ビジネスマンの結ぶネクタイを、武士の刀にたとえた人がいる。ぶら下げるだけで、たたずまいが威厳と緊張感を帯びるからだ。少々くたびれた風体でも、まずはサマになる。そんなところも似ているという。

有人将职员打的领带比作武士军刀。只要佩带上,形象就显得威严,给人予紧张感。即便是稍微有点旧,但还象个武士的样子。在这点上两者类同。

けさ、いつものようにネクタイを結ぼうとして、手を止めた人もいるだろう。政府が音頭をとって、クールビズに衣替えする初日である。閣議で各大臣は、沖縄の夏用のシャツ「かりゆしウエア」を着用するそうだ。

早晨,有人像往常一样打着领带却又停了手。今天是政府提倡改穿清凉夏装的第一天,据说内阁大臣都穿上了冲绳产的清凉夏装“琉球衫”。

早いもので3年目になる。最初の年は、言葉が先行する中で、とりあえずネクタイを外した。その姿は「朝帰り」などと冷評された。去年はおしゃれ指南も進んだ。今年は、ピンやカフスも使いこなす「上級者の装い」が百貨店の売りになっているという。歩く人が多くなれば、道はできていくものだ。

时间飞逝,现在已是第三个年头了。第一年放出消息的时候只是说先不用打领带,结果那种身影被讥讽为“彻夜不归”(不成体统)。去年流行指南也曾提到。今年就开始被当作灵活运用别针和袖口的“高级装扮”摆进了百货商场。正所谓“走的人多了也便成了路”。

みんなで外せばこわくない――。相変わらずの横並びを揶揄する声も聞く。とはいえ、襟元が涼しくなれば冷房の温度を高く設定できる。環境省の推計によれば、昨夏は約250万世帯の1カ月分にあたるCO2を削減したという。

如果大家都不系领带的话就不担心了。也有人揶揄总是保持一致行动。但是脖子那里凉快一些,空调的温度就可以调高些。根据环保部门的统计,去年夏天减少了相当于250万个家庭一个月产生二氧化碳。

高温多湿の夏に、日本人は悩まされてきた。「家の作りようは、夏をむねとすべし」と、「徒然草」の兼好法師も古くに述べている。当時の冬は寒かっただろうに、「冬は何とでもなる」と、法師はかたくなに夏の暑さを嫌った。

日本人因为高温多湿的夏天而苦恼。《徒然草》的作者兼好法师特别讨厌夏天,主张“住房的设计应该以有利于度过夏季为宗旨”,尽管当时的冬天也很寒冷,可是法师仍固执地不喜欢炎热的夏天,他认为“冬天怎么都好度过。”

この夏は、赤道域の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」で、猛暑と渇水が心配な夏になりそうだという。武士のやせ我慢はかなぐり捨てて、温暖化の防止に心したい。

今夏,因为影响赤道附近海面水温降低的“拉尼娜現象”,大家都担心酷暑和干涸。请卸下武士那种硬撑的冠冕堂皇,时刻牢记阻止温暖化。

注:拉尼娜(La Nina)指的是厄尔尼诺现象的反相。即赤道东太平洋海温较常年偏低。

点击查看更多天声人语