31 なんだか夢みたい

人物:治     智子(恋人同士)
場面:レストランで
治:おい、もう食べたいものはないのか?もっとどんどん頼んでもいいんだよ。
智子:ううん。もうおなかいっぱい。たーくさん食べたもん。
治:遠慮すんなよ。今日はおれのおごりだから、好きなだけ注文しろ。デザートは?
智子:えーと、じゃあねえ。最後にショートケーキ食べてもいい?
治:ああ、いいよ。そうだ、帰りにどっかブティックへでも寄ってかないか?欲しい服、なんか買ってやるよ。靴下でもバッグでもいいんだぞ。
智子:ええ?どうしたの?いったい。今日はやけに優しいと思ったら、今度はプレゼント?怪しいなあ。なんか下心があるんでしょう。
治:ないよ。そんなもん。ただ、智子が好きだから、智子を喜ばせてやりたいだけだよ。
智子:うわー、ますますおかしい。普段そんなこと全然、口にも出さないくせに。
治:なんだよ。人の好意は素直に受け取れよ。おれはお前の喜ぶ顔が見たいんだ。
智子:ひゃー。そんなせりふ初めて聞いた。でも、とっても嬉しいわ。
治:そうか、それはよかった。どうやったら智子がもっと喜んでくれるかなあって、さっきからずっと考えてんだ。
智子:嬉しい。治がそんなふうに私のことを考えてくれるなんて。
治:じゃあ、ほかにどんなことをすれば嬉しいか?
智子:そうねえ、これからも治がずっと優しくしてくれれば、もうなにもいらない。
治:そんなこと言わずに。お前が欲しい物はなんでも買ってやるから。前からいつも言ってただろ?新しいスーツとワンピースが欲しいって。買ってやるよ。
智子:えー、だって、ものすごく高いのよ!そんなことしたら、お金飛んじゃうよ!
治:んなこと気にすんなって。今、給料もらったばかりで、懐があったかいんだ。
智子:ほんと?私ね、すっごく気に入って目を付けたものがあるんだけど、手が出せなくて、ずっと我慢してたの。あとね、そのワンピースに合うブローチもあるの。
治:ブローチだろうがネックレスだろうが指輪だろうが、なんでも買ってやる。
智子:ほんとに?なんだか夢みたい。ありがとう、治。大好きよ。
治:知ってるよ、そんなこと。それから、特大の花束もだ。どうだ?
智子:わあ、もう嬉しくって嬉しくって、どうにかなっちゃいそう。
治:そんなに嬉しいか?
智子:うんっ!今まで付き合ってて、こんなに嬉しかったことなかったわ。もう最高の気分よ。
治:そうか、おれも嬉しいよ。ところで、今日は何曜日だ?
智子:え?日曜日でしょ?
治:じゃあ、何月何日?
智子:えーっと、4月1日でしょ?なによ、だしぬけに・・・。・・・あーっ!
治:ははっ、やっと分かったか。鈍いやつ。
智子:ひどーい!だますなんてー!あんまりだわー!

 

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