セブン-イレブンやデニーズで2005年から偶数月15日に無料配布されている子ども向け絵本『森の戦士ボノロン』(協賛:セブン銀行)。毎号約100万部が配布されており、アニメ化もされている本作。エスエヌエスでは「子どもに読んでいたが自分が泣きそうになった」「毎号ほっこりする」と、無料だが大人でも感動する話も多いことから、毎号必ずもらいに行くという声も。そしてこの絵本をプロデュースしているのが、『北斗の拳』で知られる原哲夫氏。これまで少年・青年漫画を多く手掛けてきた原氏が、なぜ殺伐とした世界観とは真逆の子ども向け絵本をプロデュースしたのだろうか。そして『北斗の拳』との意外な共通点とは。

7 - 11和denny’s从2005年开始每逢偶数月15日免费发放儿童向绘本《森林的战士波诺隆》(赞助:seven银行),每一期发行约100万本,该作品已被动漫化。在SNS上有许多这样的评论:“虽说是给孩子看的,但我自己也看哭了”“每一期都十分温暖”。虽然是免费的,但因为有很多令成人也深受感动的故事,所以每一期都会去领取。而制作这本绘本的正是以《北斗神拳》而闻名的原哲夫先生。至今创作过许多少年和青年漫画的原哲夫先生,究竟为什么要制作与杀伐的世界观完全相反的儿童绘本呢??另外,这和《北斗神拳》意外相似的点又在哪呢?

自身の育児経験が絵本を作ったきっかけ 「誰もが読めるよう無料で配布したいと思った」

自己的育儿经验是创作绘本的契机“我想免费发放给所有人看”

――これまで漫画を描いてきた原さんが、子ども向けの絵本をプロデュースしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

——画漫画至今的原哲夫先生,突然转向制作儿童向绘本的契机究竟是什么呢?

原哲夫:僕が育児を経験する中で、絵本やアニメのキャラクターが、子どもの心を動かすのを知ったことがきっかけです。「週刊少年ジャンプ」で『北斗の拳』や『花の慶次』を描いていた時代は、主人公の生きざまが少年たちの生き方のヒントになる側面があり、次はもっと年少の子どもに向けた作品を手掛けてみたいなと思ったんです。そんなことをボノロンの原作者である北原星望(『北斗の拳』の担当編集者であった堀江信彦)さんと話していたところ、具体化の機会をいただいたのです。

原哲夫:契机大概是我在育儿经验中,偶然发现绘本或是动漫角色能打动孩子的心灵吧。漫画杂志《週刊少年jump》上的《北斗神拳》、《花之庆次》所描绘的时代中,主人公的生活方式侧面上会变成少年们的生活启示,所以接下来想尝试制作更适合年轻孩子的作品。在和波诺隆的原作者北原星望(《北斗神拳》的责任编辑堀江信彦)说这件事时,得到了具体实施的机会。

――本作は無料で全国に配布されていますが、どのような思いから無料配布を始めたのですか。

——这本作品在全国免费发放,请问您是出于什么样的想法决定这么做的呢?

原哲夫:家庭環境等に影響を受けずに素敵なストーリーを届けられたら…という思いがあり、子どもが読みたくても読めないことがないよう、無料で、比較的手に取りやすいコンビニエンスストアで配布しました。その共通の思いがセブン銀行さんと結びつきました。

原哲夫:想要能不受家庭环境等的影响,向孩子们传递精彩的故事。希望没有孩子们想看书却看不了这样的情况,因而免费地在相对来说比较容易获得的便利店中发放。这一想法是和seven银行一起达成的。

——本作の主人公であるボノロンのキャラクターはどんなイメージで生まれたものなのでしょうか。

——这本作品的主人公波诺隆(ボノロン)这一角色是以怎样的形象产生的呢

原哲夫:和洋折衷の世界観の中に和を隠し味にデザインしました。僕の画風は、アメリカの画家フランク・フラゼッタのコントラストが強い、バロック調の絵画から影響を受けています。そこに、日本的なイメージの“お相撲さん”のフォルムが合わさったら面白いなと考えました。そのため、頭の形は大銀杏を模しています。また、アレンジは洋風ですが、ボノロンが腰に巻いているのはまわしです。さらに、「ボノロン」というふくよかな名前の響きからイメージして、首まわりにモコモコをつけてみました。

