あなたはエレベーターや満員電車など人ごみの中で、視線をどこに向けていますか?

当你在电梯或是满员电车等人很多的情况下,你的视线会看向哪里?

エレベーターなら「階数表示ランプ」という答えが案外多いのではないでしょうか。

如果是电梯的话,回答“楼层显示屏幕”的人意外的多。

今、何時かを確認するために時計をしばしば見るのと同じように、今、どこにいるのかを確認するために「階数表示ランプ」を見るというのが自然の心理でしょう。

与确认现在几点而时不时看时间一样,为了确认现在到哪里了看“楼层显示屏幕”也是自然而然的心理。

でも、他にも心理的理由があるかもしれません。

但是说不定还有其他心理。

今回は一つずつ、その理由を紐解いていきましょう。

这次就逐一解开这些理由。

階数ランプを見る理由1:見当識

看楼层屏幕的理由1:知晓时间和自己的处所

自分や自分が生活している状況を、客観的に正しくとらえる精神機能を「見当識(けんとうしき)」といいます。

客观正确地捕捉自己及自己生活状态的精神技能就是“见当识”。

現在の時間、今いる場所、自分自身の年齢や氏名、生年月日などが、見当識の身近な指標です。

现在的时间,目前所在位置,自己的年龄和名字,出生日期等,都是身边见当识的指标。

近年、この見当識が障害されている状態に注目が集まっています。

近年来,见当识发生故障的状态引人注目。

精神疾患と認知症です。

是精神疾病和认知症。

どちらも、脳の機能が障害されていることに起因します。

无论哪个,都是大脑机能被迫害所引起的。

ですから、見当識がしっかりしていることは、脳の機能が正常な健常者の基本のようなもので、通常、当たり前のように、また反射的に、私たちは見当識を確認しています。

所以,见当识稳固运作是脑机能正常的健康者应具备的基本,通常,我们是理所当然地,也是反射性地,自己在确认见当识。

時計を見て時間を確認したり、エレベーターで現在の階数を確認したりといったようにです。

就像看表确认时间,在电梯内确认现在的层数一样。

ですから、エレベーターで階数ランプを見るのは、反射的な見当識の確認作業ということができるでしょう。

因此,在电梯内看楼层显示屏幕,是反射性的见当识的确认行为。

階数ランプを見る理由2:パーソナルスペース

看楼层屏幕的理由2:个人空间

通勤電車やエレベーターなどで、見知らぬ人が寄ってきたり、やたら近づいてくると不快に感じることはありませんか。

通勤时的电车和电梯等空间中,不认识的人靠过来,靠得非常近的时候有没有感到不快?

これは、パーソナルスペースといって、自分を中心とした円周状に広がる距離空間の影響によるものです。

这是因为受到个人空间,即以自己为中心圆周状扩散的空间的影响。

相手と自分の距離が近ければ近いほど、赤の他人だと、自分の縄張りを犯されたように不快に感じてしまいます。

如果是完全不认识的陌生人,对方与自己的距离越近越会有侵犯了自己的地盘一般不快的感觉。

反対に、家族や恋人など親しい人が、パーソナルスペースに入ってきてくれないと、孤独感を強く感じることになります。

相反的,如果是家人或者恋人等亲近的人,不进入个人空间反而会感到强烈的孤独感。

このようなパーソナルスペースの見解からすると、満員のエレベーター(あるいは通勤電車)など、赤の他人がパーソナルスペースに入ってこないことを確保できない空間では、不快感から目を逸らせるために、エレベーターだと表示階をじっと見つめていたり、満員電車だとつり革広告や液晶ディスプレイを見つめていたりするでしょう。

从个人空间的观点看,满员的电梯(或是上下电车),无法确保不让陌生人进入个人空间,为了逃离不快感而把眼睛转向别处,盯着电梯上的楼层数看,满员电车的话,就看吊环上的广告或液晶屏。

エレベーターで階数ランプを見る2つ目の理由は、赤の他人とくっつきすぎていることが不快で、その状況から目を背けるために「階数ランプ」に意識を集中するというものです。

电梯内看楼层屏幕的第2个理由是陌生人与自己靠太近产生的不快,为了逃离这种状态而把眼睛移开,所以把目光集中在了“楼层显示屏幕”。

階数ランプを見る理由3:対人恐怖

看楼层屏幕的理由3:对人的恐怖

大勢の人前で話をしたり歌ったり、初対面の人と会ったりすることに緊張や恐怖感を覚える人は少なくないでしょう。

有不少人在众人面前说话唱歌、与没见过的人第一次见面时会感到紧张和恐惧吧。

多かれ少なかれ誰にもあるこの傾向は、精神医学的には「対人恐怖」の影響と考えられています。

或多或少谁都有这样的倾向,在精神医学上认为这是“对人恐惧”的影响。

対人恐怖の傾向が強い人には神経質だったり、恐怖心をもちやすい「怖がり」だったりする人も少なくありません。

对人恐惧倾向强烈的人中有不少人会有神经质,容易产生恐惧心。

ちょっとしたことが気にかかったり、人前に立つのが怖かったりしやすい傾向があります。

会产生对一点小事都放心不下,站在人前都会容易恐惧的倾向。

ところで、対人恐怖には、対人緊張、赤面恐怖、スピーチ恐怖、電話恐怖など、さまざまな症状があることが専門家から指摘されていますが、昨今、割と多いといわれているのが、「視線恐怖」です。

另外,专家指出对人恐惧有对人紧张、陌生人恐惧、竞赛恐惧,电话恐惧等许许多多的症状。近来,被人议论的比较多的是“视线恐惧”。

これには、「他人の視線が気になる」というタイプと、「自分の視線が相手に嫌な感じを与えるのが怖い」というタイプがあります。

这分为“非常在意别人的视线”的类型和“自己的目光让对方感到讨厌而恐惧”的类型。

どちらにしても、視線恐怖の傾向が強いと、とくに、満員電車やエレベーターなど、他人が大勢いるなかで、まなざしを人に向け、視線が合ってしまうことを何よりも恐れたり嫌がったりします。

无论哪种,视线恐惧的倾向强的话,特别是满员电车和电梯等,有很多人的地方,把视线对着人,当视线对上的瞬间比什么都恐惧,厌恶。

そこで、視線が合わないところにまなざしを向けざるを得ず、結果として階数ランプに目が釘づけになるような事態となります。

因此,只好把目光放到视线碰不上的地方,结果就变成了盯着楼层显示屏幕。

エレベーターで階数ランプを見る3つ目の理由は、近くの人と視線を合わせたくないためです。

看电梯楼层屏幕的第3个理由是不想对上附近的人的视线。

階数表示ランプがない?

没有楼层显示屏幕?

最近、とくにオフィス仕様の大規模ビル用のエレベーターなどでは、すべての階での待ち時間が最短になるようファジィ制御を行い、結果として、階数表示をしていないエレベーターが増えているのだとか。

最近,特别是办公大厦用的电梯,为了把所有楼层的等待时间缩到最短,使用了模糊操控,结果就是,没有楼层显示屏幕的电梯变多了。

エレベーターを待っている人がイライラしないように、このシステムは構築されているそうですが、そうなると、以上に述べたような階数表示を見る心理的理由はシフトしていくのでしょうか?

据说是为了不让等电梯的人感到焦虑,所以才构筑了这个系统。这样的话,以上所述的看楼层显示屏幕的心理是否会转变呢?

今後の動向が楽しみです。

期待看到今后的发展。

本翻译为沪江日语原创,未经授权禁止转载。

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