私たちは、どこにあるかも分からない「幸せ」というものに、いつも憧れて生きている。

我们总是憧憬着不知道呆在哪个角落的“幸福”而活着。

人から見れば十分に恵まれた人生かもしれないけど、心はどこか満たされなくて、小さな不満や不自由を抱えている。何度答え合わせをしてみても、正解なんて分からない。きっとそういうものなのだろう、人の幸せなんてものは。

在别人眼里可能是十分幸运的人生,但内心还有一个地方没有填满,怀抱着小小的不满和不自由。多次探讨,仍不知正解。一定就是这样了吧,所谓幸福。

だからこそ、正解じゃなくていい。せめてヒントになるものを見つけたい。

所以,就算不是正解也无所谓。至少想要找到一点灵感。

そう思って、話を聞いてみたのが、児童文学作家の角野栄子さん。日本中を魅了した『魔女の宅急便』をはじめ、これまで400点近い著作を発表。

这样想着,我们采访了儿童文学作家角野荣子老师。以在日本著名的《魔女宅急便》为主,至今已发表了将近400部作品。

今年3月に「小さなノーベル賞」とも言われる国際アンデルセン賞を受賞した角野さんは、生き方がとても本質的。

今年3月角野获得了有着“小诺贝尔奖”之称的国际安徒生奖,她的生活方式也十分质朴。

【角野 栄子(かどの・えいこ)】児童文学作家。1935年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務後、結婚。24歳の時ブラジルに渡り2年間滞在する。その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 —ブラジルをたずねて—』で作家デビュー。その後 『小さなおばけシリーズ』、『魔女の宅急便』『トンネルの森 1945』 など数多くの絵本・児童文学作品を発表。2018年、日本人3人目となる国際アンデルセン賞を受賞した。

角野荣子  儿童文学作家。生于1935年。出身于东京都。毕业于早稻田大学教育学部。出版社工作后,结婚。24岁时曾在巴西待过两年。以这段经历为蓝本的纪实小说《路易斯尼奥少年——来到巴西》作为作家出道。之后,发布了《小妖怪系列》、《魔女宅急便》《隧道之森1945》等众多的绘本・儿童文学作品。2018年,成为了获得国际诺贝尔奖的第3个日本人。

既製の服は着ずに、自分の体型に合わせたオリジナルのワンピースを知人に仕立ててもらったり。自分のテーマカラーを“いちご色”と決めて、部屋の壁紙や本棚も全部いちご色で統一したり。

不穿现成的衣服,让熟人缝制符合自己体型的连衣裙。决定了自己的主题色是“草莓色”,房间的壁纸和书柜全部统一成粉红色。

余計なものは好まず、常に自分が楽でいられることを大事にするライフスタイルは、悩み多き働く女性たちの理想形ではないだろうか。

这种不喜欢多余的东西,重视让自己高兴的事情的生活方式,难道不是有许多烦恼的工作女性的理想型吗?

83歳になった今も、少女のような瑞々しい感性と、大人の女性としての美学を持った角野さんに、幸せな生き方について、じっくり、たっぷりと語ってもらった。

角野就算已经到达83岁,仍拥有像少女一般清新的感性和成熟女性的美学,关于幸福的生活方式,谈了很久很久。

どんなに辛いときでも光を見つけてくる力が、人間には備わっている

无论多么艰辛,人类拥有找到光的能力

私、人にああしろこうしろって言うことはしたくないの。だって、人の人生だもの。皆、それぞれ生き方も考え方も違って当たり前。他人が何か決めつけるようなことはしたくないのね。

