(一)近世の文学(江戸時代)
17世紀の初期、徳川家康は天下を統一し、世は江戸時代に入った。これは日本封建社会の最後の段階でもあり、封建社会の完成期でもある。士農工商との身分制度によって、人々を厳しく支配した。

1、井原西鶴と浮世草子
浮世草子:(もとの意味は「好色本」)現代的な小説、即ち町人を対象とした通俗的な小説を指す。
井原西鶴の代表作:「好色一代男」、「好色二代男」、「好色五人女

2、読本(よみほん)
読本:文章を中心として、挿し絵を付けた読み物。
上方(京都・大阪)を中心としたものを前期読本、江戸を中心としたものを後期読本。
読本の始祖:「英草子(はなぶさぞうし)」、その続編「繁野話(しげやわ)」【著者:都賀庭鐘】
上田秋成と前期読本
秋成の代表作:①都賀庭鐘からの影響を受けて、中国の怪異小説をもとに著した『雨月物語』、②晩年の作『春雨物語』。
滝沢馬琴と後期読本
滝沢馬琴の代表作:『南総里見八犬伝』(この作品は、日本における空前の最大長編小説である)。

3、洒落本、人情本、滑稽本
洒落本遊里文学):小規模な作品であり、専ら遊里の世界を描写した小説である。代表作家:山東京伝。
人情本:当時の市井の男女の退廃的な愛欲生活や遊里生活に対する描写である。代表作家:為永春水。
滑稽本:滑稽を主とする小説。代表作家:式亭三馬『浮世風呂』と『浮世床』。十返舎一九『東海道中膝栗毛』

4、詩歌
松尾芭蕉:後世に「俳聖(はいせい)」と呼ばれ、日本だけでなく、世界の詩人としても、その作品が愛唱されている。
芭蕉の代表作:『奥の細道』。
与謝蕪村:「芭蕉に帰れ」をスローガンとした俳諧復興運動の代表的俳人。感性的・浪漫的俳風を生み出し、芭蕉と並称される。
小林一茶:不幸な境遇を反映して屈折のある異色な作風を示した。

5、狂歌と川柳
狂歌:俗語を用いて滑稽や風刺を詠み込んだ卑俗な短歌(五・七・五・七・七の五句からなる)。
川柳:江戸中期に始まる五・七・五の三句17音からなる短い詩。生活や世態の弱点・欠陥などを風刺し、滑稽に描写するのが特色。

6、国学の興起と繁盛
国学三大人:荷田春満、賀茂真淵、本居宣長。

7、劇文学
近松門左衛門:江戸中期の浄瑠璃の代表作家であり、代表作は『曽根崎心中』、『冥途の飛脚』。

(二)近代文学

1、各文学派别
写実主義:(代表作家と代表作)
坪内逍遥(つぼうちしょうよう、写実主義の先駆者):『小説神髄』(小説論、小説は人情と世態を写すという写実主義を唱える)、『当世書生気質』
二葉亭四迷(ふたばていしめい):『浮雲(うきぐも)』

擬古典主義
尾崎紅葉(おざきこうよう):『金色夜叉』
幸田露伴(こうだろはん):『五重塔』、『風流仏』

ロマン主義

初期の森鴎外(もりおうがい):『舞姫』、『雁』、『妄想』、『於母影(訳詩集)』(日本近代文学の中で、漱石と双璧だと並称される
北村透谷(きたむらとうこく):『蓬莱曲』、『内部生命論』
樋口一葉(ひぐちいちよう、日本近代における最初の女流職業作家である):『たけくらべ』、『大つごもり』。
泉鏡花(いずみきょうか):『高野聖』、『歌行燈』

自然主義
島崎藤村(しまざきとうそん):『破戒』、『家』、『春』、『新生』
田山花袋(たやまかたい):『蒲団』、『田舎教師』
国木田独歩(くにきだどっぽ):『武蔵野』

耽美(耽美派の拠点:「三田文学」)
永井荷風(ながいかふう):『腕くらべ』、『あめりか物語』、『ふらんす物語』
谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう):『春琴抄』、『刺青』、『細雪』

白樺派(白樺派の拠点:「白樺」、理想主義と人道主義を標榜する
武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ):『お目出たき人』、『友情』、『その妹』
志賀直哉(しがなおや、「小説の神様」または「短編小説の神様」と呼ばれる):『暗夜行路』、『和解』、『城の崎にて』
有島武郎(ありしまたけお):『かんかん虫』、『カインの末裔』、『或る女』

新思潮派:(新思潮派の拠点:「新思潮」)
芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ):『羅生門』、『地獄変』、『鼻』、『河童』、『蜘蛛の糸』。
菊池寛(きくちかん):『無名作家の日記』『恩讐の彼方に』、『真珠夫人』

余裕派
夏目漱石(なつめそうせき):『吾輩は猫である』、『ぼっちゃん』、『三四郎』、『それから』、『門』。

新感覚派(拠点:「文芸時代」)
川端康成(かわばたやすなり):『十六歳の日記』、『伊豆の踊り子』、『雪国』、『千羽鶴』、『山の音』、『水晶幻想』(←新心理主義に属す)
横光利一(よこみつりいち):『蝿』、『日輪』、『上海』

2、昭和時代の小説と評論:
プロレタリア文学
小林多喜二(こばやしたきじ):『蟹工船』、『不在地主』、『党生活者』
宮本百合子(みやもとゆりこ):『伸子』、『刻々』、『杉垣』、『播州平野』
新興芸術派
井伏鱒二(いぶせますじ):『山椒魚』
新心理主義
堀辰雄(ほりたつお):『聖家族』、『美しい村』、『風立ちぬ』

3、戦後文学
新戯作派(無頼派)
太宰治(だざいおさむ):『走れメロス』、『斜陽』、『冬の花火』、『人間失格』
戦後派
三島由紀夫(みしまゆきお):『仮面の告白』、『白蟻の巣』、『金閣寺』、『豊饒の海』
大岡昇平(おおおかしょうへい):『俘虜記』、『武蔵野夫人』、『花影』
安部公房(あべこうぼう):『赤い繭』、『砂の女』、『他人の顔』
第三の新人
昭和二十年代後半になって、日常のありふれた世界を重視する作家たちが文壇に歩み始めた。

安岡章太郎(やすおかしょうたろう)
遠藤周作(えんどうしゅうさく)

3、昭和三十年代の作家
社会派
大江健三郎(おおえけんざぶろう):『死者の奢り』、『飼育』、『個人的な体験』、『万延元年のフットボール』
女流作家
瀬戸内晴美(せとうちはるみ):『田村俊子』
幸田文(こうだぶん):『流れる』
芝木好子(しばきよしこ):『湯薬』
円地文子(えんちふみこ):『女坂』
中間小説
井上靖(いのうえやすし):『氷壁』、『春の嵐』、『猟銃』、歴史小説『風林火山』、『淀どの記』、中国西域を題材にした小説『天平の甍』、『楼蘭』、『敦煌』

4、昭和五十年代以後の文学
村上春樹(むらかみはるき):『ノルウェイの森』

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