关键字:或る 阿呆 一生
どこか遠い空中に硝子の皿を垂れた秤が一つ、丁度平衡を保つている。――彼は先生の本を読みながら、かう云ふ光景を感じていた。…… 夜は次第に明けて行つた。彼はいつか或町の角に広い市場を見渡していた。市場に群つた人々や車はいづれも薔薇色に染まり出した。  彼は一本の巻煙草に火をつけ、静かに市場の中へ進んで行つた。するとか細い黒犬が一匹、いきなり彼に吠えかかつた。が、彼は驚かなかつた。のみならずその犬さへ愛していた。
在不知何处的遥远空中一个悬挂着玻璃盘的天平正良好地保持着平衡。他一边读着老师的书,一边感受着如此的光景。 夜终于渐次地亮了。他在注视着一个城市一角的宽阔市场。市场上的人群车流都被染成了蔷薇色。 他点燃了一根烟,静静地在市场中前行。于是一只瘦狗冷不防地朝他吠叫。但是他并不害怕。非但如此他还喜爱着那狗