我不喜欢被人指指点点。毕竟,这是人生啊。所有人自然是不同的生存方式和思考方式。我不想干别人决定的事情。

だから、今からお話しすることは、あくまで私の考え。合わなかったら、そのまま聞き流してくださっても大丈夫。そんなに構えずに、気楽に聞いてください。

所以,现在说的话,只是我个人的考虑。如果和你想的不一样的话,就当耳边风好了。不要太拘束,简单简单的听就好了。

毎日を幸せに生きるなんて、とても難しい話よね。私だって、我が身の不幸を嘆きたい日もあれば、落ち込む夜もある。そんなの皆、同じよね。

每天都活的很幸福,是一件很难的事情。我也是,也会感叹自身的不幸,会在夜晚消沉。这一点,大家都是一样的吧。

むしろ「不幸」を感じたことがないという人がいたら、そっちの方がおかしいんじゃないかしら。

倒不如说没有感受过“不幸”的那部分人更加奇怪吧

でもね、そういった悲しみや暗い気持ちこそ、人を動かすエネルギーになるんです。まずそれを覚えておくといいですね。それだけで、ずっと気持ちが楽になるから。

但是,正是这样的悲伤和阴暗面,才是人成长的能量。首先记住这一点比较好。仅仅这样,就能一直保持愉快的心情。

人間ってよくできているもので、ずっと落ち込んだままではいられないの。どんなに気持ちが塞ぎ込んでも、ちゃんとそこから光を見つけてくる力が備わっている。

人类是很顽强的,不会一直消沉下去。无论多么郁闷,也拥有从中找到光的能力。

私の人生を振り返ってみてもそうでした。私が人生で最も沈みこんだのは、24歳でブラジルへ渡ったとき。大学を出て就職した私は1年半で寿退社。そこからもっと外の世界を見てみたくて、夫婦二人で2カ月間の船旅を経て、ブラジルへと移住しました。

回顾我的人生也是如此。我人生最消沉的的时候就是24岁去巴西的时候。大学毕业工作1年半之后由于结婚而离职。之后想要见识更广阔的世界,我们夫妻二人经过了2个月的游船旅途,移居到了巴西。

でも、言葉も全然分からないし、お金もないし、生活様式も違うし、最初の半年間はお肉1枚買うのもひと苦労。自分で選んだくせに、とんでもないところに来てしまったって毎日ため息ばかりついていました。

但是,语言完全听不懂,也没有钱,生活方式也不一样。最开始的半年就连买块肉都十分困难。明明是自己选的,却来到了无法想象的地方,每天都在叹气。

小さな世界に閉じこもっていると周囲が「敵」に見えてくる。でも、外に出ればそれが思い込みだと分かるはず

把自己关在狭小的世界里周围的人就会像“敌人”。走出去就会明白这都是自己的臆想

でもね、人間ってよくできていて、そんなどん底みたいな生活もいつの間にか慣れてくるのね。ずっと家に閉じこもりきりの生活だったのが、半年を過ぎた頃から、ちょっとずつ外へ出てみたいと思うようになりました。

但是,人是很顽强的,如此跌入谷底一般的生活也在不知不觉间习惯了。一直闭门不出的生活大概过了半年,开始想着出去看看了。

すると、あんなに怖かったはずの言葉の通じない相手とのコミュニケーションが、何だかとっても面白く思えたの。相変わらず単語の意味なんて分からないのよ。

于是,原本那么恐怖的和语言不通的人交流,也变得有些有趣了。虽然还是不明白单词的意思。

でも、その言葉の持っている音やリズムを拾い取れば、大体相手の言っていることが分かる。そうしたら、どんどんブラジルの人たちと交流するのが楽しくなって。気づいたらたくさんのお友達ができていました。

但是,只要听懂了那个语言的语调和节奏,大概也能明白对方想说什么。这样子以后,和巴西人交流变得越来越有趣。意识到的时候有了许多的朋友。

誤解しないでほしいんですが、決して私は楽天的な性格ではないの。むしろ普段からいらぬ取り越し苦労ばかりするタイプ。

不要误会,绝不是我本身就是乐天派的性格。倒不如说是平时老是自寻烦恼的那一类。

でも、ブラジルに移り住んで思ったんです。辛いことがあったとき、いつまでもじっとしていてはダメだって。人ってじっとしていると、周りが全員「敵」に思えてくるもの。でも、実際のところそんなのただの思い込みなのよね。それが、一歩外に出てみればよく分かる。

但是,移居到巴西后我才发现,当痛苦的时候,一直一动不动是不行的。人要是一直不动的话,就会觉得周围都是“敌人”。但是,实际上这只是自己的臆想。只要向外迈出一步就会明白的。

家の中でじっとしていたら空気が停滞するでしょう。そうすると、心持ちも自然と澱んでしまうもの。

在家里一直不动的话,空气就会停滞。这样的话,心情自然也会下沉。

だから理由なんて何でもいい。靴を履いて外へ出てみるの。外の風にあたってみることはすごく大事。それだけでほんの少し心の風通しが良くなる気がするでしょう?

