週末の朝、都心の日比谷公園を歩いた。散策の人よりベンチのほうが多い。背もたれ中央に「私達(たち)の路(みち)、ここで決めました」「地上の花園もきれいですよ。たまには座りに来て下さい」などの文字がある。東京都が03年から募る「思い出ベンチ」だ。

周末早晨,漫步都中心的日比谷公园。长椅比散步的人还要多些。椅背中央写着“我们的未来在这里决定”、“地上的花园也很漂亮,偶尔来坐坐!”等文字。这就是东京都从2003年开始向社会募集的“回忆长椅”。

ベンチを都に贈ると、40字までのメッセージと寄付者の名を刻んだプレートがつく。すでに532基が都下の公園や霊園に置かれ、おととい、5年目の募集(100基)が始まった。

捐献长椅给东京都,就可以将刻有最多40字的留言与捐献者名字的金属牌贴在长椅上。目前,已经有532座长椅放置于东京都辖区内的公园和公共墓地。前天,第五年募集活动(100座)已经开始。

ベンチは形により15万円か20万円。都の財政を助けて、寄付者は名刺2枚分ほどの伝言板を手に入れる。ベンチという公共財が朽ちるまで、私的な言葉は残る。

长椅因外形不同,价格有15万日元和20万日元两种。在帮助了都财政同时,捐献者可以获得有两张名片大小的纪念留言牌。私人的留言永久保留,直至长椅这一公共物品损毁。

ベンチの役割は、いつもそこにあることだ。公園では、そうした動かぬものたちが取り込んだ天地の恵みが、来訪者を癒やす。ベンチはぬくもりで、木立は葉ずれの音、花壇は色彩、池はさざ波で迎えてくれる。

长椅的职责就是一直放在那里。公园里,这样一些静止不动的物体吸取着天地精华,抚慰着人们的心灵。长椅是温暖,树林、花坛和池塘分别用沙沙作响的树叶声、色彩和涟漪微波来欢迎来客。

新刊書『植物の生存戦略』(朝日選書)は「動かぬ生き方」に注目する。「ヒトは動くことができるという能力を過剰に発揮し、疾風怒濤(どとう)のごとく人生を終えていきます……その対極にある生きものとして、地球は植物を進化させてきました」(福田裕穂氏)。じっと動かぬことで太陽エネルギーを無駄なく使う知恵は、樹齢1000年を超す巨木を生んだ。

新书《植物的生存战略》(朝日丛书)将视线投向“静止不动的生存方式”。“人类过度发挥能动的能力,跌宕起伏地度过了一生。……而与人类相反的生物——植物,地球却不断促进它进化”(福田裕穗)。静止不动就不会浪费太阳能量,这种智慧孕育了树龄超过1000年的参天大树。

思い出ベンチになる多摩産材のヒノキは、じっと動かない何十年かに続き、いつも公園にあるという仕事を与えられる。「疾風の人生」を駆ける勤め人、老夫婦、恋人たちを休ませ、語らせ、思い出の続きを紡がせる。

用来制作“回忆长椅”的多摩产的丝柏木材被赋予的职责,是确保长椅一动不动地保存很多年,一直存在于公园内。让飞奔在“疾风人生”的工薪阶层、年老的夫妇和恋人们在此停歇,说话,纺织出回忆之线。


“回忆长椅”活动具体情况参见下列网址:

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