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作家の井上ひさしさんは、執筆が遅いので名高い。自ら「遅筆堂」を名乗るほどだ。あるとき、締め切りの言い訳に窮して、「田舎のお袋が死にました」。担当者は、まんまとかつがれた。早く帰郷するように上野駅まで車で送ってくれた、と自戒を込めつつ回想している。

作家井上先生因写作动作慢而被人们所熟知。他还给自己取了个“迟笔堂”的笔名。有时候,被催稿不知道如何辩解,就拿“家里的老母亲走了”来搪塞。轻易地就把编辑给忽悠了。为了让他早点赶回家编辑专程把他送到上野车站,每每想到这件事都感到愧疚,并引以为戒。

井上さんも驚くだろう。「身内に不幸が…」と嘘を言うなどして、有給の服喪休暇を取っていた京都市の職員42人が処分された。5年で計127回にのぼっていて、給与の過払いは100万円を超えるらしい。

井上先生自己恐怕也吃了一惊吧。“家人遇到了不幸……”以此名义骗取丧假的京都市的42名公务员受到了处分。据统计,五年来类似事件已达到127件,多支付工资超过100万日元。

この間に12回という剛の者もいた。ある年は5回も身内を「冥土へ送っ」ていた。「不幸続きで気の毒に思っていた。休暇のために『死なせた』とは思ってもみなかった」と上司は困惑気味だ。

这其中居然有过12次纪录的“强人”。让家人“入土为安”一年竟多达5次。“接二连三地遭到不幸真是太遗憾了。但实在是没想到会因为想休息而让“家人去世”。”上司如此困惑不解。

不心得者の「犠牲」になったのは、おじ、おばが大半という。なるほど彼らは重宝な存在だったかもしれない。父母は2人、祖父母なら4人が相場だが、おじ、おばは数に決まりがない。何度も嘘がつけるし、「死なせる」罪悪感も親兄弟より薄い。職場の掲示や香典もないから、お手軽でもある。

这些草草的“牺牲者”多半是叔舅、姨婶。原来他们的存在是那么重要。一般都是两位父母、四位祖父母,但是叔舅、姨婶的人数是没有绝对的,即可以撒几次谎,而且让他们去死的罪案感也比亲兄弟死去的要轻。既不用在公司里贴讣告又不用收份子钱,所以撒起谎来随随便便。

とはいえモーセの十戒は「殺すなかれ」を説き、仏教の在家の五戒も「不殺生」を第一に置く。でまかせとはいえ、身内を人身御供にして休む日の朝、寝覚めがよろしいはずもないと思う。

虽说莫塞(Moses)的十戒中说过“不杀戮”,佛教俗家的五戒中也把“不杀生”放在第一位。虽说是信口开河,但骗公司要为家人守灵而休息的早上,心情也恐怕不会很好吧。

井上さんも、気分は重かった。上野駅で担当者が手渡してくれた紙包みには、香典の5千円札が1枚。あの時ほど筆の遅さを悔やんだことはないと、短い随筆『原稿遅延常習者の告白』で猛省している。

井上先生的心情也很沉重。在上野车站从编辑手中接过一个纸包,发现里面有一张五千日元的份子钱。事后他在小随笔《推迟交稿者的自白》里深刻反省到,再也没有比那次迟交稿子而感到后悔的了。