所以无论什么理由也好。穿上鞋子出去走走。在外面吹吹风是一件很重要的事。这样心情也会觉得有点放松吧。

私は結果的に2年間ブラジルで暮らしましたが、振り返ってみればとても楽しい毎日でした。

结果我在巴西住了2年,回过头想想每天都很开心。

私が35歳で作家になったのも、「ブラジルでの生活のことを書いてみたら」という恩師の一言がきっかけ。もしあのとき、ずっと家の中で膝を抱えたまま誰とも関わることがなかったら、私は作家になっていなかったかもしれない。

我在35岁成为作家的契机是由于恩师的“不如写写在巴西的生活?”这句话。如果那时,我一直抱着膝盖窝在家里不和任何人接触的话,我也许就不会成为作家了吧。

そう思うと、ほんの少し気分を変えるために外へ出たことが、人生をがらりと変えることさえあるのよね。

这么想的话,就为了调节一下气氛去外面转转,居然会让人生天翻地覆。

想像力こそ、人間が持つ一番の魔法

想象力才是人类拥有的最强的魔法

小さい頃から本を読むのは好きでしたけど、自分が書く側になるなんて全く思ってもいませんでした。

小时候虽然喜欢读书,但从没有想过自己会变成写书的。

それが気づいたら約50年、ずっとこの仕事を続けているんだから、人生って不思議なものですね。

意识到的时候大概过了50年,一直在做这件事情。人生真是不可思议。

どうして私が83歳になった今も物語を書き続けているのかと言ったら、答えは簡単。好きだから、ただそれだけです。

说道为什么我83岁了还在写故事,回答很简单。因为喜欢,仅此而已。

もちろん上手く書けなくて悩むことだってあります。でも、たとえどんなに苦しくても、それが好きなことなら続けられる。好きなことを見つけられて、それを仕事にできたという意味では、私の人生はとても幸せなものだと思う。

当然写不好的时候也会很苦恼。但是,无论多么苦,喜欢的时候就能坚持下去。找到喜欢的事情,并把它发展成事业这个角度来看的话,我的人生十分幸福。

だから、まずは自分の好きなものが何か分かる人間になること。それが、幸せに生きるための一つの手がかりではないかしら。

所以,首先成为知道自己喜欢的是什么的人。这不就是幸福的生活下去的一个线索吗?

でも、世の中、必ずしもそんな恵まれた人ばかりじゃあないかもしれない。自分の仕事を好きになれなかったり、やりがいを感じられない人もたくさんいます。

但是,世上,并不是所有人都如此幸运。不喜欢自己的工作,没有感觉到工作的价值,这样的人也很多。

だからと言って自分の仕事を放棄しても、事態は何も変わらない。だったら、目の前のつまらないと思える仕事の中から、どうやったら楽しめるところを見つけられるか、そのために心を動かしてみるといいんじゃないかしら。

尽管如此就算放弃了自己的工作,情况也不会改变。这样的话,从眼前无聊的工作中,能否找到愉快的地方,为此让心动起来不也挺好的?

