自然に色の乏しい冬は、京菓子も雪の白さを愛(め)でるものらしい。「初雪」に始まって「雪の朝」「冬ごもり」「小雪」「大雪」など名前も色々考えて楽しみますと、老舗のご主人山口富蔵さんが「冬の和菓子」という随筆に書いている。

冬季的自然界缺乏色彩,京都的点心也偏爱雪的白色。老字号店主人山口富藏先生在一篇题为《冬季的日式点心》的随笔中写道:从“初雪”开始,“雪晨”、“猫冬”、“小雪”以及“大雪”等等,想着这些字就感到快乐。

かつて、北国からの客人への菓子を雪の意匠で作ったことがあったそうだ。後日、別の人から、雪国の人は雪を見るだけで気が重くなる、と聞かされて反省しきりだったという。京の老舗らしいこまやかさだが、いささか粗雑なわが頭にも雪国の難儀がいたく分かる、この冬の空である。

据说,雪的创意最初是为了从北国来的顾客。后来听其他人说,雪国的人一见雪就心情沉重,为此深省了很久。这般细心讲究,真不愧为京都老字号。而在这个冬季,连我这略显粗杂的头脑也能切身体会雪国的难处。

京都和果子“雪”
四季に恵まれたこの国だが、冬の受け止め方は共通の季節感から外れる。何と言っても雪の有無が大きい。江戸時代の越後人、鈴木牧之(ぼくし)の名著「北越雪譜」は「雪を観(み)て楽(たのし)む人の繁花の暖地に生(うまれ)たる天幸を羨(うらやま)ざらんや」と恨み節をつづっている。

我国四季分明,可人们对冬季的看法却与一般的季节感不尽相同。无论怎么说有无降雪关系重大。江户时代的越后人铃木牧之的名著《北越雪谱》中有一段愤愤不平的文字:“我多羡慕那些欣赏雪景的人,他们生在繁花似锦的温暖之乡,这是上天的宠幸”。

この冬も、日本海側で続く雪に、東京の晴れが申し訳なくなる。たとえば秋田市では、年明けから18日までの日照が15時間しかない。片や東京は141時間。豪雪の地では、雪下ろし中の転落などの事故も相次いでいる。

今年冬季,日本海一侧持续降雪,东京地区的晴好天气真该感到抱歉。例如秋田市从年初到18日为止的日照时间仅为15个小时,而东京则有141个小时。在暴雪地区清理屋顶积雪时跌落等事故也接连发生。

そして、きょうは大寒。「冷ゆることの至りて甚だしき時なればなり」と意味は直截(ちょくせつ)だ。今年の寒さは律義で、けさは各地で氷点下という。律義者らしく、予報では来月の立春ごろまできっちり精勤するらしい。

今天大寒,解说很明白:“寒冷已至甚时”。今年的寒冷真是克尽职守,今晨各地又普遍处在零度以下。预报说直到下月立春前后都会把严寒进行到底。

春が立てば、山口さんの店でも「雪」が消え、緑の餡(あん)も鮮やかなわらび餅「春かぜ」が並ぶ。そうなれば寒さも余寒となる。もうひと辛抱ふた辛抱の日々を、どうぞ息災に過ごされたい。

立了春,山口先生店里的“雪”也将销声匿迹,而摆上用鲜亮的绿馅制作的蕨饼“春风”。到了那个时候寒冷也将变成余寒。愿各位无病无灾地熬过这段时日。

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