5の書籍名はチベット犬のこと。04年出版の『狼図騰』（邦訳は『神なるオオカミ』）が大ベストセラーとなって以来、動物をモチーフにした小説がひとつのジャンルとして確立している。

6のサブタイトルは「最も人心を励ます企業小説」。こちらも『杜拉拉』と同ジャンル、しかも同じ出版社からの刊行。マイクロソフトの中国地区CEO陳永正氏離任のニュースと前後してネット上で連載が始まったため、描かれている外資系企業の内幕はマイクロソフトのことなのではないかと注目を集めた。

7「人肉捜索」とは、ネット上で特定の人物などを捜索することで、流行語にもなった。話題の事件や事故の関係者について、住所、氏名はもちろん、電話番号、勤務先、家族構成などを調べ上げてネット上に公表するなど、一種のネット暴力として社会現象となった「人肉捜索」を、小説のスタイルで再現、解説している。

8は07年にネット上で人気を集め、その後書籍化されたアドベンチャーミステリーの第4巻。50年前、戦国古墓の位置が記された帛書（絹織物の書）を盗掘者たちが発見。その場に立ち会った者は、不慮の事故で次々に命を落とす。50年後、その子孫が仲間とともに帛書の秘密を追って古墓を目指し……という内容。

9は北京オリンピックをあてこんで乱立されたきらびやかなオフィスビル、高級マンション、郊外のリゾート型住宅を舞台に、金、権力、都市の欲望が渦巻く北京の夜を生きる人々を描く。「北京は、ある男たちのために用意された毒薬……」。実在する地名やホテル、レストランがどっと登場するので北京ガイドとしても活用できそう。

10が描いたのは、天涯孤独の少女と2人の幼なじみ·殺人犯の息子と検察官の息子とのもつれた愛。せつなくて泣ける、と若者に人気の80后（80年代生まれ）作家の最新作。ペンネームの辛夷塢は「モクレンの土手」の意で、唐代の詩人·王維の詩のタイトルにもなっている。

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