日本人のルールやマナーに対する従順さは、国内のみならず、もはや世界中に知れ渡る「定説」となっている。

关于日本人遵从规则和礼貌,不仅是在国内,甚至可以说是在全世界都被广泛认知的“定论”了。

電車のホームのドア位置には毎度線からはみ出ることのない綺麗な列ができ、電車が到着すれば誰に言われるでもなく左右に分かれ、降りる人を待つ。

电车站台门口的位置每次都排成整齐的队列不会越线,电车到站后也不用谁开口说就自动分左右两边等候先下车的人。

コロナ禍においては度が過ぎた一部の人らが「自粛警察」や「マスク警察」となり、他人のルールやマナーにまで目を光らせ議論を呼んだ。

新冠疫情时期甚至有一部分人自发成为“自肃警察”、“口罩警察”去监督他人规范和礼仪引起议论。

が、そんな表面上の実態とは真逆の現象に毎朝対峙している人たちがいる。

可是,也有一些人每天早上都在和与这些表象完全相反的现实对峙。

ごみ収集員だ。

他们就是垃圾回收员。

「出されるごみの分別方法は年々悪くなってきています。単身者向けの賃貸アパートや集合住宅はその傾向が顕著です」(栃木県30代女性)

“垃圾的分类方法逐年越来越恶劣。特别是租给单身人员的公寓和集体住宅这种倾向更为明显。”(栃木县30代女性)

「一度いらないと思った物は、もうどうでもいいんでしょうね。その先にそれを処理する人間がいることなんて考えていない。日本人はマナーがいい?『マナーがいいように見せるのがうまい』だけだと思いますけど」(岡山県30代男性)

“只要觉得是没用的东西了就无所谓了。也根本不考虑之后还有人要负责去处理这些东西。日本人真的有礼貌吗?我看只是‘擅长展示看起来有礼貌’吧。”(冈山县30代男性)

彼らが「ごみ」を通して見る日本の「マナー」と「コロナ」と「人権」。

他们透过“垃圾”看到的日本的“礼仪”、“(新冠)疫情”和“人权”。

集積所間をダッシュ「すぐに靴履き潰す」
奔走于回收点“鞋子很快就穿坏了”

彼らごみ収集員の朝は早い。

垃圾回收员的上午开始得很早。

各地域自治体や収集するごみの種類などによって事情が違うため一概には言えないものの、その多くは事務所に朝7時前後に集合し、当日回るルートを確認した後、事業系ごみは1人で、家庭ごみは2-3人が組となり、それぞれのパッカー車(ごみ収集車)に乗り込む。

各地域自治区回收的垃圾种类的情况各有不同,虽不能一概而论,大部分都是在早上7点左右到公司集合,确认好当天巡回的路线后分为1个人负责回收企业类垃圾、2~3人负责回收家庭类垃圾,然后各自坐上回收车。

回收员们称呼回收车为「パッカー車」

一般的なパッカー車が1日に回る集積所は150-200か所ほど。

一般来说一辆回收车1天内要去到约150~200个回收点。

1度に集められるごみ袋の数は約1000袋で、車内がいっぱいになる度にクリーンセンター(焼却施設)と現場を1日平均4-6往復ほどしながら収集していくのだが、道中は常に「時間との闘い」になるのだという。

1次要收的垃圾袋大约有1000袋,车内塞满时就要去清洁中心(焚烧设施),回收垃圾时需要在清洁中心和回收点之间来回跑,1天内平均要4~6次,整个途中都是“与时间的战斗”。

その主たる理由は、交通・通行の邪魔にならないようにするため、そして、時間通りに収集するためだ。

其中最主要的理由就是为了不对交通・通行造成妨碍以及做到准点回收。

「10本の指にかけられるだけごみ袋を引っ掛けます。小指が変形した方もいました」(京都市40代男性)

“10根手指都挂满了垃圾袋,有人小指都变形了。”(京都市40代男性)

「事業系ごみの収集は1人で運転・作業をするので、クルマを止めたらダッシュで積み込み、またダッシュでクルマに飛び乗って運転します」(千葉県30代男性)

“回收企业垃圾时都是1个人开车、工作,车子一停就马上冲进去然后再马上冲出来把车赶紧开走。”(千叶县30代男性)

彼ら収集員は、次の集積所までそれほど距離が離れていなければ、その間を自らの足で走る。いちいちパッカー車に乗り込むより効率が良く、時間ロスを抑えられるからだ。

如果间隔的回收点距离不是太远的话,回收员们也会自己来回跑。因为这样比总是开车要有效率,可以控制好时间。

「1日7-8kmくらいは走ってるんじゃないですかね。靴はすぐに履き潰します」(埼玉県30代男性)

