明治生まれの大歌人斎藤茂吉は、正直な人だった。会食で鯉(こい)料理が出たときのこと、隣の膳(ぜん)をしげしげと眺め、鯉を替えてほしいと頼んだ。隣のが大きく見えたからだ。だが替えてみると、今度はそれが小さく見えてきて、また元に戻してもらった(『文人悪食(あくじき)』嵐山光三郎)。

明治年代出生的大歌人斋藤茂吉是个老实人。在一次聚餐中,烹制的鲤鱼上来之后,他三番两次往旁边人的桌上看,还求别人跟他把鱼交换一下。原来他觉得邻桌的鱼看起来大。但是,换过来之后一看,这回看起来又显得小了,于是又求人把自己的换回来。(《文人恶食》岚山光三郎)

茂吉ほどではないにせよ、隣の芝生は青く見える。お盆休みの今なら、「隣の車線は速く見える」だろうか。渋滞の中、あっちが速いと車線を変えたとたんに、動かなくなる。舌打ちした経験は、だれにでもあるだろう。

即使程度不如茂吉之甚,人们也大都这山望着那山高。在盂兰盆节休假的当下,则是“这个车道望着那个车道快”了吧。堵车的时候,以为那边快于是改变车道,结果一过来就动不了了。这种令人皱眉的经历大家都遇到过吧。
 
ふるさとや行楽地への行き来で、各地の高速道路は激しい渋滞だ。きのうは休みの折り返し点だったのか、午前中は下りで、夕方になると上りで、長い車の列ができた。そしてきょうがUターンラッシュピークだという。

来往于老家或游玩地的客流引起了高速路严重的堵塞。大概是因为昨天是假期的折返点吧,上午是下行线,傍晚是上行线,车流排起了长队。并且据说今天是回归高峰的顶点。

自然渋滞は、ささいなことで起きるらしい。東大大学院の西成活裕・准教授によれば、何かの拍子に一台の速度が落ちると、後続は次々にブレーキを踏む。その減速が連鎖して渋滞になるそうだ。防ぐには、最低でも40メートル以上の車間距離が必要だと、著書『渋滞学』で述べている。

自然交通堵塞好像会因为一点点小事而被引发。据东大研究生院的西成活裕副教授讲,因为什么原因一辆车的速度下降的话,后续的车辆会次第刹车减速。引起减速连锁反应而形成交通堵塞。,为防止这种现象,最低40米以上的车间距离是必需的,这在其著作《交通堵塞学》里有所论述。
 
急ぐ旅でも車間は詰めない方が、結局は早く着くのである。あっち、こっちと車線を変えるのも、渋滞に輪をかけるだけらしい。

即使着急赶路,也不要让使车间赶得过紧,这样结果反而会早些到达。一个劲儿地改变车道似乎只能给堵塞雪上加霜。
 
自分が追い抜いた車はすぐ視界から消える。だが抜かれたときは、お尻を長く見続けることになる。それが、自分の車線は遅いと錯覚する一因だと、米などの大学が報告している。五十歩百歩と心得て、「隣の幸福」をねたまぬよう走りたい。

据美国等大学的报告说,自己超过的车会立刻从视线里消失,但是被别的车超过的话,前车的车尾能看到的时间很长。这就是产生自己所在车道慢的错觉得一个原因。希望大家开车时都能明白大家都是半斤八两,而不要嫉妒“邻人的幸福”。