猫鳴り [著]沼田まほかる 
[文]瀧井朝世(ライター)   [掲載]2011年09月04日

猫的叫声    【著】沼田真帆香留
【文】泷井朝世(撰稿人)  【刊登日期】2011年9月4日

猫の一生、厳粛容赦なく

猫的一生,严峻以待、毫不姑息

沼田まほかるの文庫作品が売れている。本書も刊行から1年経ち、ついに10万部に届いた。著作のなかで唯一サスペンス色のない文芸作品であるが、これがまた名作なのだ。

沼田真帆香留的文库作品正在发行。这本书从刊行开始只过了一年,竟卖出了10万本。虽是作者自身唯一没有悬疑色彩的文艺作品,却仍不失为一部佳作。

描かれるのは1匹の猫の一生。第1部では子供を流産した中年夫婦のもと仔猫(こねこ)が現れるが、妻は捨てようとする。第2部では結局夫婦に飼われたその猫に、心の荒(すさ)んだ少年が遭遇。第3部では夫は妻に先立たれ孤独に暮らしており、老猫はいよいよ最期の時を迎えようとしている。編集者の反町有里さんが執筆を依頼した時、著者は「ひとつ書きたいことがある」と言ったという。それが第3部であり、そこには愛猫を看取(みと)った実体験が反映されている。

书中描写的是一只猫的一生。第一部,出现了一对流产了孩子的中年夫妇,他们膝下原有一只小猫,而妻子却想要抛弃它。第二部,那对夫妇最终还是饲养了那只猫,一个散漫颓废的少年与它相遇了。第三部,丈夫在妻子死后孤独地生活着,老猫也终于要迎接生命最后的时刻。委托编辑反町有里拜托作者之际,笔者说“有一个想写的东西”,那就是在第三部里,照顾爱猫的真实体验的写照。

動物好きなら、猫が捨てられる場面や死別する展開を読むのは辛いと思うかもしれない。しかしこれはいたずらに涙を誘う小説ではない。したたかに生きた猫が寿命をまっとうする様を見つめ、厳粛に命と向き合う境地に至る人間の心模様。その静かだが力強い筆致は見事というしかない。「原稿を読んだ時、細かなエピソードの描写の巧みさに震えがきました。薄い本ですが壮大な物語を読んだような気持ちになります」と反町さん。

如果喜欢动物,读到猫要被抛弃的场面或生离死别的情节可能会觉得很痛苦。然而,这并不是白白赚人眼泪的小说。这部小说聚焦于猫正经对待生命、肃然直面命运、有如人一般的心境。这种静谧却强而有力的笔锋是非常卓越的。反町先生评价道“读原稿的时候,那种细致情节描写的精巧令人震撼。虽然是一本薄薄的书,却感觉好像读到了宏大的故事。”

昨年末に本の雑誌社の『おすすめ文庫王国2010—2011』のエンタメ部門第1位に選ばれ、同時期に仕掛けを展開する書店も登場。加えて「春に同じ著者の単行本『ユリゴコロ』を刊行するにあたり、著者の知名度を高めておこうと1月頃から既刊の本書の販促を開始。すると部数が大きく動き出しました」と営業局の奥山秀さん。その好調ぶりを受け他社も追随した結果の沼田ブームというわけ。どれも50代でデビューした遅咲き作家の人間を見る確かな目、細やかかつ容赦のない書きっぷりに圧倒される。

去年末,本书被选为《推荐文库王国2010-2011》杂志社娱乐部第一名,同时也出现了一些推广该书的书店。营业局的奥山秀先生补充道“在春天,本作者的单行本《ユリゴコロ》刊行的同时,为提高作者的知名度,从1月左右开始进行已出版的这本书的促销活动。结果发行量大增。”畅销之余,其他出版社也纷纷仿效,造成了“沼田热潮”。见证了这位50多岁才出道的大器晚成的作家,其精细入微、毫不留情的写作风格独树一帜,技压群雄。

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