サッカー仏代表のジダンは、ワールド杯決勝でイタリア選手に頭突きし、退場になった。その瞬間を腕の汗まで鮮明にとらえた写真がある。動画では「物語」に埋もれ(うずもれる)ていた細部を、止まった時が見せてくれる。ジダンは右手を握りしめ、目を閉じている。

法国足球代表齐达内在世界杯决赛上用头顶撞意大利选手,被罚出场外。有一张照片把这一瞬间清晰的照了下来,连齐达内手腕上的汗都清晰可见。动画将“讲述故事”中埋没的细节,以静止的形态展现出来。当时齐达内右手紧握,闭着眼睛。

50回目となる世界報道写真展がきのう、東京都写真美術館で始まった(8月5日まで)。「ジダンの退場」など、06年にメディアをにぎわせた素材が、時を止めて並ぶ。

昨天第50届世界新闻照片展在东京都写真美术馆开幕(到8月5日截止)。“齐达内退场”等06年引起媒体骚乱的素材都被定格并排列展出。

約8万点から選ばれた大賞は、紛争の中の日常を切り取った一枚。イスラエル軍に爆撃されたベイルート市街を、赤いオープンカーで走り抜けるレバノンの若者たちだ。この赤い車は数秒、頭突きは1秒の出来事だった。報道写真は偶然に左右される。

从大约8万张照片中选出的获得大奖的是一张反映冲突中的日常生活的照片。该照片表现的是一群开着一辆红色敞篷汽车在被以色列军轰炸的贝鲁特街道上狂奔的黎巴嫩年轻人。这辆红车是几秒钟的事件,而顶撞事件是1秒钟。新闻照片就是被偶然性所左右着。


46年前の同じ写真展で大賞をとり、日本人初のピュリツァー賞に輝いた作品もそうだった。60年10月12日午後3時4分、日比谷公会堂で撮られた「右翼少年に刺殺される浅沼社会党委員長」だ。

46年前在同样照片展上获得大奖,日本人的首次普利策奖获奖作品也是如此。那是1960年10月12日下午3点04分,在日比谷公会堂拍下的一张“被右翼少年刺杀的浅沼社会党委员长”。

毎日新聞の長尾靖さんが戦後史の瞬間を刻めたのは、ずぼらの功用だという(沢木耕太郎『テロルの決算』)。報道陣の多くは、浅沼の演説をやじる客席左側の右翼を気にしていたが、長尾さんは舞台下の記者席を動かず、右手から駆け上がった少年を新型カメラで追えた。最後の一コマだった。

据说每日新闻报的长尾靖先生之所以能刻画下战后史的这一瞬间,是因为他的偷懒。(沢木耕太郎『恐怖主义的决算』)。当时大多数记者都把注意力集中到在浅沼演说上喝倒彩,坐在客席左侧的右翼分子身上,而长尾先生在舞台下的记者席纹丝不动,用新型相机捕捉到了从右手边处冲上台的少年。这是最后的一个镜头。

優れた報道写真は時に、動画より多弁になる。前に起きていたこと、後に起きたであろうこと、裏に隠されていることまで考えさせる力があるからだ。無論、強運を絵に残せる腕と機材があっての話である。

杰出的新闻照片有时比动画更加耐人寻味。它有一种力量能使人思考之前发生的事,之后会发生什么事,以及背地里隐藏了什么事。当然,要有能把好运留在照片中的摄影技巧和很好的摄影器材才能做到这一点。

点击查看更多天声人语