二等奖

「中日友好若者の視点から

王維聖(東北財経大学)  

「中日友好のために、微力ながらも全力を尽くしていきたい」という言葉を中日関係に関することを語る時、何気なく偉そうに使っている人がかなりいるだろう。実は昔、私もその一人だった。しかし、「言葉の巨人、行動の侏儒」というように、中日友好に対する本当の意味で貢献したことは、恐らく一つもないことに気付いた。言葉ではなく、何か行動しなければと覚悟した。

そこで、2015年4月28日~5月1日、内モンゴル恩格貝のクブチ沙漠で私は第8回日中青年沙漠緑化交流会に参加した。ボランティアとして、中日交流会に参加したことは初めてで、本当に様々な考えに触れることができ、良い経験になった。同時に、中日の関係、特に友好関係を築くためにあんなにも多くの学生、社会人がいることに刺激を受けった。

クブチ沙漠で、私のような中日青年ボランティアたちが沙漠の厳しい環境に悪戦苦闘しながらも現地の方と協力し、約1500本の苗木を植えることができた。15年にわたりこの活動が行われてきた。活動によって創成された「地球倫理の森」はもう中日友好のシンボルとして注目されている。不毛の沙漠だった恩格貝は今、心を癒すオアシスとなっている。「少しでもその力になればいいなぁ」と思って、中国緑化のために活動してくれた日本の青年と顔を合わせて一緒に交流し合い、充実した時を過ごすことができた。

当時、主催者は「中国で植樹をするのは、過去の歴史の償いであり、未来の友好への期待でもある」と語った。日本の友人は長年にわたり中国の人々に知られない片隅で黙々と汗を流し、多くの荒れ山や沙漠に緑の木陰ができた。これは中国にとっても日本にとっても、また中日友好にとってもプラスになる。このような友好的でプラスの活動がより多くの人に知られ、両国国民の心により多くの友好のエネルギーを蓄積し、両国関係の改善と発展を後押しすることもできると深く思った。中国には「樹木を育てるのに10年、人を育てるのに100年」という諺がある。私は中日両国人民が手を携え、樹木を1本1本植え、友情の種を1粒1粒まき、自然が美しくなり、両国人民の心が溶け合うという素晴らしい目標を実現できることに信じている。

また交流会の中で最も印象深かったのは討論会である。グループ討論では日中青年達は積極的に自分の意見や主張を率直に出し合い、激しい討論が繰り広げられ、泣いた青年もいたが、友情の種まきができたというとても喜ばしい成果のある交流ができた。「中国に来る前に中国のことが嫌いだ、沙漠交流により、中国への理解が深まり、中国に好きになった」と感慨する日本青年、また「日本の青年との交流、討論により、日本に対する認識が変わった、とても良き日本の友人ができた、来年もぜひ、参加したい、仲間も連れてきたい」と熱く要望する中国の大学生が数多く出た。交流会で、私は日本人の方と交流をしてみないと知り得ないことがたくさんあると気づき、出会いこそが理解への第一歩であることを実感した。

中国と日本は同じアジアの国であるが、国が異なれば文化や価値観も異なるのは当然のことである。しかも戦争のせいで、中日両国がお互いにずっと誤解している。例えば中国の新聞・テレビなどの報道では、どうしても日本のマイナス面ばかりが取り上げられることが多く、それに影響された私たちは日本を否定的に捉えがちである一方、その情報が正しいのか否かを問うことを見落としてしまっている。または日本の報道によると中国の教科書では日本のことが悪く書かれているとあるが、実際のところ、教科書を読んで反日感情を抱くことはほとんどない。そして反日デモを行っている人は、ほとんど高等教育を受けていない人そうである。

残念ながら、現在の中日関係がどうも冷やかで絶えず波立っている。しかしあまり良くない今だからこそ異文化理解を深め、悪い点だけを考えるのではなく、良い点も考え、お互いに理解しあうことの大切さを認識すべきである。

これからは、私たち若者が社会を支える時代である。中日友好のためには、若者同士の草の根レベルでの交流が欠かせない。今後の中日関係を変えるために私たちは何を理解しなければならないのか、どんな行動を起こしたら良いのかを一人ひとり考えるべきである。

そしてネットやメディアの情報に流されることでなく、先入観にとらわれず、自分が目で見て、自分の肌で感じたことをより多くの人に伝えることなど、地道であるが、私たちができる中日友好の関係を築くきっかけになるかもしれない。

皆、大河も水の一滴から,出来ることから始めましょう。

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