古い手紙や写真を整理していて、飲食店のレシートが出てくることがある。変色した日付や店名を頼りに、記念の会食の様子がよみがえる。保存したことさえ忘れていた紙片が、若い日の妻や、まだ元気だった親を過去から連れてくる。

有时整理旧书信和照片,会找出餐馆收款条。凭借变色的日期和店名,会依稀回忆起纪念聚餐时的情景。甚至不记得还保存着的纸片,会将过去带到眼前:年轻时的妻子、身体还很健康的父母。

★レシート [2] receipt: 領収書。一般に,金銭登録器で印字したものをさす。

領収書がなくても思い出は消えないが、年金は消えることがあるらしい。年金保険料を確かに納めていても、肝心の社会保険庁に納付記録がないことがある。窓口で領収書を示して、ようやく認めさせた人が現に55人いる。

即便没有收据,记忆也不会消失,而年金好象有时会消失。即使的确交付了年金保险费,有时重要的社会保险厅也会没有交付记录。在窗口出示收据,终于得到承认的,如今有55人。

役所の仕事は、記憶ではなく記録で回っている。本人が証明できなければ、本来もらえたはずの年金が出ない。実際、社保庁はすでに2万件の申し出を退けた。

行政部门的工作不是凭记忆,而是凭记录运转的。如果本人不能证明,就得不到本应得到的年金。实际上,社保厅已退回了2万件申请。

社保庁が管理する年金保険料の支払い記録には、納付者を確定できないものが5千万件ある。このに浮いた納付記録は、年金番号を統合した97年、本人が申請しなかったなどの理由で漏れたものだという。

社保厅管理的年金保险费交付记录中,有5千万件无法确定交付人。据说这些悬而未决的交付记录是1997年统一年金号码时,因本人没有申请等理由而遗漏的。

★【宙 ちゅう】(一)地面を離れた所。空中。「―〔=空中〕に舞う/△計画(予算・構想)が―に浮く〔=未解決・未決定のまま放って置かれる〕/―を飛んで〔=大変急いで〕帰った」

誰かが納めたのは確かだが、それが自分だと言うには、窓口で記憶をたどり、職員を納得させなければならない。損に気づいていない受給者もいよう。与野党にせかされて、社保庁は自主調査の検討に入った。ずさんな管理の末、この官庁は解体・再編の途上にあり、調査の先行きは見えない。

人交付了,这是千真万确的,而要说那人是自己,就必须在窗口搜寻记忆,让办事职员认可。也有尚未意识到受到损失的年金配给者吧。在执政党和在野党的敦促下,社保厅开始研究主动调查事宜。管理不善的结果,就是这个机构走上解体、重组的道路,未来的调查结果也就看不到了。

★【受給 じゅ-きゅう 】 (名)配給や支給を受けること。「厚生年金の―資格」
★【杜撰 ず-さん】 (名・形動)(1)著作物で,典拠が正確でないこと。誤りが多い著作。(2)手をぬいたところが多く,いいかげんなさま。「―な工事」「―な計画」

整理整頓の基本は「迷ったら捨てよ」だという。その紙切れが老後の収入を左右すると知れば、捨てるはずもない。だが、納付額は職員がしっかり帳面につけていると思うのが人情だ。いっそ、領収書の裏に「役所を信じるな」と注記してはどうだろう。

据说整顿清理的基本原则是“无法确定的,就扔掉”。如果知道那张纸片决定了自己退休后的收入,就不会扔掉。然而,认为交付金额已由办事职员认真地记录在案了,这是人之常情。干脆在收据的背面标注“别相信行政部门”如何呢?

★【帳面 ちょう-めん 】(1)ものを書くために,何枚かの紙を綴(ト)じ合わせたもの。白紙のままのもの,線を引いたものなど,用途に応じて種々ある。ノート。(2)帳簿。収支帳。
★【一層 いっ-そ】 (副)(1)思い切って。いっそのこと。「―ひと思いに死んでしまいたい」(2)ほんとうに。まったく。

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