2020年8月、神戸新聞にこんな記事が掲載された。 「コロナ患者4人分の個人情報流出 西宮市保健所がファクス誤送信」記事によれば、兵庫県西宮市の保健所が、「新型コロナウイルスに感染した患者計4人分の個人情報を記した書類」を誤って市内の個人宅にファクスしてしまったという。新型コロナ感染者のプライバシーが他人に漏れたことで、地元紙が取り上げたのである。

2020年8月,神户新闻登载了这样一篇报道“四位新冠患者个人信息泄露 西宫市保健所传真误发”。报道称,由于兵库县西宫市保健所的失误,“记录了4位新冠患者个人信息的文件传真”被发到了市内私人住宅。当地新闻报道了这一新冠患者隐私泄露问题。

このニュースはSNSでも話題になった。だが問題は情報が漏れたことよりも、「いつまでFAXなんか使ってるんだよ…」「個人情報をFAXでやり取りし、それを誤送するという、まぁこれがIT社会と言われている日本の現状なのだな、とガッカリ」などといまだにファクスが使われていることに批判が集まった。

这一新闻在社交网络上也引发了讨论,但大家的关注点不是信息泄露,而是“都什么年代了还在用传真……”“用传真交换个人信息还误发,这就是被称作信息技术社会的日本的现状啊,真让人失望”评论集中批判如今仍使用传真的落后。

4300万台のファクスが世界で活躍中

全世界还有4300万台传真机在工作着

今も世界中で4300万台といわれる機器が現役で使われている。米IT系調査会社のIDCによれば、2017年に実施したグローバル企業200社への調査で、43%はファクスの利用が前年よりも増えたとすら答えている。毎年新たに購入する人たちも多く、その数は年に数百万台規模になるという。国別で見ると、最もファクスを購入しているのは米国で、その後は、日本、ドイツ、フランス、英国と続く。そして年間170億枚の文書がファクスでやりとりされている計算になるらしい。

全世界如今还有4300万台传真机正在被使用。美国信息技术调查公司IDC在2017年对200家国际企业进行了调查,43%的企业表示传真机的使用率比去年增加了。也有不少每年会购入新的传真机,达到每年数百万台的规模。从国别来看,购买传真机最多的是美国,其次是日本、德国、法国、英国,据计算每年有170亿份文件使用传真机传送。

総務省が5月に公表した「通信利用動向調査」によれば、日本人の33.1%がファクスを使っている。50代以上でぐっとその数は増え、さらに高収入になればなるほど使用率も高くなっている。

而日本总务省5月发布的“通信利用动向调查”显示,有33.1%的日本人在使用传真,其中50代以上的日本人中传真使用者数量更多,而且是收入越高的人群使用率越高。

最近、新型コロナの影響によるテレワーク普及の妨げになるとして、「はんこ」の文化が話題になった。そして大手企業などは電子サインを導入する動きもあるようで、そうなれば多少の手間は省けるだろうが、やはりファクスで一発で送ってしまおうと考える人がいるのは理解できる。

最近受新冠疫情影响,居家办公普及开来,而日本的“印章”文化作为居家办公的拦路虎引发众多讨论。也有大企业开始使用电子签名,这样多少能够省时省力,但也能理解有的人觉得直接在传真文件上盖章传送更方便。 

なぜ、ファクスを使い続けるのか

为什么还继续使用传真?

また、ファクスを使うのにはこんな理由もある。日本の場合、中小企業などではコストの問題がある。PCでやりとりをするには、それなりのPCやスキャナーなどを導入する必要がある。さらに昨今ではサイバー攻撃による情報漏洩なども問題になっており、セキュリティソフトを導入したり、セキュリティ企業と契約したりする必要もある。そこまで手が回らないという企業も多いだろう。

另一个人们还在继续使用传真的理由是日本中小企业需要考虑经营成本,如果要使用电脑,那就必须引进电脑和扫描仪等设备,而近来网络攻击导致信息泄露也成为问题,还需同时引进安全系统,与维护信息安全的企业签订合同。不少企业还是无力承担这些的。

さらに日本独特の理由としては、手書き文化がある。手紙でお礼を書くことが丁寧とされる文化が日本にはあるが、デジタル文書だけでは味気ないと感じる人もいるだろう。その点、ファクスなら手書きで気楽に送信ができてしまい、日本人には使いやすい。

而且日本独特的手写文化也是日本人仍使用传真的一个原因。在日本手写信感谢信被认为是一种礼数,电子文件就显得缺乏人情味。因此可以轻松传送手写信件的传真对日本人来说更加方便。

また医療分野でもファクス人気は根強い。データベースのシステムが統一されておらず、結局、患者のデータなどのやりとりもファクスでやってしまうというケースが非常に多い。英国の国民健康サービス(NHS)は、今も8000台以上のファクスを所有している。

此外,传真在医疗领域也一直很受欢迎。由于医疗机构各自使用独立的数据系统,因此很多情况下交换患者信息还是通过传真进行。英国国民医疗服务体系(NHS)如今就拥有8000台以上的传真机。

『ファクス:ファクス機器の盛衰』の著作がある米テキサスA&M大学のジョナサン・クーパースミス歴史学教授は、いまだにファクスが使われている理由を「利用者たちは変化に抵抗する。小規模な企業なら書類を交換するのに新しいテクノロジーを試してみようと思ったり、それにお金をかけたりする理由はない。ファクスを好む全ての企業は、注文などでやりとりが混乱しないように全ての顧客や納入業者にファクスを使うよう求めることになる」と、メディアに語っている。そうしてファクスは生き残る、と。

《传真:传真机的兴衰》一书的作者,美国德克萨斯A&M大学的历史学教授乔纳森库珀史密斯对媒体解释了至今人们还在使用传真的理由“使用传真的人抗拒变化。小规模的企业不愿意增加成本采用新技术去交换文件。而使用传真的企业为了避免业务混乱,会要求顾客及供应方企业都使用传真”,因此传真这种通信方式得以保留下来。

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