教師をしていた私の母は忙しく、休みの日にはきまって、肉とピーマンのいためものが食卓にのぼった。あまり料理に手間をかけられない母だったが、その素朴なしょうゆ味はいかしていた。フライパンでいためるいいにおいが、今でもただよってくる気がする。私は幼いくせに、ピーマンが大好きだった。普段帰りもおそく、なかなか一緒の時間をもてなかったが、休みの日の食事は楽しかった。私のことは、全力で愛してくれた。

当老师的母亲很忙碌,但是在休息日一定会做青椒炒肉。虽然在做菜上不怎么花时间的妈妈,但是那质朴的酱油味却很赞。在煎盘里翻炒的的香味,仿佛弥漫至今。那时我尽管年幼,但却很喜欢青椒。平常回家得很晚,很难有在一起的时间,不过休息日时一起吃饭却是非常开心的。母亲全心全意地爱着我。

そんな母が、中二のとき亡くなった。一人っ子でのほほんとしていた私は、事実を受けとめきれず、途方にくれ、ぼんやりとした日々をおくった。

母亲在我初二的时候去世了。身为独身子,游手好闲的我无法接受这个事实,不知所措,浑浑噩噩地过着每一天。

しばらくして、父娘の生活を心配した叔母の世話で、新しい母が、我が家にやってくることになった。理解しようとしても、対応しきれない自分がいた。

姑姑很担心我和爸爸的生活,托她的福,过了不久,新妈妈来到了我的家。我试图去理解,却不能好好面对。

慣れるためにと、土日のたびに通いはじめた母は、ある日、あっけらかんとした調子で「チャーハンつくってみる?」といった。新しい母の手料理をはじめて食べた日だった。玉ねぎ、人参を細かくみじん切りにし、ハムを加えただけのものだっ たが、父と二人で市販のおかずばかり食べていた私にとっては、びっくりする美味しさだった。「最後に、おしょうゆをなべはだにジュッと入れるの」そんなふうに言っていた。

为了相互熟悉,每逢周末新妈妈便会来我家。有一天,新妈妈随口一说:“我试着做下炒饭吧”。那天是我第一次吃新妈妈亲手做的饭菜。虽然只是将洋葱和胡萝卜切碎,再加上火腿,但是对于总和爸爸吃外食的我来说,却是令人无比惊讶的美味。然后新妈妈问道:“最后在锅里放不放点酱油呢?”

思えば、あのチャーハンの日から、母との距離は、少しずつ縮まっていった。ときにはぶつかり、ときには黙りこみ、それでも徐々に、私たちは家族になったと思う。

回想起来,从炒饭的那一天开始,我与新妈妈的距离在一点一点地缩小。时而分歧对立,时而沉默不语,尽管这样,渐渐地有了一家人的感觉。

結婚し家を出てから、「私たちみたいにうまくいっている親子いないみたいよ、なさぬ仲ってやつなのに」とこれまた面白そうに言い放つ母。たしかに、里帰り出産をし、その後もなんだかんだと仲よくやっている。

在我结婚搬出家之后,新妈妈总会开心地说道:“虽然我们没有血缘关系,但是可能没有像我们这样相处融洽的母女了。”确实是这样。我回家生小孩,在那之后各方面都关系融洽。

私は今、五十才を過ぎ、自分の人生を振りかえるとき、不思議だなあと思う。ピーマンをみると亡き母を思い出し、私にくれた愛情の深さに、せつなくなる。同じ味が再現できているかどうか定かではないが、肉とピーマンのいためものは、娘二人の大好物だ。

我现在已经五十多岁了,回顾自己的人生,深深地感到不可思议。一看见青椒便会想起去世的母亲,想到她倾注的爱,便会感到很难受,虽然不确定是否会重现同样的味道,但是青椒炒肉却是我们母女两人最喜欢的菜。

そして今の母は、七十代も半ばだが、元気で、遊びにいくと張りきって、ちらし寿司 やパエリアをつくる。手づくりのジャムを持たせてくれる。あの日のチャーハンにはじまり料理好きな母の口ぐせは、「何でもうちでつくるのが一番」だった。 気づくと、娘たちに「何でも買える時代だけど、うちのごはんって美味しいよね」と自我自賛している自分がいる。

现在妈妈也已经70岁过半,但是精神很好,一出去玩便干劲十足,会做什锦寿司啦西班牙海鲜饭,还会让我们带自制的果酱。从那天炒饭开始,喜欢做菜的妈妈的口头禅就是“不管做什么,在我们家做的都是最好的。”等我意识到,原来妈妈这是在对女儿们自我夸奖啊,“虽然在这个时代什么都能买到,不过我们家的饭还是最好吃的。”

親の立場になり、娘たちを育て、二人の母への感謝の気持ちを強くしている。とともに、料理って人の心に残るものだなあと思う。美味しいものを食べると、人は優しくなるのかもしれない。

当我站在母亲的立场上,养育女儿的时候,对于两位母亲的感激之情就更为强烈了。同时我想,食物也能残留于心啊。吃到美味的食物,人或许也能变得温柔。

これから新しい家族をつくっていくであろう娘たちにも、上手でなくていい、人をあたたかくする手料理をふるまってほしい。

我希望今后组建新家庭的女儿们能够做出温暖人心的饭菜,哪怕味道不是很好也没关系。

(本文朗读音频来自沪友,ID:田中麗子

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