さてやしきへは忍び込んだもののこれから先どうしていか分らない。そのうちに暗くなる、腹は減る、寒さは寒し、雨が降って来るという始末でもう一刻の猶予ゆうよが出来なくなった。仕方がないからとにかく明るくて暖かそうな方へ方へとあるいて行く。今から考えるとその時はすでに家の内に這入っておったのだ。ここで吾輩はの書生以外の人間を再び見るべき機会に遭遇そうぐうしたのである。第一に逢ったのがおさんである。これは前の書生より一層乱暴な方で吾輩を見るや否やいきなり頸筋くびすじをつかんで表へほうり出した。いやこれは駄目だと思ったから眼をねぶって運を天に任せていた。しかしひもじいのと寒いのにはどうしても我慢が出来ん。吾輩は再びおさんのすきを見て台所へあがった。すると間もなくまた投げ出された。吾輩は投げ出されては這い上り、這い上っては投げ出され、何でも同じ事を四五遍繰り返したのを記憶している。その時におさんと云う者はつくづくいやになった。この間おさんの三馬さんまぬすんでこの返報をしてやってから、やっと胸のつかえが下りた。吾輩が最後につまみ出されようとしたときに、このうちの主人が騒々しい何だといいながら出て来た。下女は吾輩をぶら下げて主人の方へ向けてこの宿やどなしの小猫がいくら出しても出しても御台所おだいどころあがって来て困りますという。主人は鼻の下の黒い毛をひねりながら吾輩の顔をしばらくながめておったが、やがてそんなら内へ置いてやれといったまま奥へ這入はいってしまった。主人はあまり口を聞かぬ人と見えた。下女は口惜くやしそうに吾輩を台所へほうり出した。かくして吾輩はついにこのうちを自分の住家すみかめる事にしたのである。



  且说,咱家虽然钻进了院内,却不知下一步该怎么办才好。眨眼工夫,天黑了。肚子饿,身上冷,又下起雨来,情况十万火急。没法子,只得朝着亮堂些、暖和些的地方走去。走啊,走啊……今天回想起来,当时咱家已经钻进那户人家的宅子里了。 

  在这儿,咱家又有机会与学生以外的人们谋面。首先碰上的是女仆。这位,比刚才见到的那名学生更蛮横。一见面就突然掐住咱家的脖子,将咱家摔出门外。咳,这下子没命喽!两眼一闭,一命交天吧! 

  然而,饥寒交迫,万般难耐;乘女仆不备,溜进厨房。不大工夫,咱家又被摔了出去。摔出去,就再爬进来;爬进来,又被摔出去。记得周而复始,大约四五个回合。当时咱家恨透了这个丫头。前几天偷了她的秋刀鱼,报了仇,才算出了这口闷气。 

  当咱家最后一次眼看就要被她摔出手时,“何事吵嚷?”这家主人边说边走上前来。女仆倒提着咱家冲着主人说:“这只野猫崽子,三番五次摔它出去,可它还是爬进厨房,烦死人啦!”主人捋着鼻下那两撇黑胡,将咱家这副尊容端详了一会儿说:“那就把它收留下吧!”说罢,回房去了。 

  主人似乎是个言谈不多的人,女仆气哼哼地将咱家扔进厨房。于是,咱家便决定以主人之家为己家了。 

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