源頼光（みなもとらいこう）
大江（おおえ）
平井保昌（へらいのほうしょう）
碓井貞光(うすいのさだみつ）
卜部季武（うらべすえたけ）
坂田金時（さかたきんとき）
渡辺綱
むかし、むかし。源頼光が大江山の鬼を退治しました。それから少し経った、京都羅生門での出来事を今回はお話をしましょう。 巷ではまたしても、鬼がでるという噂がたったのです。今度はなんでも、通りかかった者をつかまえては、『ばりばり、むしゃむりゃ』食べてしまうという評判でした。 それは、春の雨がしとしとと降る晩のことです。 四天王と呼ばれるとても強い武士が頼光のお屋敷に集まって、酒を酌み交わしていました。話も盛り上がってきた頃に平井保昌が、 「このごろ、羅生門に鬼が出るそうだな」 碓井貞光がそれに応えて、 「そういや、俺もそんな噂を聞いた」 そういうと、卜部季武や坂田金時も俄然興味をそそられて、 「それは本当か」 と、はやし立てます。だけど一人、渡辺綱だけはふっと笑って言いました。 「そんなにいくつも鬼が出てたまるものか」 すると貞光は悔しそうに、 「じゃあ、本当にでたらどうする」 と、責め立てます。 「でたら、俺が退治してやるまでさ」 綱も威勢のいいことを言い出します。 「よし、　貴様、これからすぐ退治にいけ」 と、皆はやんや、やんやとまくし立てます。そして綱は、 「よしよし、行くとも」 と、どんどん支度を始めてしまいました。 それからしばらくして綱は、真っ暗な中を雨に濡れながら羅生門の前にやってきました。