都市圏のコンビニでは店員の多くが外国人だ。彼らは「留学生」として来日している。だが来日の目的はあくまで「出稼ぎ 」で、「留学」は建前 にすぎない。なぜそんなことが可能なのか。ジャーナリスト の出井康博氏が外国人労働の歪んだ実態を報告する。

都市圈内的便利店店员大多是外国人。他们作为“留学生”来到日本。但是来日的目的终究是“挣钱”,“留学”只不过个是个幌子。为什么这样的事有发生的可能呢?记者出井康对于外国人扭曲的劳动情况进行了报告。

■なぜ「単純労働」なのに来日できるのか

■为什么只是“单纯劳动”却能够来到日本?

東京などの都市圏では、コンビニや飲食チェーン の店頭で働く外国人を普通に見かける ようになった。人手不足を外国人の労働力でしのいでいるのだ。彼らの大半 は「留学生」のアルバイトである。

东京等都市圈中,经常能看见在便利店或者饮食连锁店工作的外国人。人手不足需要外国人的劳动力。他们中一大半是“留学生”在打工。

政府は、外国人が「単純労働」を目的に入国 することを認めていない。ところが現実には2つの抜け道 がある。ひとつが「技能実習生」、もうひとつが「留学生」だ。

政府是不允许外国人以“单纯劳动”为目的入境的。但现实中有两条路(可以走),一个是“技能实习生”(下文简称实习生)、另一个是“留学生”。

厚生労働省によれば、外国人労働者の数は2017年10月末時点で過去最高の127万8670人に達し、前年から約18%増加した。国籍別ではベトナム人が40%増え、約24万人を数えるまでになった。在留資格は「留学」が24%増の約25万9000人と、「実習」の約25万7000人をも上回る。つまり、日本で働く外国人の約4割が、本来の意味での労働者とは違う「留学生」と「実習生」なのである。

根据厚生劳动省统计显示,外国劳动者的数量在2017年10月末这个时间点达到了过去最多的127万8670人,从前年开始增加了18%。从国籍来说,越南增加了40%、大约达到了24万人。在留资格中,“留学”增加了24%,大约25万9000人,“实习”约25万7000人以上。也就是说,在日本工作的外国人中约40%是凭借和本来意思上的劳动者有差别的“留学生”和“实习生”身份留下来。

「人手不足や景気の回復を背景に、留学生のアルバイトや技能実習生の活用が進んでいる」

“以人手不足和景气恢复为背景,留学生的打工情况和技能实习生的有效利用愈发多起来”

厚労省はそう説明するが、留学生はアルバイトではなく勉強が目的のはずだ。実習生にしろ、政府は「人手不足解消の手段ではない」と一貫して主張している。にもかかわらず 、「人手不足」との因果関係を認めるのはおかしい

厚劳省虽然这么说明的,但留学生并不应该以打工而是该以学习为目的。即使是实习生,政府也一贯主张,“这不是解决人手不足的手段”。因此,承认(外国留学生、实习生打工情况增加)和“人手不足”有因果关系也是很奇怪。

■「実習生」の実態は短期の出稼ぎ労働者

■“实习生”实际就是短期外出赚钱的劳动者

日本人の嫌がる肉体労働では、人手不足が深刻化する一方だ。しかし政府は、外国人が「単純労働」を目的に入国することを認めていない。そこで抜け道として「外国人技能実習制度」が存在する。途上国 への「技能移転 」や「人材育成」という趣旨 のもと、実際には単純労働者を受け入れている。

日本人讨厌的肉体劳动,存在严重的人手不足问题。但是政府不允许外国人以“单纯劳动”为目的入境。因此有了迂回战术的“外国人技能实习制度”存在。以对发展中国家的“技术转让”和“人才培养”等为宗旨,实际上是接收单纯劳动者。

ただし、実習生の受け入れは、繊維・衣服や機械・金属などの製造現場、農業や漁業、建設関係など80弱の職種に限定される。昨年11月に制度拡充で加わった「介護 」を含め、いずれも人手不足が深刻な職種ばかりだ。実習生は最長3年(制度改正によって今後は5年)まで働けるが、大した技能など身につかない。名前は「実習生」でも、実態は短期の出稼ぎ労働者に他ならない。

