关键词:大切 布団 毒薬
それから和尚さんの大切にしている茶わんを、わざと真っ二つに割って、自分は布団をかぶって、うんうんうなりながらいまにも死にかけているようなふりをしていました。夕方になって、和尚さんが帰って来てみますと、中は真っ暗で、明りもついていませんでした。和尚さんはおこって、 「こらこら、小僧、何をしている。」 とどなりました。すると小僧は布団の中から、虫の鳴くような声を出して、 「和尚さん、ごめん下さい。わたしは死にます。もうとても助かりません。死んだあとは、かわいそうだと思って、お経(きょう)の一つも読んで下さい。」 といいました。 和尚さんは、だしぬけに妙なことをいわれて、びっくりしました。 「小僧、小僧、いったいどうしたのだ。」 「きょう、和尚さんのたいじなお湯飲みを洗っていますと、いきなり猫がじゃれかかって来て、そのひょうしに手をすべらして、お湯飲みを落としてこわしてしまいました。もうこれは死んで申しわけをするよりほかはないと思って、つぼの中の毒薬を出して、残らず食べました。もう毒が体中に回って、間もなく死ぬでしょう。どうかかんにんして、お経だけ読んでやって下さい。ああ、苦しい、ああ、苦しい。」 といいながら,おいおい.おいおい、泣きました。