そこで必要になるのが、想像力ね。私、想像力って人間が持つ一番の魔法だと思うの。想像を膨らませるのはお金もかからないし、体力も必要ない。極端な話、たとえ体の自由を奪われることがあっても想像の自由だけは誰にも侵されない。

为此需要的就是,想象力。我认为想象力是人类拥有的最强的魔法。膨胀想象既不需要金钱,也不需要体力。极端来说,就算身体的自由被剥夺了想象的自由谁也拿不走。

毎日同じように見える暮らしの中で、ちょっと想像力を働かせてみるの。自分の仕事がその先どこにつながっているのか想像をめぐらせてみてもいいし、どうすればもっとラクして簡単にこなせるか、創意工夫をするためにイマジネーションを使ってみてもいい。

在每天重复的生活中,稍微发挥一下想象力。想象一下自己工作将来会和什么有联系也好,如何才能更简单的掌握变轻松,为了别出心裁使用一下创造力也好。

そうしたら、ほら、ちょっと気持ちが明るくなるでしょう。想像力は、目の前の景色をカラフルにさせる。楽しいも、つまらないも、つまりはほんの小さな心掛け次第です。

如此,你看,心情稍微有点开朗了吧。想象力会让眼前的景色变成彩色。快乐也好,无聊也好,也不过就是一点小小的用心。

「私はいまだに自分のことを18歳だと思っているの」

“我现在仍认为自己是18岁”

あともう一つ、幸せに生きるために忘れてはいけないことは、人のせいにしないこと。つい自分にとって悪いことがあると、誰かのせいにしてしまいがち。

还有一个,想要幸福的活下去不能忘记的一点就是,不要怪罪他人。自己身上发生了坏事,很容易就怪到别人身上。

でもそうやって人のせいにばかりしていたら、どんどん心が貧しくなる。そんなの余計に寂しいじゃない?

但是如果都怪罪到别人身上,长此以往,心就越来越贫瘠。这样不是反而变孤独了?

だからと言って、自分のせいだと考えすぎるのも良くない話ね。そうやって自分をダメだダメだと否定していても未来がない。

尽管如此,过于责备自己也不好。老是觉得自己不行否定自己的话也没有未来。

想像してみて。皆それぞれ名前があるでしょう。どの名前もきっとお父さんやお母さんが幸せな未来を祈ってつけたものだと思います。そんな場面を想像してみたら、もっと自分を大切にしてあげなきゃって思うでしょう?

想象一下。大家都有自己的名字。无论哪个名字肯定是父母们所祈祷的幸福的未来。想象一下那样的画面,就会觉得要更加珍惜自己吧?

せっかく生まれてきたんだもの、楽しく生きなくちゃ。

好不容易来到这世上,一定要开心的活着。

私は人の同情を買いたいときだけ「もう歳だから」って言うんだけど、実際のところ、自分が年齢を重ねたなんて考えたことがないの。いまだに自分のことを18歳くらいだと思っているところがある。

我只会在想让人同情的时候说“已经老了”,实际上,自己从来没有想过年龄增加这件事。现在还是觉得自己还活在18岁的状态。

若い人と話をしているのも楽しいし、周りの人たちは誰も私を年寄り扱いしないから、一緒に歩いていても全然スピードなんて合わせてくれないし、荷物だって持ってくれないんです(笑)。でも、それがいいの。

和年轻人谈话很开心,周围的人也不把我当老人,一起走路的时候更不上他们的步伐,也不帮我拿行李(笑)。但是,这样就好。

自分から「歳だから」なんて言って年齢のせいにしていたら、少なくとも光はないわよね。

自己说出“老了”怪罪到年龄上的话,有点没有光彩。

恐らくこれを読んでいるほとんどの方が私より年下。私から見れば、人生これからっていう人たちばっかりよ。私は、自分があと何年生きられるかなんて見当もつかないけれど、出来る限りはこれからもずっと物語りを書き続けていくつもり。

大概读这篇文章的大部分人都比我年纪小。从我的角度来看,大家都是人生才刚刚开始。我不知道今后还有几年能活,打算之后尽可能一直写下器。

死ぬタイミングだけは誰も思い通りにできないんだから、せめて生きているうちは自分の思い通りに生きなくちゃ。

谁都无法预料自己死亡的时间,至少活着的时候要按自己的想法活下去。

とてもシンプルだけど、結局のところ、それこそが私にとって幸せな生き方というものなのかもしれないわね。

非常简单,但最后,说不定这才是对我来说幸福的生活方式。

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