26 しみじみと喜びをかみしめています

人物:立川   佐藤  好子(立川の妻)
場面:病院の一室

佐藤:明日いよいよ退院だそうですね。おめでとうございます。本当に良かった。課の皆も立川さんが近々復帰されるって聞いて、喜んでますよ。快気祝いのパーティするそうですよ。
好子:佐藤さんにはたびたびお見舞いいただきまして、立川がどうなに元気づけられたか知れません。どうぞおかけになって。お茶入れてきますから。
立川:いやあ、ほんと、嬉しかったですよお。会社の様子をいろいろ話してくださったんで、心細かくならずに済みましたからね。助かったなあ。一人で寝ているととり残されたようでね、気が滅入ってたまらないんですよ。
佐藤:ほら、そういうふうに仕事のことばっかり考えてるから、胃に穴が開くんですよ。でもまあ、あの苦しみで懲りたでしょうから、これからは無理なさらないで、体第一にしてくださあいよ。
好子:(お茶と菓子をテープルに置いて)なにもございませんが。
佐藤:どうぞかまわないでください。いやあ、しかし奥さんも本当に大変でしたね。奥さんのほうがまいってしまうんじゃないかとハラハラしましたよ。立川さん、これで奥さんに一生頭が上がりませんね。
立川:頭下げるのはただですから、いくらでも下げますが、あとが怖いですよ。デパートの請求書がどっと回ってくるんじゃないかって。しかしつくづくよかったと思いますよ、胃潰瘍で済んで。今度ばかりは健康のありがた味が骨身にしみました。今はしみじみと健康の喜びをかみしめていますよ。
佐藤:仕事に復帰してもそれを忘れないでくださいよ。それとあの七転八倒の苦しみ、もう2度と会社に救急車呼ぶことはごめんですからね。

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