高齢の母を介護しながら2人で貧しく暮らす“心優しきピエロ”アーサー。少年たちからリンチを受けたことがきっかけで護身用の銃を持ち歩いていたが、小児病棟に持ち込んだのがバレて、ピエロの仕事をクビになってしまう。

亚瑟是一个一边照顾母亲,一边过着贫苦生活的“温柔小丑”。从小受到欺凌的他习惯随身带枪防身,后因把枪带入儿童医院被发现,索性开始做起了小丑演员。

コメディアンの夢が絶たれた失意の帰り道。アーサーは、地下鉄で暴力を振るってきた酔っ払い3人を勢いで射殺するが、やがて事件が注目を浴びるのを見て、アーサーは呟く。

喜剧梦想破灭之后的失意归途。亚瑟一气之下射杀了在地铁里酒醉施暴的三个人,在事件引发各方关注后,亚瑟低语道:

「僕はずっと自分が存在するのかわからなかった。でも、僕はいる」

“我这辈子都不确定自己是否真的存在,但,我现在非常确定。”

そんな映画「ジョーカー」のホアキン・フェニックス扮する主人公に自身を重ね合わせ、犯行が自分に救いをもたらすとでも思ったのだろうか。

嫌疑人服部恭太是不是将电影《小丑》中杰昆·菲尼克斯饰演的主人公和自己重合,将犯罪视作对自己的救赎了呢?

10月31日、東京都調布市の京王線布田―国領駅間を走行中の特急列車で、72歳の乗客男性が刺され、車内に放火された事件。逮捕された服部恭太容疑者(24)は、ジョーカーを想起させる派手なスーツを着ており、「警察からの取り調べに対しジョーカーへの憧れを口にしている」(社会部記者)という。

10月31日,东京都调布市京王线上,一趟布田开往国领站的特急列车中,发生了一起杀人纵火事件,一名72岁男性乘客被刺伤。随后嫌疑人服部恭太(24岁)被捕,他穿着一身与电影《小丑》十分相似的衣服,并且“面对警察的取调时也坦言了自己对小丑的憧憬”(社会部记者称)。

服部容疑者は犯行前の今年7月、福岡市内の大手携帯会社傘下のコールセンターを“顧客トラブル”で退職後、失意のなかで凶行に及んだようだ。元勤務先の担当者が語る。

他曾经工作的前公司负责人称,嫌疑人服部今年7月因“顾客纷争”从福冈市大型手机公司客户服务部离职,困境之中选择了行凶。

顧客とトラブルになったのは「チャット上」

在聊天过程中与顾客发生矛盾

「服部氏は2018年4月入社で、3年以上勤めた後、今年7月に退職しました。スマートフォンなどの通信機材の使い方や使用料金など、顧客からの問い合わせにチャットで返答する業務をしていたようです。辞めた原因は、今年5月にチャット上で顧客とトラブルがあり、部署の配置転換を打診したのがきっかけと聞いています。

“服部是在2018年4月入职,工作了3年多之后,今年7月离职的。他的工作内容是通过聊天解决顾客关于手机等通讯工具的使用方法和费用方面的问题。他在今年5月工作时与顾客发生了矛盾,转岗失败所以离职。”

退職にあたり揉めたという話も聞いておりませんし、本人が自主的に辞めたと聞いています。それまで勤務態度に、何か問題があったとも聞いておりません」

“这是他自己选择的离职,而且并没有听说公司和他在这方面产生了纠纷。以往的工作态度也没有任何问题”。

元勤務先は“円満退社”を強調するが、本人が胸中に何を抱えていたのかはわからない。破れかぶれになったのか、退職後、福岡を出た後の4カ月に及ぶ滞在費は、消費者金融から借金をして賄っていたようだ。捜査関係者が語る。

虽然前公司一直强调他是“和平离职”,但也不清楚本人心中是否抱有不平。此外,搜查人员还说,或许是失业之后自暴自弃,服部离开福冈后4个月内的旅居费用都是通过消费者借贷借来的。

「服部容疑者は6月に会社を辞めてから、神戸、名古屋の順で1カ月ずつ滞在し、9月下旬に上京しました。小田急線で発生した乗客の襲撃事件を真似しようと思ったのがきっかけのようです。東京・八王子市内のホテルで寝泊まりし、ホテル代などの生活費は消費者金融から借りていました。額は数十万円あったと供述しています」

“嫌疑人服部自6月离职后,在神户、名古屋各待了一个月,于9月下旬来到东京。起因是想模仿小田急线发生的无差别杀人事件。他在东京八王子市内住酒店等生活费用都是从消费者借贷那里借来的,金额达到数十万日元。”

借金による“散財”は生活費だけではない。

然而借来的钱不仅“挥霍”在生活费上。

借金で購入したジョーカースーツは20万円

借钱20万买下小丑套装

「10月上旬には新宿のブランド店で、犯行当日の“ジョーカースーツ”を購入しています。紫のスーツとコート、ネクタイと合わせて約20万円を使っていたようです。この時点で既に犯行を決めていたと思われます。

“10月上旬,服部在新宿某店买下了犯罪当天身穿的‘小丑套装’。紫色套装加上外套领带共计花费了将近20万日元。想必他在那个时候就已经决定犯罪了。”

また小田急線での事件ではサラダ油が着火しなかったため、可燃性の高いライターオイル3.5リットルを上野のアメ横の専門店で購入していたという話もあります。滞在していた八王子のホテルからも、オイル缶20個を押収しており、計画的な犯行だったとみています」(前出・社会部記者)

