斜陽をあびてバラが咲き誇っている。中の一輪にハサミを入れ、加藤楸邨(しゅうそん)は詠んだ。〈薔薇剪(き)れば夕日と花と別れけり〉。鮮烈な喪失感が漂う、不思議な句だ。英王室の大輪のバラが、異境の庭で散ってはや10年になる。

沐浴在夕阳之中的玫瑰尽情地绽放着美丽。当加藤揪邨剪下其中一枝时,他咏唱到:“玫瑰被剪下,夕阳与花儿就分别了”。强烈的痛失感在空中飘荡,非常感伤的一句。英王室的盛大玫瑰散落异地10年了。

かの国が香港を手放した夏の終わりに、ダイアナ元皇太子妃は交通事故で逝った。36歳だった。謀殺説を封じて、運転手の飲酒とスピード超過が原因とされている。

在那个国家放手香港的夏之末,戴安娜王妃因交通事故而香消玉陨。享年36岁。谋杀论被否定,确定原因为王妃坐驾的司机酒后驾车并超速驾驶。

パリにいた頃、毎週末の買い出しの帰りに、その短いトンネルを通った。ほぼ直線で幅もある。通るたび、ここをどう走れば大型車で死亡事故が起きるのかと、いぶかったものだ。故人の後半生とは対照的に、セーヌ河岸の現場はありふれた道だった。

我在巴黎的时候,每个周末外出采购回来的时候,都要通过那个短短的隧道。笔直而宽阔。每次,我都想那个司机是怎么开的车,会撞上大货车引起死亡事故,让人纳闷。与故人的后半生相反,塞纳河畔的事故现场是一条默默无闻的小路。

別居と離婚、新しい恋人。地位がなければ、これまた平凡な愛憎劇だろう。エリザベス女王は「民間人」の死に沈黙を通し、国民の批判を招いた。当時の内幕を描いた英映画「クィーン」には、世論に折れた女王が「大げさな涙とパフォーマンスの時代ね」と嘆く場面がある。

分居、离婚、新恋人。如果没有高贵的低位,这不过是一个平凡的恋爱生活剧。(当戴安娜王妃去世时)女王开始的时候象面对“普通平民”的死亡一样保持沉默,招致英国国民的不满与批评。描写当时的内幕的电影《女王》中有一个场面,是迫于舆论的压力的女王感叹:“夸张的眼泪和表演的时代”。

今年のアカデミー主演女優賞に輝いた女王役のヘレン・ミレンは王室の昼食に誘われた。脚本はだから、絵空事ではなかったようだ。ミレンは「こうした映画を作れる国に生きるのはすてきです」と語っている。

因为扮演女王而成名并获得今年的奥斯卡金像奖最佳女主角奖的海伦 ·米伦被王室邀请共度午餐。因为有事实根据,所以好象并非虚构。米伦说:“在制作这样的电影的国家生活真是太棒了。

女王が願う「模範の家庭」からは遠いが、英王室の懐は深い。元妃も時にメディアを手玉に取り、薄幸ぶりをさらしたという。その人間味は王室の命脈に寄与したのか、逆か。希代の一輪。ひと昔にしてなお強烈な残り香に、花と棘(とげ)の大きさを思う。

与女王期望的“模范家庭”距离遥远,英王室侯门深似海。戴安娜王妃有时也利用媒体,诉说自己的不幸。这种人情味是王室的要害呢,或不是呢?世间稀有的玫瑰,虽然已经消陨多年,但是仍然余香浓郁。有花也有刺啊。