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牛飼いと織姫

大空を流れる天の川の東に、美しい星があり、その西にも大きな星一つと小さい星二つあります。それは天の川に隔てられている織姫、牛飼いと二人の子供だと言われています。
伝説によれば、織姫は天帝の娘で、七人の姉妹の末娘です。姉妹たちはみんな機織の名手だったそうです。この中で織姫は一番聡明で、手先が器用です。一方、人間界に牛飼いという若者が住んでいます。牛飼いは一頭の年老いた牛を連れて、毎日草原へ草を食べさせます。一年中、牛飼いと牛は田畑に出かけて行って野良仕事をします。両親も兄弟もない牛飼いは一人で寂しく暮らしていました。ある日のこと、突然、年老いた牛が牛飼いに向かって人間の言葉で喋り出したのです。
「ご主人さま、もうすぐ天帝の七人の娘が草原の南の川へ入浴にやって来ますから、あなたはそのチャンスをつかんで彼女達の衣を一枚取って隠しておいてください。そうすれば天女の一人をあなたの妻にすることが出来ますよ。」
牛飼いは牛の言葉に従って、天女達が来るまで川の岸辺の林にこっそり隠れていました。

暫くして天女達が川に入浴にやって来ました。牛飼いは織姫の衣を手にすると、逃げ出して、すぐに岸辺の林の中に隠れました。驚いた天女達は慌てて恥ずかしがって、自分の衣をつけて空へ舞い上がって天界へと逃げ帰て行きました。川の岸辺には、衣が無くなって天界へと帰る事の出来なくなった織姫だけが取り残されました。
牛飼いは林から出てきました。彼は織姫に向かって、「僕のお嫁さんになってくれるなら、衣を返します」と言いいました。機織姫は顔を真っ赤にして迷っていましたが、ついには牛飼いの嫁になることにしました。
結婚後、牛飼いは畑仕事に精を出し、織姫は機を織り、二人はとても仲が良く暮らしていました。二人の間には間もなく一人の男の子と一人の女の子が生まれました。西王母は娘の無断結婚のことを知って激怒しました。彼女は即刻天神を人間界へ使いに出して、織姫を引っ張て天界へ連れ戻させました。
すると、牛飼いは息子と娘を籠に入れ、天秤棒で担ぎ、天界へ織姫を追いかけて行いきました。しかし、西王母は頭から金の簪を抜き、線を一本引ひきました。すると、織姫と牛飼いの間に大きな川が現れました。それは天の川です。天の川はすでに水を高く巻き上げ、大きな波を作っていました。そこで牛飼いは大きな柄杓で天の川の水を掬い、水をなくそうと決心しました。息子と娘もその小さな柄杓を使って協力して水を掬います。

強いで結ばれた二人の間の愛情は、西王母の硬く冷たい心を感動させ、やっと、彼らが年に一度、旧暦の七月七日に、カササギが天の川に掛け渡す11橋の上で会うことを許したのです。これが、民間に伝わっている「七夕」です。
いま、私たちが満天に星の輝く秋の夜空を仰ぐと、ひとすじ12の天の川が横切っているのを見るでしょう。その両岸に、きらきら輝いている大きな星をそれぞれ一つずつ見つけることができます。それが「牽牛星」と「織女星」です。毎年、七月七日には、雨が降らなければいいですが、雨が降れば、それは牛飼いと織姫の流す涙と言われています。

1.「天の川」,名词。银河,天河。
2.「年老いた」,上一段自动词「年老いる」。年老,上年纪。
3.「恥ずかしがって」,五段自动词「恥ずかしがる」。由表示感情的形容词词干加结尾词「がる」而构成。
4.「精を出し」,惯用语「精を出す」。努力,打起精神来。
5.「引っ張って」,五段他动词「引っ張る」。拉,扯,拽。
6.「天秤棒」,名词。扁担。
7.「柄杓」,名词。长把勺子,大瓢。
8.「掬い」,五段他动词「掬う」。掬起,双手捧起,舀,捞取。
9.「絆」,名词。纽带,羁绊。
10.「カササギ」,名词。喜鹊
11.「掛け渡す」,五段他动词。架设。
12.「ひとすじ」,名词「一筋」。一道,一绺,一条,一根。
13.「横切って」,五段他动词「横切る」。横过,横穿过。

《用日语讲的中国民间故事》
作者:刘德润,刘淙淙,尚学艳 编著
出版社:中国宇航出版社
本 书可供日语专业2、3年级学生课外阅读,加强口语表达能力,也可以作为日语方向旅游专业的教材,或是过级考试的辅助阅读教材。本书分为4个单元,共选入 了40篇课文,根据由浅到深、由易到难的原则编排。每篇都由日文原文、中文译文、注释、语法重点、文化链接5部分构成,语法重点主要讲授日本国际交流基金 举办的“日本语能力考试”N1语法、N2语法中规定的语法与句型。
注:本文内容节选于《用日语讲的中国民间故事》一书。本书由中国宇航出版社出版,沪江日语授权转载部分内容。