ヒント:


上る

欺す

斜(はす)に

留まる

頂(いただき)

傾ける(かたぶける

花びら

真白な百合

骨に徹える(こたえる)

滴る

拍子


书写方式参考:【听写规范】日语听写酷听写规范(2013年5月版)

あらすじ

「こんな夢を見た。〜」という書き出しが有名な第一夜から第十夜までの幻想的な短編集。ここでは第一夜を全編紹介。死ぬ間際の女に「百年待っていて下さい」と頼まれた自分は、女の望みどおり、真珠貝で穴を掘り、星の破片を墓標(ぼひょう)にして女の墓を立てる。そのそばにすわり、陽が出て、陽が沈むのを何度も見るが、百年はやってこない。自分は女にだまされたのではないだろうかと思ったその時、地面から青い茎が伸び、強烈な匂いの百合の花が咲いた。このとき、自分は百年が経っていたことに気がついた。

解説

『夢十夜』の中でも、特にこの「第一夜」は印象深い。女が死んでからいつの間にか百年経っていて、女の生まれ変わりである百合の強烈な匂いで男はようやくそれに気付く。そのぼうっとした感じが、男女間の恋愛における男の立ち位置であるとか、「夢の中ってこんな感じかなあ」といったことを思わせる。至近距離の女の瞳から、太陽が昇って沈むような壮大な景色へと大きく場面が転換し、読み手に映像的な感覚を与えるのも特徴。漱石は思想を語る作家だといわれるが、映像的センスを待つ作家であることも証明した作品。

しばらくするとまた唐紅の天道がのそりと上ってきた。そうして黙って沈んでしまった。2つとまた勘定した。
自分はこういう風に1つ2つと勘定していくうちに、赤い日をいくつ見たか分からない。勘定しても、勘定しても、しつくせないほど赤い日が頭の上を通り越していった。それでも100年がまだ来ない。しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、自分は女に欺されたのではなかろうかと思い出した。
すると石の下から斜に自分の方へ向いて青い茎が伸びてきた。見る間に長くなってちょうど自分の胸のあたりまで来て留まった。と思うと、すらりと揺らぐ茎の頂に、心持ち首を傾けていた細長い1輪の蕾が、ふっくらと花びらを開いた。真白な百合が鼻の先で骨に徹えるほど匂った。そこへ遥かの上から、ぽたりと露が落ちたので、花は自分の重みでふらふらと動いた。自分は首を前へ出して冷たい露の滴る、白い花びらに接吻した。自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、暁の星がたった1つ瞬いていた。
「100年はもう来ていたんだな」とこの時初めて気がついた。

不久,嫣红的太阳又晃晃悠悠地升起。然后,再默默地西沉。我又在心里数著,这是第二个。
如此第一个、第二个地默数著当中,我已记不得到底见了几个红日。
无论我如何拼命默数,数不尽的红日依然持续地越过我的头顶。然而一百年依然还未到。最后,我眺望著满佈青苔的圆墓碑,不禁想著,是否是被女人骗了。
看著看著,墓碑下方,竟然斜伸出一条青茎,昂首向我逼近。眨眼间即伸长到我胸前,然后停住。摇摇晃晃的瘦长青茎顶上,一朵看似正微微歪著头的细长蓓蕾,欣然绽放开来。雪白的百合芳香在鼻尖飘荡,直沁肺腑。
之后自遥不可知的天际,滴下一滴露水,花朵随之摇摇摆摆。我伸长脖子,吻了一下水灵灵的冰凉雪白花瓣。当我自百合移开脸时,情不自禁仰头遥望了一下天边,远远瞥见天边孤单地闪烁著一颗拂晓之星。
此刻,我才惊觉:「原来百年已到了。」

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