原哲夫:在日西合璧的世界观中更多地隐藏了和风设计。我的画风受到了美国画家弗兰克·弗雷泽塔那种反差强烈的巴洛克风格绘画的影响。在设计上,我想如果结合日本印象中的“相扑”这一形式的话应该会很有趣。因此,头的形状临摹了大银杏。另外,虽然发型是西式的,但是波诺隆缠在腰上的却是兜裆布。此外,我还根据“波诺隆”这个名字的丰满的发音,试着在脖子周围戴上了毛茸茸的东西。

ケンシロウもボノロンにも共通する“原哲夫イズム”「作品の根底にあるものは愛」

健次郎和波诺隆相似的“原哲夫主义”“作品的根基是爱”

――『北斗の拳』をはじめとする先生の作品のファンの方が親世代になっていることも多いと思います。中には「泣きや悲しみといった原哲夫イズムが盛り込まれているのがいい」という声もありました。過去の作品のファンの方からはどういった反響がありましたか。

——我想以《北斗神拳》为首,先生很多作品的粉丝大都是父母那一代。其中也有“包含哭泣和悲伤等原哲夫主义比较好”的声音。从过去作品的粉丝那里有怎样的反响呢?

原哲夫:ケンシロウのいた世紀末とは異なり、愛らしいキャラクターの世界観なので驚かれる声もあるようですが、若い親世代からも親子での読み聞かせがひとときの大切な時間になっているようです。

原哲夫:与健次郎所处的世纪末不同,这是一个可爱角色的世界观,所以有些人会感到惊讶,从年轻一代的父母来看,亲子共读也成为了非常重要的一段时间。

――「子どもに読み聞かせていたが、自分も泣きそうになった」「何年も読み続けています」という声もあり、本作は子どもだけでなく大人にもファンが多い作品です。より多くの人が共感できるようにこだわっているポイントはありますか。

——“虽然是给孩子们读的,但是自己都快哭了”“持续读了好几年”这样的声音也有,本作品不仅是孩子,大人中也有很多粉丝。为了让更多的人产生共鸣,你有什么要点吗?

原哲夫:作品の根底にあるのは、人と人との思いやりの心で、キャラクターが見せる思いやりを通して愛を描いてきました。思いやりは人間がもともと備えているものだと思っています。ただ、ともすれば忘れがちになってしまうものであるとも思いますから、繰り返し描くことが大事だと考えてきました。僕が子どもを見ていて気づいたのですが、0歳児でも両親をなごませるために、指をさして人の目を引いたりすることもあります。そんな子どもなりの思いやりや、気づかいなどを見逃さないように、見守る者の責任の重さを感じたりします。

原哲夫:作品的基调是人与人之间的关怀之心,通过角色表现出来的关怀来描绘爱。我认为同情心是人类原本就有的东西。但是,我认为这是很容易忘记的东西,所以反复描绘是很重要的。我在观察孩子的过程中发现,即使是0岁的孩子,为了让父母和睦相处,也会用手指吸引别人的目光。为了不忽略孩子这种特有的体贴和关心,我感到守护者的责任重大。

――15年間にわたり、本作の連載を続けることができた理由は何だと思われますか。

——您认为15年来本作品能够持续连载的理由是什么呢?

