<ノーベル賞>日本人の女性研究者が出ない理由。
“诺贝尔奖”日本人女性科研者很少得奖的原因。

今年のノーベル医学生理学賞が、大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)に授与されることが決まりました。日本人のノーベル賞受賞は3年連続、米国籍を取得した人を含めて25人目で全員男性です。ノーベル賞と女性研究者の距離について、明治大教授の藤田結子さんのリポートです。

东京工业大学的荣誉教授(71岁)大隅良典先生,被授予2016年的诺贝尔医学生理学奖。至此日本人已经连续三年获得诺贝尔奖,包括拥有美国国籍在内的日本人已达25人获得诺奖,并且全是男性。因此,明治大学的藤田结子专门针对“诺贝尔奖距离女性到底有多远”一题,做了份详细报告。

◇妻サポートを美談に仕立てるメディア

◇媒体塑造妻子贤内助的美谈

受賞者は必ずと言っていいほど会見で「妻の献身に感謝している」と語ります。

几乎所有的诺奖获得者,在记者会上必讲的一句话就是“感谢妻子对我的支持”。

大隅さんは記者会見で、「(私は)いい家庭人だったとは言えないかもしれない」と、研究生活を振り返りました。朝から晩まで研究して、真夜中に帰るような生活をして、子どもたちが小さいときは向き合って遊ぶことはほとんどなかったそうです。

大隅先生在记者会上回顾他的研究生活,这样说道:“我想我不是一个合格的家人吧”。他从早到晚一直搞研究,几乎每天都是半夜才回家,在孩子们小的时候,很少陪他们一起玩耍。

2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智博士(81)も、「私は家庭のことは全く見ないで、研究に没頭する。そういう姿を見て、彼女は(私を)一生懸命支えようとしていた」と語り、妻の献身に感謝の意を表しました。

于2015年获得诺贝尔医学生理学奖的大村智博士(81岁)在记者会上对妻子表示感谢,说到:“我埋头研究多年,完全不顾家事,这多亏了妻子一直在身边全力支持我。”

15年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章博士(57)は「研究ばっかりやってたんですけど、それを我慢して許してくれた」、14年に物理学賞を受賞した天野浩博士(56)は「父親としては最低な自分に対して、(妻が)心の支えとなってくれた」と語ったことが報じられました。

于2015年获得诺贝尔物理学奖的梶田隆章博士(57岁),这样说道“我一直都是只顾研究,家人对于我这一点,也是完全接受并包容支持我”。于2014年获得诺贝尔物理学奖的天野浩博士(56岁)这样感谢妻子“我想我是最差劲的父亲,但是妻子一直在全力支持我”。

大隅さんの妻、万里子さんも、帝京科学大教授を務めた研究者です。東大大学院で知り合って学生結婚、息子2人を育てながら、夫の研究分担者も務めていたそうで、公私にわたるパートナーです。

大隅先生的妻子・万里子同样作为研究者,是帝京科学大学的教授。两人在东大大学院相识,并于学生时代结婚,育有两个儿子。万里子平时也帮丈夫分担研究任务,是事业和爱情上的双重搭档。

ノーベル賞を受賞するほどの研究成果をあげるのは非常に大変なことです。2人で協力し、それを成し遂げたことに尊敬の念を抱かざるを得ません。

能够研究出诺贝尔奖级别的科研成果,是一件相当辛苦的事情。对于两人的全力协作,不得不让人心生敬意。

それにしても、なぜノーベル賞を受賞した日本人科学者は全員男性なのでしょうか。

即便如此,为什么获得诺贝尔奖的日本人全是男性呢?

その最も大きな理由として、理系学生に占める女性の割合が低いこと(修士課程で理学22%、工学12%)があります。

最大的原因,是因为在理科生中,女性所占比例较低。(修士课程中理学女性比例22%,工学女性比例12%)

また各国の研究者に占める女性の割合は、アメリカ34%、イギリス38%であるのに対し、日本は15%程度にとどまっています。

另外在各国的研究者中,女性所占的比例为:美国34%、英国38%。相比之下,日本仅有15%

さらに、家事・育児は女性の役割という意識が根強い社会で、妻が全面的にサポートするという働き方が求められる状況も、原因ではないでしょうか。これでは、女性研究者が同じほどの業績をあげることは難しいでしょう。

还有,在日本社会中,女性负责家务育儿的观念根深蒂固,妻子一直被认为是丈夫的背后的支持者,也是原因之一吧。因此,女性研究者要想搞出同等水平的科研成果,应该困难重重。