“另外,他知道小田急事件犯罪嫌疑人使用色拉油放火失败,又专门去上野AMEYOKO(商店街名)专门店买了3.5升可燃性较高的打火机用油。警方还在他居住的八王子酒店搜出了20瓶油罐,可以看出他是有计划的犯罪”。(上文社会部记者)

ジョーカーに変貌する以前の服部容疑者

变身小丑前的嫌疑人服部

福岡にいた頃の服部容疑者を知る関係者が抱いた印象は、こうした大胆な犯行とは結び付きがたいものだったようだ。

在对福冈认识服部的人进行采访后,发现大家对他的印象很难和犯下如此大胆罪行的嫌疑人服部联系起来。

「5年前ぐらいに家族で引っ越してきました。たまに廊下ですれ違うこともありましたが、悪い印象が全くないんです。事件後、電車でたばこを吸う金髪のふてぶてしい姿と、近所での姿が結びつかないんですよね。挨拶もきちんとした印象で、家のドアノブにはトトロの人形がかかっていました。

“他们家是5年前左右搬过来的。我们偶尔会在走廊打照面,完全没有什么坏印象。事件发生后也看到了他在电车里满头金发,抽着烟一脸目中无人的样子,这和我们邻居心中的样子完全联系不到一起。印象中他会好好和我们打招呼,家门把手上还有龙猫的玩偶。”

一度、朝の早い時間にシャツを着て出掛けていくことがあったので、「仕事ですか?」と聞いたら、「ハイ」と礼儀正しく答えて、自転車に乗って元気に出かけていきましたよ。このマンションは高齢者の古参ばかりだから、若々しくていいなと思っていました」(服部容疑者の実家の近隣住人)

“有一次碰到他一大早穿着衬衫出门,我问他‘要去工作了吗?’他还非常有礼貌地回答我‘是的’,然后很有精神地骑着自行车出门了。我们这栋公寓里大多都是老人,还想着有个年轻人很不错。”(嫌疑人服部家的邻居)

服部容疑者は地元の小中学校を卒業。小学校5年生の時に書かれた、学校創設120周年の記念誌には《野球せん手になりたい。》という夢がたどたどしい文字で綴られている。福岡県粕屋町の県立高校に進学したが、同級生たちは「おとなしく、地味な“陰キャ”だった」と口々に証言する。

嫌疑人服部在当地的小学和初中毕业。他小学五年级时曾经在学校创立120周年的纪念册中笨拙地写下“想当棒球运动员”的梦想。之后他考入福冈县粕屋町县立高中,同学们对他的评价是“很老实朴素的‘阴郁’同学”。

母と妹と3人暮らしで、地元記者によると、父と母は離婚していたようだ。母と2人で暮らす母子家庭のジョーカーを見て、密かな共感を得ていたのかもしれない。

与他一起生活的还有母亲和妹妹,据当地记者报道,他的父母已经离婚,或许这也是他会和母子家庭的小丑产生共鸣的原因。

実はアメリカでは、映画上映当時にジョーカーへの共感を危険視する向きもあった。

实际上,在《小丑》这部电影上映时,美国曾将对小丑这一角色的共鸣视作一大威胁。

アメリカで12人を銃殺し「ジョーカーだ」と名乗った犯人

美国一自称“小丑”犯人枪杀12人

ジョーカーが登場する、バットマンシリーズの2012年公開映画「ダークナイト ライジング」公開時には、米コロラド州の映画館で上映中に客が銃を乱射、12人が死亡、58人が負傷する事件が発生。当時、加害者であるジェームズ・ホームズは、逮捕直後に警察に対し、自らを「ジョーカーだ」と主張していたと報じられている。

小丑登场于《蝙蝠侠》系列电影。该系列2012年的《蝙蝠侠:黑暗骑士崛起》上映时,美国科罗拉多州曾发生一起枪击事件,犯人在电影放映过程中持枪扫射,造成12人死亡,58人受伤。当时,嫌疑人詹姆斯·霍尔姆斯曾对逮捕自己的警察说“我就是小丑”。

2019年に「ジョーカー」が公開された際には、事件の被害者の関係者らが映画への懸念を表明する手紙を、映画会社のワーナー・ブラザーズに送ったことが話題になった。実際に公開後、カリフォルニア州の映画館が脅迫を受け、上映を中止し警察官が駆け付ける事態にも発展している。

2019年,电影《小丑》上映时,枪击事件被害者亲属曾向电影制作公司“华纳兄弟”致信表明对该电影上映的忧虑,引起社会的讨论。实际上,在电影上映后,加利福尼亚州的影院曾遭受威胁,一度中止放映并通报警方。

服部容疑者はこういった“危険分子”のうちの一例だったのだろうか。

嫌疑人服部是不是这些“危险分子”中的一位呢。

映画終盤のクライマックスシーンでは、ジョーカーは自身が地下鉄殺人事件の犯人であることをテレビでカミングアウトし、こう告げる。

在电影最后的最高潮,小丑面对大荧幕宣称自己正是地铁杀人事件的真凶,他这样说道:

「僕にはもう失うものはない。傷つけるものもない。僕の人生はまさに喜劇だ」

“我没什么可失去的了,没什么能再伤害我了。我的人生就是一部喜剧。”

暴動で火に包まれた街を背景に喝采を浴び、エンドロールへと向かうが、現実は異なる。自身を映画の主人公に重ね合わせた幼いナルシシズムが、多くの乗客を巻き込む惨劇を生んでしまった。

小丑站在燃烧着暴动火焰的街头享受着万人喝彩,迎来最终的结局,而现实却完全不同。将自己视作电影主角这一幼稚又自恋的行为,只是将更多无辜乘客卷入其中酿成惨剧。

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