日语文学作品赏析《臘梅》
作者:芥川龍之介
来源:青空文库
2010-01-06 00:00
わが裏庭の垣のほとりに一株の臘梅 あり。ことしも亦 筑波 おろしの寒きに琥珀 に似たる数朶 の花をつづりぬ。こは本所 なるわが家 にありしを田端 に移し植ゑつるなり。嘉永 それの年に鐫 られたる本所絵図 をひらきたまはば、土屋佐渡守 の屋敷の前に小さく「芥川 」と記せるのを見たまふらむ。この「芥川」ぞわが家 なりける。わが家 も徳川家 瓦解 の後 は多からぬ扶持 さへ失ひければ、朝あさのけむりの立つべくもあらず、父ぎみ、叔父 ぎみ道に立ちて家財のたぐひすら売りたまひけるとぞ。おほぢの脇差 しもあとをとどめず。今はただひと株の臘梅のみぞ十六世 の孫には伝はりたりける。
臘梅 や雪うち透 かす枝の丈
(大正十四年五月)
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