熱帯魚店の水槽の底で、白黒太じま模様の生き物が漂っていた。えさを探しているのか、せわしなく脚が動く。香港から広まった観賞用ヌマエビの仲間だ。柿の種ほどしかなく、水質や水温が急変すると死ぬ。購入したら、時間をかけて水を合わせるのが長生きさせるコツという。

在热带鱼店的水槽底部,黑白相间摸样的生物在漂浮着。大概在寻找食物吧,忙碌的动着脚。这是从香港引进的普遍作为观赏用的沼蝦的同类。只有柿子的种子大小,水质以及水温一旦有剧烈的变化就会死去。据说购买后,花费时间使之与水相融合是使他能长久生存的秘诀。

香港が中国に返されて、きょうで10年になる。一国二制度という「水合わせ」は、返還から50年続く約束だ。2割の水が入れ替わった計算にしては、それ以上の中国化らしい。

今天是香港回归中国10周年。一国两制这一‘与水融合’的制度从回归开始持续50年不变。按照用2成水替换来计算的话,那中国化远不止这些了。

今、香港人の4割が本土の人と結婚する。香港株式市場の時価総額の半分は大陸銘柄で、観光客も半数が本土から訪れる。他方、中国政府を意識するメディアは自己規制に傾き、香港人による自治を意味する「港人治港」の展望も心細い

现在香港人有4成是与本土的人结婚的。香港股票市场现在总资产中,有一半是中国大陆的股票,观光客也有半数是从内地过去的。另一方面,意识到中国政府的媒体也倾向于自我限制,对于含有香港人自治的‘港人治港’的展望也是感到不安。

香港は「蒸し暑い真夏の夜、青緑色の南シナ海をフワフワ揺れる、宝石とガラクタと人を詰め込んだ小さな船」(上村幸治『香港を極める』朝日文庫)。であれば、もやい綱の片端を北京が握り直し、ぐいと引き込んだ図が浮かぶ。

香港是一艘“在炎热夏天的夜晚,塞满了宝石,没有用处的物品以及人的,在蓝绿色的南海上轻轻漂浮着的小船”(上村幸治《极度香港》朝日文庫)。那么在我们面前浮现这样一幅图画,北京紧紧握着连着的网的另一端,用力将香港拉过来。

かの地を体感したのは返還前年の夏だった。突き出し看板の満艦飾、生ゴミと香辛料の異臭、汗も凍るかというビル冷房。それらは、資本主義の水で育った「東洋の真珠」の、虫の息にも思えた。されど真珠は呼吸を続ける。

我真正感受到那片土地是在他回归前一年的夏天。突出的揭示板上的装饰,生的垃圾与调味料的异臭,汗也冻住了的大厦空调房。我认为那是用资本主义的水养育的已经快窒息‘东方之珠’。可是现在珍珠还在继续呼吸。


淡水エビは、もともと海にいた種が陸封されたものだという。鳥などから身を守るため、多くは地味な色合いになった。さて香港はどんな色で生き残るのか。さしずめ経済というえさは安泰だ。気がかりは政治の水である。

据说淡水虾原本也是在生活在海里的种类,后来因为地形的变化而被封锁在了陆地上成了淡水动物。为了防止被鸟伤害,许多虾的身体的颜色都变得很淡了。香港将会用什么颜色继续生存下去呢?现在经济这个食物还是安稳的。让人担心的是政治的水。

点击查看更多天声人语