不过,实习生的接收只限定于纤维·衣服、机械·金属等制造现场以及农业、渔业、建设相关的80种左右的职业。去年11月制度扩充加了“看护”这一项,都是人手不足很严重的职业。实习生最久能工作3年(制度改正后将来是5年),但其实无法掌握多厉害的技能。名称是“实习生”,但实际状态是短期的外出赚钱的劳动者。

コンビニ業界も実習生の受け入れを求めている。ただし、「人材育成」という建前に沿っていなければ、受け入れは認められない。「人手不足対策」という本音 は口にできないわけだ。

而便利店界也寻求接收实习生。但如果不是按照“人才培养”的方针,就不能使用。这种实为应对“人手不足”的真心是无法表露的。

■日本人と同じ仕事をしても給与では大きな差がつく

■和日本人做一样的工作但薪资有很大差别

業界を代表してインタビュー(2017年12月25日付『朝日新聞』朝刊)に答えたローソンの竹増貞信社長も、実習生の受け入れは「人手不足対策ではない」と強調したうえで、こう述べている。

罗森·竹增贞信社长代表业界,在采访(2017年12月25日《朝日新闻》早刊)中也强调了使用实习生并不是为了解决人手不足,还这样说道。

「レジ係に限らず、コンビニには商品の発注 や店舗の清掃など小売業のノウハウ が満載だ」
「コンビニ業務を身につけて自国に帰れば、その国の小売業で活躍できる」

“不局限于收银,便利店中商品的订货、店铺的清扫等零售业的知识是很丰富的”
“掌握了便利店业务回国后,可以在国家的零售业崭露头角”

実習制度には、建前を守るための細かな規則がやたらとある。たとえば、実習生は母国で就いていた仕事を日本で「実習」し、帰国後は復職するというものだ。コンビニでの実習を希望する外国人であれば、母国での小売業の経験が必要となる。

在实习制度中,为了遵守方针会有很多细节性的规则。比如,实习生到日本参与“实习”的工作应该和母国所做的工作相同,回国后恢复原职。如果是希望在便利店实习的外国人,在母国必须有零售业的经验。

だが、実習生の送り出しで中心を占めるベトナムやネパール などアジア新興国では、日本のように小売業は普及しておらず、実習の有資格者も少ない。結果、コンビニでの実習希望者の多くが、ブローカー に「手数料」を払い、ビザ取得に必要な「前職証明」を偽造することになる。実習制度で認められた他の職種でも、当たり前のように行われていることだ。実習生が帰国後に「その国の小売業で活躍できる」という竹増氏のコメントも、制度の現状を見れば現実離れしている。

但是,占领实习生输出中心的·越南和尼泊尔等亚洲新兴国家,并不像日本这样有普及的零售业,有实习资格的人很少。结果造成,想在便利店实习的人大多数要多付中介“手续费”,来伪造签证所需的“原有职业证明”。在实习制度中所承认的其他职业种类也是如出一辙。竹增所认为的实习生回国后“在母国的零售业中崭露头角”这一点,从制度现状来看是不现实的。

日本での出稼ぎを望む途上国の若者にとっても、実習制度はあまりに制約が多い。最長3年までしか働けず、職場を変わることも許されない。しかも給与は手取り で月10万円程度だ。制度上は「日本人と同等以上」となっているが、実際には最低賃金が適用 される。そこから寮費などを引かれると、日本人と同じ仕事をしても給与では大きな差がつく。

对于在日本赚钱的发展中国家的年轻人来说,实习制度有太多的约束。最久只能工作3年,也不允许更换工作场所。而且薪资拿到手是一个月10万日元左右。制度上有说明是“和日本人同等及以上”,但实际上是以最低薪资为标准。从中还要扣除住宿费用等,和做同样的工作的日本人薪资有很大的差别。

