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大谷 久留米絣
一寸の仕合せには一尺の魔物が必ずくっついてまいります。人間三百六十五日、何の心配も無い日が、一日、いや半日あったら、それは仕合せな人間です。あなたの旦那の大谷さんが、はじめて私どもの店に来ましたのは、昭和十九年の、春でしたか、とにかくその頃はまだ、対米英戦もそんなに負けいくさでは無く、いや、そろそろもう負けいくさになっていたのでしょうが、私たちにはそんな、実体、ですか、真相、ですか、そんなものはわからず、ここ二、三年頑張れば、どうにかこうにか対等の資格で、和睦が出来るくらいに考えていまして、大谷さんがはじめて私どもの店にあらわれた時にも、たしか、久留米絣の着流しに二重廻しを引っかけていた筈で、けれども、それは大谷さんだけでなく、まだその頃は東京でも防空服装で身をかためて歩いている人は少く、たいてい普通の服装でのんきに外出できた頃でしたので、私どもも、その時の大谷さんの身なりを、別段だらし無いとも何とも感じませんでした。
好事少,坏事多,真的是一点也没有错,一年三百六十五天,无忧无虑的日子能有一天,不,能有半天,那你就算是幸福的人了。你的丈夫大谷先生第一次来我们店里,是昭和十九年的春天,那个时候日本的战争形势还没有这么糟糕,不,可能也快要打败仗了吧,这些情况……这些真相我们也不懂,我们以为只要撑过这两三年,就能和那些国家平起平坐,议和什么的。大谷先生第一次来我们店的时候,穿着一件久留米式碎白点的便服加一件斗篷,但那时不单是大谷先生,东京还很少有人穿着防空服装走来走去,大家都还穿着普通的衣服,也没有提心吊胆的。所以我们那时也没觉得大谷先生的打扮有什么不妥。