むかしむかし、和歌山に大殿さまと呼ばれる殿さまがいました。

很久很久以前,和歌山里有个老爷被人称作大老爷。

とてもらんぼう者の殿さまで、江戸の藩邸にいるときには、「隣の松平邸の高殿で夕涼みしている女が、自分の屋敷を見て笑っている」と、言って、鉄砲を撃ったのです。

那老爷很粗暴,在江户的藩邸时,说:“在隔壁松平邸的楼房里乘凉的女子,看着我的房子在笑。”然后就开了枪。

この事が幕府に知れて、大殿さまは隠居(いんきょ)を命じられました。

这件事被幕府知道后,就命令大老爷退休。

ある日の事、この大殿さまがこんな話しを聞きました。「貴志川(きしがわ)の鯉のふちに住んでいる大鯉はそのふちの主で、村人はだれも手出しをしない」

有一天,这个大老爷听说了这么件事。住在贵志川的鲤鱼潭里的大鲤鱼是那潭的主人,村民们谁都不会去触犯它。

そこでさっそく、大殿は庄屋(しょうや)を呼び寄せて、「その鯉を一口食ってみたいから、生け捕るように」と、言いつけたのです。

于是他就立刻喊来村长命令道:“我想吃口那鲤鱼肉,你把它活捉来。”

びっくりした庄屋は、「それだけは、ごかんべんを。ふちの主を捕まえたりしたら、きっと恐ろしいたたりがあります」と、断ったのですが、大殿さまは許しません。「嫌と申すか?!もし生け捕りに出来なかったら、代わりにお前の腹を切り開くとしよう」

村长吓了一跳,拒绝道:“就这件事,恕难从命啊。要是捉了深潭的主人,会有报应的。”可是大老爷却不肯罢休:“你说不要?!如果不能活捉的话,那我就剖开你的肚子。”

そこで庄屋は仕方なく、生け捕りの準備をはじめました。

村长没办法,只好开始做活捉鲤鱼的准备。

そしていよいよふちの主を生け捕りにする前の晩、庄屋の家に美しい娘がやってきて、「明日、ふちにアミを入れるそうですが、やめてはもらえませんか?」と、言いました。

终于到了活捉深潭之主的前一晚,村长家来了个美丽的女子,对村长说道:“听说明天要在深潭里撒网,能不能不撒?”

それを聞いた庄屋が、「もちろん、出来る事ならわしも取りやめにしたい。でも明日は大殿さまがここへやってくるので、いまさらやめるわけにはいかんのじゃ」と、言うと、娘は、「・・・そうですか、それなら仕方ありません」と、出された草もちを食べて帰って行ったのです。

村长听了后说道:“如果可以的话,我当然也想不捉啊。可是明天大老爷会来这里,现在已经不能不捉了。”女子听了后说道:“・・・这样啊,那也没办法了。”然后吃了草饼就回去了。

さて、翌日の朝。大殿さまの前でふちにアミを入れていると、とても大きな鯉がかかりました。

到了第二天早上,村长在大老爷前面往深潭里撒了网,然后捉到了一只很大的鲤鱼。

さっそく腹を切り開いたところ、中から草もちが出てきたのです。

立刻剖开肚子,发现里面有草饼。

これを見た庄屋はびっくりして、「そうか、ゆうべ家へ来たあの娘は、鯉の化身だったのか」と、みんなに昨日の話をしました。

村长看到这一幕,吃了一惊说道:“这样啊,昨晚来我家的那个姑娘就是鲤鱼的化身啊。”然后把昨天的事告诉了大家。

それを聞いた大殿さまも、さすがに鯉があわれに思えて、「すまぬことをした。鯉の料理を食うのは、やめにしよう」と、その鯉を川岸にうめて、その上に木を植えました。

大老爷听了之后,觉得鲤鱼很可怜,就说道:“做了很抱歉的事。还是不吃鲤鱼了吧。”然后把鲤鱼埋在河岸边,在上面种了树。

それからその地は、『鯉の森』と呼ばれたそうです。

听说在那之后,那片地就被称为“鲤鱼森林”。

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