■他に増加が目立つのが、ネパール、パキスタン、ミャンマー

■其他增加数量比较显著的是尼泊尔、巴基斯坦、缅甸

そのため実習生よりも留学生として来日する外国人が増えている。「週28時間以内」という留学生の就労制限は、仕事をかけ持ちすれば簡単に破れてしまう。ブローカーも「日本に留学すれば月20万~30万円は簡単に稼げる」と宣伝する。実習生とは違い、仕事は自由に選べ、職場も変わることができる。うまくいけば日本で就職し、長期間にわたって働けるかもしれない。そのため留学を装い、出稼ぎ目的で入国してくる外国人が急増している。

因此,比起实习生,作为留学生来到日本的外国人有所增加。“一周28个小时以内”是留学生的劳动限制,但若从事多份工作就会轻易超过。兼职介绍中介也在宣传“去日本留学的话一个月赚20~30万日元是很简单的”。和实习生不同,(留学生的)工作可以自由选择,工作场所也可以更改。如果顺利的话,还能在日本就职,说不定可以长时间留下工作。所以伪装成留学,实则去日本赚钱的外国人急剧增加。

留学生の数は17年6月時点で29万1164人を数え、12年末から約11万人も増加した。ベトナム人は7倍以上の約7万人を数える。他に増加が目立つのが、ネパール、パキスタン、ミャンマーといった国の出身者だ。12年以降に増えた留学生のうち、4カ国の出身者だけで8割以上を占める。

留学生的数量在17年6月便达到了29万1164人,从12年年末开始每月增加11万人。越南增加了7倍以上、大约有7万人。其他增加显著的是尼泊尔、巴基斯坦、缅甸这些国家的外国人。12年以后所增加的留学生中,这4个国家的人占80%以上。

これらの国の留学生は、ごく一部の例外を除いて出稼ぎが目的だ。彼らは留学ビザの発給対象にはならないはずの存在でもある。留学ビザは、日本でのアルバイトなしで留学生活を送れる「経費支弁能力」のある外国人に限って発給される。留学希望者はビザ取得の際、銀行預金の残高 や親の年収を示す証明書を提出しなければならないのだ。

这些国家的留学生除去极少一部分之外,都是以赚钱为目的的。他们其实不应该是给予留学签证的对象。留学签证是只限于在日本不打工也有能力过留学生活、有着“留学经费支付能力”的外国人。想要留学的人在取得签证的时候,必须提交银行存款的金额、体现父母年收入的证明书。

■出稼ぎ目的の“偽装留学生”を黙認

■默认了以赚钱为目的的“伪装留学生”现状

しかしベトナムなどでは、よほど の富裕層でなければ経費支弁能力はない。そこで銀行や行政機関に賄賂を渡し、ビザ 取得に必要な金額が記された書類 をつくる。数字はデタラメだが、銀行などが“正式に”発行した書類なので、「偽造」とも呼べない。そうしたカラクリをわかって、日本側も留学生として認めている。

但是在越南,如果不是相当富裕的阶层是没有留学经费支付能力的。因而贿赂银行、行政机关,让他们伪造取得签证所必要的金额。数字是荒唐的,但是是银行等机构“正式”发行的资料,所以不能称为“伪造”。即使明白这种操作,日本一侧也接受了他们作为留学生赴日。

それを許しているのが、政府が2020年の達成を目指す 「留学生30万人計画」だ。計画達成のため、出稼ぎ目的の“偽装留学生”までも受け入れられる。そして彼らが入国した後は、人手不足の職種で低賃金の労働力として利用する。

这样做是政府为在2020年达成“留学生30万人计划”。为了完成计划,连以赚钱为目的的“伪装留学生”也一并接收。这样的他们来到日本后,就作为人手不足的职种、低薪资的劳动力来使用。

コンビニや飲食チェーンでも“偽装留学生”が数多く働いている。ただし、コンビニなどで働ける留学生は、ある程度の日本語能力を身につけた「エリート 」だ。さらに“偽装留学生”頼みが著しい職場は、実は私たちが普通に生活していれば目につかない場所にある。

在便利店和饮食连锁店也有很多“伪装留学生”工作。不过,在便利店等处工作的留学生是掌握了一定程度日语能力的“精英”。而多依靠“伪装留学生”的职场其实在我们普通生活所看不见的地方。

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