東出昌大主演の映画が公開になる。メンタルを病んだ主人公の姿に、時代の空気が色濃い。見事な「ダメっぷり」を演じた東出さんにインタビュー

东出昌大主演的电影将上映。主人公患精神病的样子,充满了时代的气息。我们采访了出色饰演“失败者”的东出先生

「性格を変えたいと思いました。僕はまるで正反対の僕にならなければ、助かる道はないと思いました」

“我想改变一下我的性格。我觉得如果不能变成完全相反的我,就没有办法得救。”

荒れた肌、眉根にきつく皺を寄せ、視線がおどおどと動く。いちばんはじめのシーンだ。

粗糙的皮肤,紧紧地皱起眉头,视线战战兢兢地移动。这是开拍的第一个镜头。

3年ぶりの主演映画『草の響き』が公開になる東出昌大さんにインタビューをした。

我们采访了正在上映的电影《草之韵》的主演东出昌大,这是时隔3年的再次主演。

「夫として、精一杯だったと思う」

“作为丈夫,我已经竭尽全力了。”

映画の冒頭、心に変調をきたした主人公が医師の診断を受ける。

电影的开头,心情不好的主人公接受了医生的诊断。

「自分がダメな人間だと思うことはありますか」

“你有没有觉得自己是个失败者?”

「はい」

“是的”

「死にたいと思うことはありますか」

“你有想死的想法吗?”

「はい」

“是的”

精神科医役の室井滋さんが、たたみかけるように問う。それに答える「和雄」役の東出さん。大きな東出さんが、とても小さく見える。

饰演精神科医生的室井滋接二连三地问道。回答这个问题的是饰演“和雄”的东出。大体型的东出看起来很渺小。

「この役を演じるとき、自律神経失調症という彼の病気の症状を意識していました。和雄は夫として、精一杯だったんだと思います。よくなりたいと思って、それでも病んでしまった。そしてそんな精神状態に没入してしまった彼は、周りから見るとすごく自分勝手に映ってしまう」

“在饰演这个角色的时候,我意识到他患上自律神经失调症。和雄作为丈夫,我觉得已经竭尽全力了。想要变好,但还是生病了。然后,沉浸在这种精神状态中的他,在周围的人看来非常我行我素。”

東出さんは、丁寧に答える。映画のなかの和雄は、着たきりのスエットでひたすら走っている。目の前の俳優・東出昌大は、エッジの効いたデザインの黒のスーツを着て、美しく整っている。インタビューを受ける東出さんは大きくて、スクリーンの彼とはよく似た別人のようだ。

东出认真地回答。电影中的和雄穿着刚穿好的运动鞋一个劲地奔跑。眼前的演员东出昌大穿着设计有边缘的黑色西装,打扮的非常整齐。接受采访的东出体型很大,和屏幕上的他仿佛是长得很像的另一个人。

函館の街を、ただ走り続けた

只是在函馆的街道上不停奔跑

「今回の撮影は、秋の終わりの函館ロケでした。ほとんど台本の最初から順に撮っていって、17日間、函館で過ごしたんです。合宿みたいだった」

“这次的拍摄场地,是结束秋天的函馆外景。几乎是按剧本的顺序拍摄,17天整天在函馆度过。就像合宿一样。”

夭折の作家・佐藤泰志の小説を原作にした映画『草の響き』は、函館シネマアイリスが製作する佐藤作品5作目になる。前作『きみの鳥はうたえる』は、ひと夏を鮮やかに切り取った傑作で、熱狂的なファンも多い伝説の映画だ。

以夭折的作家佐藤泰志的小说为原作的电影《草之韵》是函馆Cinema Iris制作的第5部佐藤作品。上一部作品《你的鸟儿会唱歌》是将一个夏天鲜明地剪切下来的杰作,是一部拥有很多狂热粉丝的传说电影。

「函館は観光地ですが、観光地的なところで撮影することは避けました。それがかえって、函館の魅力を映し出したように思います。東出さんが走り続ける姿はイメージ通りです」(プロデューサー・菅原和博さん)

“函馆虽然是观光地,但避开了游客常去的地方拍摄。我觉得反而能反映出函馆的魅力。东出一直奔跑的样子和印象一样。”(制片人・菅原和博)

原作の佐藤自身がモデルの主人公・和雄は、医師からの指示で毎日ランニングをする。函館のふつうの街を走り続ける。心を病み、妻の気持ちを汲むことはできない。

原作中以佐藤自己为原型的主人公和雄,在医生的指示下每天跑步。在函馆普通的街道上奔跑着。心生病了,无法理解妻子的心情。

「でもあの時、和雄は精一杯だったんだと思うんです。余裕がなくて、あれが精一杯だったんじゃないかと」

“但是那个时候,我觉得和雄已经竭尽全力了。没有保留,那不是已经竭尽全力了吗?”