1天内差不多跑7-8km吧。鞋子很快就穿坏了。”(埼玉县30代男性)

中には「80歳近い高齢作業員も現場をひたすら走る」、「今年の夏はコロナ禍でマスクを着用しながら走っていたため、熱中症になる作業員が相次いだ」という声もあった。

其中也有人表示“将近80岁的高龄工作者奔跑于工作现场”、“今年夏天因为疫情必须带着口罩,陆陆续续有人跑中暑了。”

さらにはこんな話も。

还有这样的情况:

「決められた時間通りに出しているのになかなか収集に来ないとクレームの電話が入る」(岐阜県20代男性)

“明明定好了时间却一直没来回收的话会打电话投诉”(岐阜县20代男性)

「いつもの時間にごみ収集車が来ないと『臭いから早く持って行け』という電話がくることがある」(大阪府20代男性)

“回收车没有在往常的时间来的话有人打电话说‘臭死了快点来拿走’。”(大阪府20代男性)

コロナの影響から、例年に比べて今年は特にごみが多い。

受疫情的影响,今年的垃圾量比起往年更是增多了。

ごみの量が多ければクリーンセンターへの往復回数も増え、どうしても「いつもの時間」に到着できなくなるのだが、こうした現場の状況は「捨てる側」にはなかなか分かってもらえない。

垃圾量一增多,来回去清洁中心的次数也增多了,无论如何都无法还是在“往常的时间”到达回收点,工作现场的状况“扔垃圾的一方”是不会去理解的。

違反ごみは持てば分かる
一拿就知道是违规垃圾

こうして先を急ぐ彼らの手を煩わせるのが「違反ごみ」だ。

让与时间赛跑的他们头疼的是“违规垃圾”。

「何でも入っている混合袋、いわゆる『違反ごみ』は困ります。」(京都市40代男性)

“什么都塞一堆的混合袋,也就是‘违规垃圾’太难办了。”(京都市40代男性)

「違反を知らせるシールを貼る作業も時間ロスの1つ」(神奈川県40代男性)

“贴‘违规’的通知贴纸就又要浪费时间。”(神奈川县40代男性)

「自分たちの違反ごみのせいで作業が滞っているのに、『こんなところにクルマ(パッカー車)停められたらマンションに入れないじゃないか』という罵声を浴びせられることもある」(東京都50代男性)

“明明是因为自己的违规垃圾才导致耽搁了回收工作,还要骂‘你把车停在这儿我不是就进不了公寓了’。”(东京都50代男性)

違反ごみは、さらなる違反ごみを呼ぶ。いわゆる「割れ窓理論」で、1つでも違反ごみが現場にあると、あっという間に集積所は無法地帯と化すという。

违规垃圾会招来更多的违规垃圾,也就是所谓的“破窗效应”。只要在回收点出现一个违规垃圾后,瞬间就会变成无法无天的环境。

それらが収集されず長時間放置されれば、カラスや猫、ネズミに荒らされるリスクは上がる。

要是不回收这些垃圾长时间放置它们的话,就增加了招来乌鸦、猫、老鼠的风险。

「長年この仕事をやっていると、持つだけで違反ごみが入っていると分かるようになりますが、こういう確信犯的なごみを見る度に日本人はマナーがいいなんて嘘だと思ってしまう」(岡山県30代男性)

“长年来做这行,一拿就知道袋子里放进了违规垃圾,每当看到这种明知故犯的就觉得说日本人很讲礼貌啥的都是骗人的。”(冈山县30代男性)

ごみ袋を二重にしてほしい理由
希望垃圾袋套两层的理由

さらに彼らを悩ませるのは、各家庭で「面倒くさいから」と、水気を十分に切らないまま大きなごみ袋いっぱいに捨てられた生ごみだ。

更让他们烦恼的还有各个家庭“因为麻烦”不彻底清理掉水分就那么扔进大垃圾袋大量的湿垃圾。

「とにかく重いんです」(神奈川県40代男性)

“总而言之太重了”(神奈川县40代男性)

「自分が持って『重い』と感じるなら、それは作業員の我々も同じく重いのです。何個も何個も重いごみばかり出されると身体が持ちません」(山形県20代男性)

“自己拿着都觉得‘好重’,那我们工作人员也是同样会觉得重啊。那么重的垃圾一个又一个的,身体真吃不消。”(山形县20代男性)

