梅雨が本物になる前に、鎌倉を歩いてきた。青空を惜しむ人で大層なにぎわいだ。JR北鎌倉駅から明月院に向かう。あじさい寺は各地にあるが、ここの境内は日本古来種のヒメアジサイが薄青に染める。牛歩の列から「人が多すぎる」と声がもれた。

在梅雨季节正式来临前,游览了镰仓。这里涌满了贪恋晴空的人们。从地铁北廉仓车站步行到明月院。虽说紫阳花寺在日本随处可见,但是,明月院中紫阳花的品种非常古老,花瓣上笼罩着淡淡的蓝色。人群在缓慢前行,偶尔也可听到“人实在是太多了”的抱怨之声。

その先の建長寺は五山一位の禅院。くぐれば心が清まるとする三門の下で、子どもたちが休息している。誰にもそれと分かるウグイスの声を乗せて、初夏の風が一陣、方丈を抜けた。

它前面的建长寺是镰仓五山之首。孩子们在三连门下休息,钻进那里令人心清气爽。乘着人人皆知其声的黄莺的歌声,初夏的风一阵似的吹过寺院方丈之地。

若宮大路を東に折れ、妙法寺に足を延ばす。名高い、苔(こけ)むす石段。深緑の重なりの上で、昼下がりの木漏れ日が遊んでいる。散策路に人影はなく、わびもさびも独り占めである。歩けば歩いただけのことはある。

沿着若宫大路向东拐,就来到了妙法寺。有名的长满绿苔藓的石阶。午后的阳光穿过树叶缝隙在浓绿叠障的苔藓上做游戏。小路上没有行人的踪影,一人独占这份宁静和清闲。所到之处都有惊喜的发现。

四季を愛(め)で、歴史や仏教を知り、静寂に浸る。老いも若きも、鎌倉の味わい方は人それぞれだ。明月院、建長寺、妙法寺とも拝観料は300円。それで得られる満足のほどは、何を見に来たかにもよろう。

欣赏四季美景,了解历史佛教,沉浸于幽静当中。无论老少,都有各自喜爱镰仓的方式。明月院、建长寺和妙法寺的门票都是300日元。而能获得怎样的满足感,还是取决于来看什么吧。

鎌倉市や神奈川県は3年後を目標に、この地をユネスコの世界遺産にすべく事を進めている。このうえ鎌倉に能書きが必要なのかと問えば、歴史と緑を守るためだという。例えば、行政指導に頼る建物の高さ制限(15メートル)を、きっちりルール化しやすいそうだ。

镰仓市和神奈川县计划3年后将该地区列入联合国科教文组织的世界遗产名单,并为实现这一目标而努力。若再问镰仓需要怎样自我宣传,那就是为了守护这里的历史和绿色。比如,据说当地正有条不紊地制订法规,依据政府规定限制建筑物高度。

すでに世界遺産に登録された京都や奈良との違いとして、鎌倉は武家の文化を強調する。サムライ、ショウグンの源流である。ただし、いびつに国際化し、拝観料が高いだけのカマクラになるくらいなら、「世界」の看板は無用だ。武士は食わねど高楊枝(ようじ)でいい。

与已经列入世界遗产的京都和奈良不同,镰仓突出武士文化。它是武士和将军的起源。然而镰仓若是走歪了国际化这条道路,仅仅是门票价格提高了的话,“世界”这一招牌也没用。武士不吃饭,用牙签剔牙做做样子就行了。

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