原哲夫:セブン銀行さんが、「子どもたちの将来のために」と確固たる意志を持って、長きに渡りボノロンを支え続けてくれたからです。ボノロンは2021年12月号で100話をむかえます。原作者の北原星望さんのお話を生み続ける力、作画の永山ゴウさんの描き続ける力があったからこそと思います。

原哲夫:我想是因为seven银行本着“为了孩子们的将来”的坚定意志,长期支持着波诺隆吧。博诺隆将在2021年12月号迎来第100集。我想这正是因为原作者北原星望先生持续产生故事的力量,和作画的永山戈先生持续描绘的力量吧。

「絵を描くことは与えられた天命」 “忘己利他”の精神で描き続けてきた作品の数々

以“画画是被赋予的天命”“忘己利他”的精神持续创作的作品

――現在、コロナの影響で家族が共に過ごす時間が増えてきました。その時間の使い方は様々ですが、そんな時代に本作品はどのような役割を持っていると思いますか。

——现在,由于新型冠状疫情的影响,和家人一起度过的时间增加了。该时间的使用方法有很多种,您觉得在这样的时代本作品有怎样的作用呢?

原哲夫:この絵本が、親子で一緒に過ごすきっかけになればうれしいです。子どもはお父さんお母さんと一緒に何かをした体験から愛情という栄養を受けとり、いずれ外の世界に出ていくための準備が出来てくると思います。どんな状況でもささやかでもいい、親子で向き合う時間を大切にしてもらえたらその後の子どもの成長に大きな糧となるのは明白です。

原哲夫:如果这本绘本能成为亲子相处的契机,我会很高兴的。我认为,孩子会从和父母一起做某事的体验中接受爱的营养,为将来走向外面的世界做好准备。显而易见,无论在什么情况下,哪怕只是一点点也好,只要能珍惜亲子相处的时间,就会为孩子的成长提供巨大的精神食粮。

――これから本作が20年、30年を迎えても「これだけは変えたくないもの」はありますでしょうか。また、「こう変化していきたい」と思うところなどはあるのでしょうか。

——今后本作品迎来了20年、30年,也有“只有这个是不想改变的东西”吗?另外,是否也有“想要这样变化”的想法呢?

原哲夫:この絵本が親子の絆を深めるきっかけになればという思いは、当初から変わっていません。これからも変わらず、そのことを伝えていきたいです。そして本質は変わらなくても、読み手に伝わるよう、時代に合わせた表現の工夫は必要だと考えています。

原哲夫:希望这本绘本能成为加深亲子关系的契机,这种想法从一开始就没有改变。我今后也会一如既往地把这件事传递给大家。此外,即使本质没有改变,为了能传达给读者,我认为配合时代的表现方法是必要的。

――今もなお、さまざまな作品を生み出し続けている原さんのクリエイターとしての信念を教えてください。

——原先生请告诉我作为创作者至今仍持续创作各种作品的的信念是什么?

原哲夫:ここまで、絵を描いてきてみると、ふとこれは“天命なのかな?”と思うことがあります。描いていると神様がほめてくれている気がします。逆に、さぼっているとなぜかいいことが起きないんです(笑)。最初は、好きで描いていた絵を母が喜んでくれてうれしくなって。そのうちに、子どもから大人まで、たくさんの人が楽しんでくれる姿を想像しながら描くようになりました。僕の場合、人に喜んでもらえることが自分の喜びです。絵を描いている時は、自分を忘れて没頭します。むしろ自分を無にしないといい仕事ができないことが多いのです。信念はないけれども、あえて言うなら「忘己利他(もうこりた)」(仏教の言葉:自分を忘れて他人のためにつくすこと)のイメージかな。自分を忘れて描くことが、結果的に利他につながり、やがてリターンがあります。皆さまに幸せのリターンがありますように

原哲夫:至今为止,有时突然会想这是“天命吗?”觉得好像只要一直画就能得到神的表扬。相反,不知道为什么觉得偷懒的话就不会有好事发生(笑)。一开始,因为喜欢而画的画让母亲很高兴,我也很开心。但渐渐地,从小孩到大人,我开始一边想象着很多人都能乐在其中的样子一边画。对我来说,让别人高兴就是自己的喜悦。画画的时候,会忘我地埋头画画。倒不如说,很多情况下如果不忘我,就无法做好工作。虽然没有信念,但硬要说的话应该是“忘己利他”(佛教用语:忘记自己,为了他人尽力)的姿态吧。忘我的描绘,结果虽是利他,但不久就会有回报。祝大家都能得到幸福的回报!

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