本欄へのご感想の中には、ただ黙するしかないようなものがある。埋葬地に木を植える「樹木葬」を取り上げた過日の小文にも、そのようなお便りをいただいた

针对本栏目的感想文中,有一些只是一味地保持沉默。在不久之前刊用的有关墓地种树,“树葬”的一篇文章,也收到过类似的来稿。

「いつ折れるとも知れない心を老夫婦で支え合いながら、娘のために樹木葬の適地を探しています」。次女を34歳で亡くしたばかりのご夫婦からだった。乳がんの告知からわずか1年半。夫と、告知の直後に生まれた男児が残された

文章写道“不知道何时夭折,心怀如此顾虑的老夫妇俩相互支持,为了女儿想找一个适合树葬的墓地”,因为这对老年夫妇刚刚失去了34岁去世的女儿。从被告知罹患乳腺癌仅1年半的时间,身后留下了丈夫和被告之后不久诞生的儿子。

遺言めいたメモには、病のため震える字で家族葬の希望と、お墓にはオリーブかローズマリーを植えてほしいとあったそうだ。若い人ほど木の勢いは強かろうと書いた小欄を、励ましと受け止めていただいた。偶然に言葉もない。ご連絡すると、お二人は乳がん撲滅への願いを静かに語られた

据说这类似遗书的笔记,是用因为惧怕此病而颤抖的手书写的一篇文字,其中谈到了家属葬的希望,以及在墓地种植一些橄榄树或者是迷迭香。本栏目曾介绍说人越是年轻树木的长势越茂盛,对此他们认为这是一种勉励。面对事出偶然的不幸无言以对。联系上之后,这两位以平静的口吻叙述了消灭乳腺癌的愿望。

同じ34歳で逝った女性を悼む歌がある。小学生の姉妹の親でもあった。〈遺児ふたり長き髪もつ明日よりは母に代わりて誰が結ばむ〉羽場百合子。作者は朝日歌壇にも入選を重ねた元教師で、弱き者を思いやる歌風が際立つ

羽场百合子有一首诗歌悼念同为34岁去世的女性,这位女性也是一对小学生姐妹的母亲。<孤儿姐妹俩,一头秀发长,明起谁替娘,清晨巧梳妆>。作者是一位教师,她的诗作曾多次入选朝日歌坛,以关爱弱者的歌风著称。

どんな死も悲しいけれど、若い母親のそれは切ない。お母さんは風になり木になって、わが子に声援を送り続ける。他の母親より少し短い、真珠のような思い出を抱きしめながら

无论什么样的死亡都是令人悲伤的,特别是年轻母亲的亡故更是叫人悲痛欲绝。(死后的)母亲将化作一缕春风,长成一棵大树继续声援他的孩子。与其他人的母亲相比尽管时间上短少了一些,然而却还有一颗珍珠般关爱的心。

乳がんに侵された先の女性は、幼子にも走り書きを残していた。〈男の子はやさしくなければいけません。まわりの人の言うことをよくきいて。いっぱいおでかけにつれていってもらうんだよ。本もいっぱいよんで、音楽もいっぱいきいて……〉。連なる「いっぱい」に、母性の叫びを聴く。

前面提到的那位受乳腺癌侵扰的女性也给自己的幼子留下了一片奋笔疾书的文字,<男孩子必须温柔体贴,要多听取周围人的意见,要请他们带自己多出去玩,要多读书,多听音乐……>。从这些接二连三的排比“多多……”一词中仿佛聆听到了母亲的呼唤。

日本网友看了这期天声人语后写道:

新聞の朝刊は、長い間の習慣で·うしろ(テレビ欄)から読みます。

そして、読み終えた目印に、(朝日新聞の)「天声人語」を最後に読みます。

2月7日の日曜日は、新聞を読み終えて、泣いてしまいました。

<本欄へのご感想の中には、ただ黙するしかないようなものがある。

次女を34歳で亡くしたばかりのご夫婦からだった。乳がんの告知からわずか1年半。夫と、告知の直後に生まれた男児が残された。

同じ34歳で逝った女性を悼む歌がある。小学生の姉妹の親でもあった。
《遺児ふたり長き髪もつ明日よりは母に代わりて誰が結ばむ》

乳がんに侵された先の女性は、幼子にも走り書きを残していた。
《男の子はやさしくなければいけません。まわりのひとの言うことをよくきいて。
いっぱいおでかけにつれていってもらうんだよ。本もいっぱいよんで、音楽もいっぱいきいて、、、》連なる「いっぱい」に、母性の叫びを聴く。>

幼い子どもを残して、旅立っていったお母さんたちの気持ちを想うと涙·涙です

 
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