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今から四百年ほど前、長崎の町に、お小夜(さよ)という美しい娘がいました。

在至今大约四百年前,在长崎镇上,有个叫小夜的美丽姑娘。

お小夜はキリスト教を信仰するキリシタンで、その美しい姿は絵に描かれたマリアさまにそっくりなので、人々はお小夜の事を『マリアのお小夜』と呼んでいました。

小夜是信仰基督的基督教徒,她美得和画中画的玛利亚一模一样,所以人们称小夜为“玛利亚小夜”。

その頃、与次郎(よじろう)という若者が、南蛮寺(なんばんでら→キリスト教会)の門の前で花売りをしていました。

那时,有个叫与次郎的年轻人,在南蛮寺(基督教会)的门前卖花。

お小夜は毎日、与次郎の花を買っては南蛮寺にお供えしていたのですが、いつしか二人は恋仲になっていたのです。

小夜每天都会买与次郎的花去南蛮寺供奉,但不知道什么时候开始两个人就相恋了。

やがて二人の事が、町のあちこちでうわさされるようになりました。

不久之后,关于这两人的流言就传遍了整个小镇。

お似合いの二人でしたが、まわりは二人を祝福してくれません。

明明是很般配的两个人,但是周围的人却并不祝福这两个人。

なぜなら当時のキリシタンには、他の宗派の男女と付き合ってはならないという厳しい(おきて)があったからです。

要说为什么,那是因为当时的天主教,有严格的戒律不许和其他宗派的男女交往。

ある晩、二人は人目をさけて浜辺で出会っていました。

有一天晚上,两个人避开别人的耳目,在海边约会。

ところがこれを、神父に見られてしまったのです。

可是这却被神父看到了。

捕まった二人は、神父たちにとても厳しいおしおきを受けました。

神父们严惩了抓到的两个人。

特に与次郎の方はキリシタンをたぶらかした極悪人として、長崎港の沖に浮かぶ『かぶと島』へ島流しにされたのです。

特别是对与次郎,把他作为拐骗天主教徒的罪大恶极之人,将他流放到了长崎港海面浮着的“甲岛”上去了。

「お小夜、夜になったらかぶと島をながめてくれ。わたしは毎晩赤い灯をともすから。赤い灯が見えるかぎり、私は生きているから」与次郎はお小夜にそれだけを言い残すと、かぶと島へ送られました。

“小夜,到了晚上你就眺望一下甲岛。因为我每天晚上都会点红色的灯。只要看到红色的灯,就可以知道我还活着。”与次郎对小夜只说完这些话后,就被送到甲岛去了。

それからというもの、お小夜は夜ごと浜辺に出てはかぶと島を眺めました。

从那之后,小夜每天晚上都会去海边眺望甲岛。

日も暮れる頃になると、島にボーッと赤い灯がともります。

在太阳落山的时候,小岛上就会扑哧地亮起一盏红灯。

その灯をながめては与次郎を思い、お小夜は涙を流すのでした。

小夜看着那灯,想着与次郎就会止不住流泪。

でもこれを、神父たちはこころよく思いません。「与次郎は、信者を惑わす悪魔じゃ。悪魔には、神罰が下さるべきだ」

可是对于这一切,神父们却并不高兴,他们说:“与次郎是诱惑信徒的恶魔。对于恶魔,就应该接受神的惩罚。”

次の日の夜、お小夜がいくら待っても、かぶと島に赤い灯はともりませんでした。

第二天晚上,小夜一直等着,可是却没有看到甲岛的红灯亮起来。

その日の夜明け、お小夜は何かにつかれたかのようにふらふらと歩き出して、一歩一歩、海の中に足をふみ入れたのでした。

那天凌晨,小夜像是被什么东西附体了一样,摇摇晃晃地走了起来,一步一步地迈向海里。

「与次郎さま。来世では、必ず結ばれましょう」

“与次郎。来生一定要在一起啊。”

翌朝、かぶと島の波打ち際に、並んで倒れている男女の死体があがったそうです。

听说到了第二天早上,在甲岛的浪打过来时,浮上来并排倒在一起的男女尸体。

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