昨今、国内環境の悪化を理由に中国を離れ、日本へ移住してくる「潤(ルン)」の人々が注目を集めている。こうした中国新移民は家族連れであるパターンが多く、「良好な教育機会」を求めてやってくる傾向が強い。

近年来,由于中国国内环境恶劣而选择离开中国,移居“润”至日本的中国人引起大家的关注。这种中国新移民很多都是携家带口来到日本的,他们更加倾向于追求“优良的教育机会”。

すでに都内のインターナショナルスクールには、教育熱心な中国人夫婦の子息が殺到しており、中学受験向けの進学塾でも中国人生徒の存在感が増しつつある。特に地理的に見ると、中国人家庭が東京都文京区へ集中して移り住む動きが鮮明になりつつある。

东京都内的国际学校已经迎来了一大批注重教育的中国家庭的孩子,在中考升学私塾中,中国学生的存在感也越来越强。从地理位置来看,中国家庭尤其集中在东京都文京区一带生活居住。 

なぜ文京区なのか。中国人顧客向け不動産会社「フューチャーリーディング」で売買を担当する聞楷[シ豊](ぶんかいとう)営業一部長は次のように語る。「やっぱり東京大学があるからです。また、文京区は治安が良いことで知られています。それに後楽園、つまり遊園地も近く、周辺の生活環境も充実しています」

为什么会集中在文京区呢?在主要接待中国顾客的房产公司“FUTURE LEADING”中负责房屋买卖工作的闻楷丰营业一部长这样解释道:“毕竟文京区有东京大学吧。而且文京区治安比较好也是众所皆知的。此外文京区还有后乐园,也就是有游乐设施,所以周边的生活环境很多样化”。

文京区にはJRの駅がなく、大型商業施設が少ないため刑法犯罪が少ないという特徴もある。この治安の良さも、教育環境を重視する中国人家庭にとって、大きな魅力となっているのだ。

文京区没有JR站点,也鲜有大型商业设施,所以刑事犯罪少是这里的一大特点。良好的治安对重视教育环境的中国家庭而言也是很有吸引力的一点。

中国人の注目を集める「3S1K」

中国人非常关注的“3S1K”

中国新移民の間では、文京区の区立小学校で特に名門として名高い「誠之小学校」「千駄木小学校」「昭和小学校」「窪町小学校」の頭文字を取った通称「3S1K」が有名になっている。これらの学校は、長い歴史と優れた教育実績を持つことで知られ、中国人保護者の間で強い関心を集めている。

在中国新移民中,“3S1K”非常有名,这是选取了文京区名门区立小学“诚之小学(S)”、“千驮木小学(S)”、“昭和小学(S)”、“洼町小学(K)”四个名校首字母的通称。这些学校历史悠久,教育成绩优秀,受到许多中国家长的高度关注。

中国では、公立学校でも教育水準に大きな差があり、進学校のあるエリアへ引っ越すことは珍しくない。こうした不動産は「学区房」と呼ばれている。例えば、名門の北京大学や清華大学に子どもを進学させるには、まずはこれらの大学所在地である北京市海淀区の中学・高校に通わせるのが定石となっている。

在中国,公立学校的教育水平也有很大差距,很多家庭为了让孩子到升学率高的学校读书而专门搬到相应的学区。而这类房产就被称为“学区房”。例如,为了能让孩子考上北大清华,很多家长会带孩子搬到这些大学所在的北京海淀区读初高中。

近年では、こうした「学区房」の概念を背景に、中国人がイメージ先行で文京区に引っ越してくるケースが急増している。筆者が入手したある「3S1K」の生徒名簿では、転入が相次いだのだろう、ここ1年ほどで中国籍の生徒が明らかに増加していた。

近年来,在“学区房”的文化背景之下,越来越多的中国人凭文京区的好印象搬到了这里。笔者从获得的“3S1K”学生名单上可以看出,这些名校不断有学生转入,近一年中国国籍的学生明显增加。

2018年に来日した中国人ママの胡さん(仮名)は、夫と相談し、2023年に都外から文京区へ移り住んできた。すべては、「3S1K」のある小学校へ娘を通わせるためだ。

2018年来到日本的中国妈妈胡女士(假名)在和丈夫商量后,在2023年从都外搬到了文京区生活。这都是为了能让自己的女儿到“3S1K”中的一所小学读书。

いずれにせよ、在日中国人の間で文京区の人気が高まっていることは、データからも明らかだ。東京都の統計によると、2022年1月から2024年1月までの2年間で文京区に住む中国籍の住民は約3000人増えており、その増加率は約60%にも上る。

无论如何,文京区在在日中国人心中的人气之高从各项数据中可见一斑。据东京都统计,2022年1月至2024年1月的两年间,定居在文京区的中国籍居民增加了约3000人,也就是增长了将近60%。

中国では、近年、大学進学の門が狭まってきており、日本とは比べ物にならないほど熾烈な受験戦争が繰り広げられている。2021年ごろからは、過当競争を意味する「巻(ジュエン)」が流行語となった。

近年来,在中国考大学门槛越来越高,和日本相比,竞争相当激烈。2021年更是衍生出“卷”这一表示过度竞争的流行语。

実は、都内の中国系不動産仲介業者の間で、浦和は「小文京」と呼ばれ、注目エリアになりつつある。「浦和には塾がたくさんあるので、『塾銀座』とも言われているんです」。もとより、浦和区は文教地区として、日本人の子育て世代にも人気が高い地域だ。近年では公示地価の上昇も目立ち、より一層耳目を集めている。それだけに止まらず、同じく文教地区として知られる埼玉県志木市が「小浦和」とまで呼ばれ始めているのだという。

而实际上,在面向中国人的东京都内房产中介之间,浦和被称为“小文京”,逐渐成为大家关注的地区。“浦和也有很多私塾,被称作‘私塾银座’”。原本浦和区也是一大文教地区,在日本教育家庭心中也是很有人气的一大区域。近年来,浦和区的公示地价显著上升,更引发大家关注。不仅如此,最近更有同样知名的文教地区,埼玉县志木市开始被冠上“小浦和”的名号。

中国の教育熱をそのまま持ち込む形で、中国人が文京区やそれに準ずる文教地区を目指す動きは止まらない。中学受験は、首都圏で受験率が上昇を続け記録的な高さに達しているが、まだ日本人の子ども同士が競い合うイメージが強い。だが、今後は名門公立小を経由した中国人家庭の「参戦」が、ますます目立ってくるのは間違いなさそうだ。

抱着中国独有的教育热忱,越来越多的中国人来到文京区或者相似的文教地区生活。日本中学入学考试方面,首都圈的报考率持续上升,不断创下新高度,但目前更多的还是日本学生之间的竞争。然而,未来从公立名门小学毕业的中国家庭的“加入”,一定会越来越引人注目。

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