)がうかんでいました。

“嗯,我也是那样想。”柯贝内拉眼里浮现出晶莹的泪花。

「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」ジョバンニが云いました。

“可是,真正的幸福究竟是什么呢?”焦班尼问。

「僕わからない。」カムパネルラがぼんやり云いました。

“这个,我也不知道。”柯贝内拉茫然地回答。

「僕たちしっかりやろうねえ。」ジョバンニが胸いっぱい新らしい力が湧(わ)くようにふうと息をしながら云いました。

“总之,咱们应该尽最大努力。”焦班尼仿佛心里充满无穷的力量,深深吸了一口气。

「あ、あすこ石炭袋(ぶくろ)だよ。そらの孔(あな)だよ。」カムパネルラが少しそっちを避(さ)けるようにしながら天の川のひととこを指さしました。

“哎,那莫不是煤炭草袋?活像天空的黑洞。”柯贝内拉一边胆怯地避开视线,一边指着天河的一处说。

ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。天の川の一とこに大きなまっくらな孔がどほんとあいているのです。その底がどれほど深いかその奥(おく)に何があるかいくら眼を擦(こす)ってのぞいてもなんにも見えずただ眼がしんしんと痛むのでした。

焦班尼往那儿一望,不禁倒抽一口冷气。天河果然出现一个黑洞洞的大口子。它到底有多深?一直通到何处?无论怎么擦亮眼睛,也觉得深不可测,只感到刺眼般的疼痛。

ジョバンニが云いました。「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」

焦班尼说:“再大的黑洞我也不怕。我一定要去寻找人们的真正幸福。不管到哪儿,我们俩也要携手并肩,共同前进。”

「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」カムパネルラは俄(にわ)かに窓の遠くに見えるきれいな野原を指して叫(さけ)びました。

“一定,一定那样。哎,你看,那是多么美丽辽阔的原野呀!那里有很多人,大概是真正的天堂吧?啊,我妈妈也在那儿。”柯贝内拉突然指着窗外远方山花烂漫的原野欢叫起来。

ジョバンニもそっちを見ましたけれどもそこはぼんやり白くけむっているばかりどうしてもカムパネルラが云ったように思われませんでした。何とも云えずさびしい気がしてぼんやりそっちを見ていましたら向うの河岸に二本の電信ばしらが丁度両方から腕(うで)を組んだように赤い腕木をつらねて立っていました。

焦班尼随之向那边张望,只见那边雾茫茫,怎么也看不出有柯贝内拉说的那种绚丽多彩的景象。焦班尼心里一阵惆怅,呆呆地朝那边张望。对面河岸上的两根电线杆,宛如双双手挽手地托一根红色横木立在那里。

「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」ジョバンニが斯(こ)う云いながらふりかえって見ましたらそのいままでカムパネルラの座(すわ)っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。ジョバンニはまるで鉄砲丸(てっぽうだま)のように立ちあがりました。そして誰(たれ)にも聞えないように窓の外へからだを乗り出して力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽喉(のど)いっぱい泣きだしました。

“柯贝内拉,我们一起去,好吗?”焦班尼说着回过头来,可刚才还有柯贝内拉坐着的座位上,已不见他的影子。只有黑天鹅绒座椅,闪闪发光。焦班尼如同出膛子弹霍然而起,努力不被人察觉地向窗外探出身子,奋力猛打自己的胸脯,大声疾呼,最后扯开噪门失声痛哭出来。

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