東京の公園で、行き交う家族の写真を撮り続けるカメラマン志望の大学生・光司が、ある男性から1人の女性の尾行と写真撮影を依頼されるところから物語が始まる『東京公園』。ベビーカーを押して散歩する彼女の後を追いながら、都内各所の公園を巡る不思議な追跡劇はやがて、光司が自分自身や周囲にいる女性たちと向き合うようにうながしていく。『サッド ヴァケイション』から4年ぶりの長編となる青山真治監督の新作で主人公・光司を演じた三浦春馬に話を聞いた。

ゆったりした主人公に「いままでの役の中で1番、僕に近いかも」

脚本を読み、「映画らしい、ゆったりとしなやかなストーリー展開にすごく興味を惹かれました」と言う三浦さん。

「大きな事件もなく進んでいくけれども、光司が3人の女性をはじめ、いろいろな人たちとの出会いを通じて成長して行く。カメラマンという設定も、幼なじみの富永(榮倉奈々)、義理のお姉さんの美咲(小西真奈美)、光司が尾行する謎の女性(井川遥)との関係も興味深かった。本当に楽しみな作品になるな、と感じました」。

都内各地の公園や、大島など撮影はオール・ロケ。日照時間も短くなる晩秋の約3週間、決して余裕のあるスケジュールではなかった。

「でも、回転よく進んでいたと思います。天気にも恵まれて。僕、結構、晴れ男なんですよね。雨で撮影が飛ぶっていうことは、あまりない(笑)」。

子役から活躍してきた三浦さんは21歳という若さながら、すでに幅広い役を演じてきている。そのどれもが輪郭のはっきりした人物像だったのに対して、今回演じた光司は、これまでになくふわりとした印象だ。自分の人生の主役として生きるより、他人の人生の脇役として生きているような存在感を見せる。

小さいときから芸能界に身を置く三浦さんは光司とは正反対に、しっかりした性格というイメージだったが、「そんなことないんです。落ち着いて見えるみたいですけどね。中学のときなんかは全然元気なやつでしたし」と笑う。

時には心地よく、時には緊迫させられ――女優陣との距離感

青山監督によると、三浦さんは撮影初日に「僕は急ぎたくないんです」と語ったという。丁寧に光司という役に取り組む姿勢について監督は「相手役の芝居をつけていくとそれを鏡のように捉えていく感じがあってスリリング」と評価している。その一例が、小西真奈美扮する義姉・美咲と光司が向き合う終盤のシーンに現われる。姉と弟の気やすさがある一方、血の繋がっていない男と女でもある2人の関係性がむき出しになる場面だ。

「美咲は一見強そうだけど、弱い部分がある。それが見え隠れするのを小西さんはすごくうまく演じていらっしゃいます。光司の一言に反応するかすかな表情の動きが、本当に微妙なんですけど、もう耐えられないっていうように頬がピクピクってなるんです。凄い!と思いました。息が止まりま すよね。息を止めて彼女に迫っていくような、緊迫したものが僕の中に生まれました」。

「青山さんの作品に自分が入っていて、どう変化するのかがすごく楽しみだった。どう染まるのかな、と。結果、見たことない自分がそこにありました。そういう部分を逃さず観てもらえればすごい嬉しいです」という三浦さん。そのあと「ただ」と言葉を続け、「やっぱり全部が全部、新しい自分じゃないんです、僕の中では。反省すべき点はある」と自身に厳しい評価を下す。

それにしても『東京公園』はなんとミステリアスな物語だろう。いろいろなヒントが随所にちりばめられているが、誰かが流す涙の意味さえ、すぐには分からせない。分かった気になっていると、その後に思わぬ理由が浮かび上がる。

「人間て単純じゃないんですよね。そういうところを遠まわしに、かつ丁寧に描いた作品だと思います」。

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