言葉を選ぶように、ゆっくりと話す。

像在选择言语一样,慢慢地说着。

「原作もそうなのですが、映画の台本も『答えはこうだ』と断定するのではなく、生と死、幸と不幸が薄皮一枚を隔てていることを示していると感じました。その台本と監督を信頼しながら撮影をしました。

“原作也是如此,电影的剧本也不是断定‘答案是这样的’,而是表现出生与死、幸与不幸只隔着一张薄皮的感觉。信赖着剧本和导演的同时进行着拍摄。

そのうえで、今回は監督に『共犯者になろう』という言葉をいただいたんです。映画は監督のものだと常々思っているのですが、共犯というのは『演出も兼ねて』と解釈をして、撮影中は僕から提案することもありました」

而且,这次导演还对我说了“要成为共犯”。我经常认为电影是导演的东西,但共犯的解释是‘兼顾演出’,在拍摄过程中也有我提出的建议”

とにかく、死なないで生きていく。

总之,不寻死生存下去。

「監督はなるべく嘘がないようにと意識して演出をしていたように思います。分かりやすく説明することなしに、どこまで伝えることができるのか、それはお客さんを信じているということだと思います」

“我觉得导演是有意识地尽量在没有谎言的情况下进行拍摄的。没有简单易懂的说明,能传达到什么程度,我觉得这是对观众的信任。”

『寝ても覚めても』(2018)や『スパイの妻』(2020)では狂気を感じさせる役を演じ、存在感をみせた。

在《夜以继日》(2018年)和《间谍之妻》(2020年)中饰演令人疯狂的角色,展现出其存在感。

今作でいちばん印象的なシーンは?と尋ねてみた。

我们试探问道这次作品中印象最深的场景是?

「『人の心に、触れやしないよね』っていうセリフがありました。真理のような気もするし、でもそんなことないぞと言いたい気持ちもあるし。人の心に触るって怖いことなんだけど、触りたいと思いながらみんな生きてて、でも触れないから寂しいのかもしれないし。なんかいろいろなことを思いました」

“有这么一句台词‘不会触及人心吧’。感觉像是真理,但是也有想说没有这样的事。虽然触及人心是很恐怖的事情,但是大家都是一边想要触碰一边活着,但是因为触碰不到也有可能很寂寞。感觉想到了很多很多事情。“

「人の心には触れない」と言ったとき、言葉につまって涙声になった。演技かもしれない。だとしたら、凄すぎる。

说“无法触及人心”的时候,哽咽在话语中变成了泪声。也许是演技。如果是的话,太厉害了。

この作品で見せたい「東出昌大」は

想在这部作品中展现的”东出昌大“是

「自分自身をどう見せたいとかはありません。ただ、今、生きづらい思いを抱えている人の荷物をすこしでも軽くしたい。初めに脚本を読んだ時も思いましたが、改めて完成した映画を観て、僕はこの映画のラストシーンに『希望』を感じたんです。

“我并没有想让别人看到真实的自己。只是,现在,我想稍微减轻一些抱着难以生存想法的人的负担。刚开始读剧本的时候也有过这样的想法,但是再次看到完成的电影后,我在这部电影的最后一幕中感受到了‘希望’。

今、ものすごい悲しみの淵にある人が映画を見て救われるとは思わない、けど、わからないながらも精一杯演じようと思いました」

现在,我不认为在非常悲伤的深渊里的人看了电影后会被拯救,但是,即使不清楚也要竭尽全力去演”

キレのいい、キャッチーな言葉はでてこない。考えて、ときにこちらがとまどうほどに考えて答えを口にする。この人はそういう人なのかもしれない。映画『草の響き』には、明快な答えもハッピーエンドも用意されていない。そこには、精一杯生きて、とにかく死なないで生き続ける姿が映し出されている。

不会说漂亮、吸引人的话。思考着,有时会长时间地思考着,然后说出答案。这个人也许就是这样的人吧。在电影《草之韵》中,既没有明快的回答,也没有欢乐的结局。在那里,只有竭尽全力活着,无论如何都不寻死努力活下去的身影。

インタビュー中の東出さんは、何度も言葉につまった。自分の思いや考えをなるべく正確に伝えようとしている姿が印象的だった

采访中的东出,好几次语塞。尽量正确地传达自己的想法和思考的样子让我印象深刻

映画『草の響き』 出演:東出昌大、大東駿介ほか 10月8日(金)より、新宿武蔵野館・ヒューマントラストシネマ有楽町/渋谷ほか全国で順次公開。函館シネマアイリスでは先行公開中。

电影《草之韵》  主演:东出昌大、大东俊介等   10月8日(周五)起,在新宿武藏野馆·Human Trust Cinema Yurakucho/涉谷等全国依次上映。函馆Cinema Iris先行上映中。

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