「生ごみや水分を含んだごみはしっかり水気を切って、45リットルの袋をパンパンにせず、小分けにして出してほしい」(大阪府20代男性)

“希望可以把湿垃圾啦和包含水分的垃圾都好好处理一下,不要把45L的袋子塞得爆满而是分开来。”(大阪府20代男性)

「集積所には、ごみをネットで覆うタイプではなく、ごみがボックスに入っていることがある。そうするとその重いごみを出すために一旦その高さまで持ち上げなければならず、腰をやってしまうことがある」(神奈川県40代男性)

“有遇到过回收点不是在垃圾上盖上网子而是把垃圾放盒子里的。为了把那些很重的垃圾搬出来就不得不依它那个高度,真伤了老腰。”(神奈川县40代男性)

また、こうした生ごみのほか、ホコリを吸った掃除機の紙パック、昨今ではマスク、鼻をかんだティッシュなどは、「袋を二重にして出してほしい」という声も非常に多かった。その理由は、「汁が垂れるのを防ぐ」こと以上に、あるリスクを抑えたいためだと皆声を揃えて話す。

除了这样的湿垃圾外,还有吸了灰尘的吸尘器纸包、近来常用的口罩、擦过鼻子的卫生纸等,有很多回收员都“希望可以套两层袋子”,其理由是不仅是“防止汁液滴下来”,大家纷纷表示这样做更是为了控制某种风险——

パッカー車には、ごみを車内に取り込むための回転板やプレス板が付いている。ごみ袋がそれらに挟まると、「パン」と音を立てて破裂することがあるのだが、その瞬間、中の汁や汚物、ホコリが圧力で飛び散り、前に立っている作業員がそれらを浴びるというケースがしばしば起きるのだ。

为了把垃圾装进回收车里,车内装有转动板和压力板。垃圾袋被夹住的话也会“嗙”的一声破裂,那个瞬间其中的汁液、脏污、灰尘因压力就会飞溅,站在车前的工作人员就被笼罩在这些物质中,这类情况很是常见。

「夏場の汁は非常に臭いがきつい。飛び散って服や顔にかかると、1日中臭いが取れない」(新潟県30代男性)

“夏季的汤汤水水非常臭很难受。溅到衣服上啦脸上啦,一整天臭味都消不掉。”(新潟县30代男性)

とりわけコロナ禍においては、その破裂によってウイルスが飛び散る可能性も大いに考えられるため、今年の「破裂音」は、これまでとはまた別の不安に襲われるのだが、そんなタイミングに今年7月からレジ袋が有料化されたため、より一層袋が二重にされず、汁が底にたっぷり溜まった45リットルの大きな袋を目撃することが増えたという声もあった。

特别是疫情期间,想到垃圾袋破裂也很有可能夹带着病毒在飞散,今年开始对“破裂音”更是增添了另一层不安。而在这种时期又宣布了7月开始塑料袋要收费了,大家更是能用一层绝不套两层,不少人都说看到过那种汤汁满满地铺在袋子最底下的45L大垃圾袋。

凶器と化すごみ
变成凶器的垃圾

ごみの分別マナーで彼らを最も悩ませるのは「危険物の混入ごみ」だ。

在垃圾分类中遇到的最大烦恼是“混入危险物的垃圾”。

「割れたガラスがごみ袋に入っていて知らずに掴んで大怪我をした人もいました」(京都市40代男性)

“破掉的玻璃扔在垃圾袋里别人也不知道,因此受了重伤。”(京都市40代男性)

「焼き鳥の串とかで怪我をされる方多いですね」(千葉県30代男性)

“很多人被烤鸡肉串的扦子弄伤”(千叶县30代男性)

パッカー車のごみを潰す圧力は凄まじい。1000袋をあの車内に詰め込めることを考えれば、それがどれほどのものかは想像に難くない。硬い電池やガスボンベも例外なく押し潰す。その際残っていたガスが漏れ、乾電池のショートなどによって引火して火災になる。

回收车要压碎垃圾的压力是很可怕的,要把1000袋塞进那个车子里也不难想象那得到什么程度吧。硬的电池、储气瓶等也都不例外也需要压碎,如果那时残留的气体泄漏、干电池短路都是会引发火灾的。

工作过程中燃起来被烧坏的回收车

「使い切っていないガスボンベを可燃ごみとして捨てる人に、どんな気持ちで捨てるのか聞いてみたい」(青森県40代男性)

“把没用完的储气瓶当可燃垃圾扔的人,我真的很想问问到底是抱着什么样的心态在扔。”(青森县40代男性)

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