子どもを持たないか、あるいは、献身的に家事・育児をやってくれる配偶者を探すしかありません。実際、それもなかなか難しそうです。

要么不带孩子,要么找一个愿意为自己献身做家务、抚养孩子的另一半。而实际上,这一点也很难。

この働き方が前提となるならば、いくら「リケジョ」(理系女子)を増やしても、競争に勝ち、栄誉を得るのは男性ばかりで、女性研究者がノーベル賞を受賞する可能性は非常に低いままでしょう。

如果以贤内助的工作方式为前提的话,无论理科女增加多少人,在竞争中获胜的、取得荣誉的也全都是男性,女性科研人员获得诺贝尔奖的可能性依然微乎其微吧。

そもそも、ノーベル賞受賞者の陰に妻の支えという美談は、メディアが受賞者やその妻に会見などで質問し、その情報をニュースとして加工して伝えたものです。

究其根本,诺奖获得者的背后有一位贤妻的支持作为美谈,是媒体对获奖者以及获奖者妻子的访谈,是作为新闻经过媒体加工后的信息。

女性記者や女性編集者が増えたとはいえ、テレビや新聞、雑誌などのメディア企業は今も、家に帰らず長時間働くことが武勇伝となる男社会です。メディアの中の人たちの多くは、家族のサポートを受けながら長時間労働をしているので、受賞者の妻の働きや支えを美談として受け止めがちなのでしょう。

虽然女性记者和女性编辑在不断增加,但是在电视新闻、杂志等传媒业,如今也是极力宣扬只顾工作不回家的励志故事的男权社会。多数传媒人都是一边照顾着家里,一边在外长时间工作。因此,把获奖者妻子的支持化作美谈,更容易让大众接受吧。

このような「妻の支え」に関するニュースが多く伝えられると、それが当然のこととして人々に認識されやすくなります。性別役割分担の標準化に、メディアが一役かっているわけです。

这种“贤妻的支持”的新闻一经广泛传播,那么大众也会把这种事情当做理所当然。在性别角色的标准化中,媒体的宣传起到了一定的作用。

ところで、妻たちは自ら進んで優秀な夫の仕事を支えているはずだ、という意見もあるでしょう。しかし、私はそこに葛藤があると思うのです。

话说回来肯定还有认为应该是这些妻子是自己心甘情愿支持优秀的丈夫的工作的。但我觉得这里肯定有她们所隐忍的成分。

アメリカの社会学者ホックシールドは、多くの妻たちが家事・育児分担をめぐって葛藤している状況を明らかにしました。妻たちは、夫が家事や育児を分担しないという核心的真実を、あいまいにするような現実認識を持つことで、離婚などの結末を回避しようとしているのです。この認識を「家族の神話」と呼びます。

美国社会学者霍克希尔德言明,多数妻子在做家务、抚养教育孩子的过程中,内心是充满矛盾纠葛的。妻子们深知丈夫不会帮忙分担家务这个事实,抱着这个现实觉悟,尽量避免出现离婚的后果。这种认识叫做“家族的神话”。

妻たちは心の奥底では「自分だけが家事・育児をしている」ことを不満に思っています。しかし一方で「夫は週末には子どもと遊んでくれるので、夫も分担・協力をしていることにしよう」と、現実をうやむやにする「神話」を作り出し、恐ろしい葛藤や対立を避けようとするのです。日本の夫婦にも同様の傾向が見られます。

妻子们从心底对于“自己做家务、抚养教育孩子”这件事,感到不满。但是另一方面,又说“丈夫周末带孩子出去玩儿,也是帮忙分担了家事。”营造了理想与现实的“神话”,来尽量避免家庭纠纷矛盾。可见日本的夫妻都有同样的心理倾向。

毎年、ノーベル賞の発表の時期、夫にはノーベル賞、妻には受賞者の妻の地位という栄誉がもたらされます。晴れの舞台である記者会見で喜びをわかちあう夫婦の姿は、感動的です。しかし、その背後には、妻の長年にわたる葛藤や、キャリアへの未練、そして「家族の神話」があったのではないでしょうか。

在每年公布诺贝尔奖的时期,都会出现这样一种情况,即丈夫获奖,妻子也跟着获得丈夫背后支持者的荣誉称号。在记者会上出现的夫妇二人互相扶持的幸福身影,着实让人感动。但是,在这背后,是妻子常年的心里矛盾、对职业生涯的留恋、还有极力维持的“家族的神话”。

上の世代の男性研究者の多くは、妻に家事・育児を支えてもらうことで研究に没頭し、厳しい競争を勝ち抜いてきました。少なくとも今後は、成功者はそういった家族の全面的サポートを前提とする長時間労働を、研究者の模範としてアピールするのではなく、新しい働き方を提案してほしいものです。

在上一代的男科研者中,大多数都是妻子帮忙照顾家事,自己才能心无旁骛的地研究,才能在激烈的竞争中脱颖而出。但至少在今后,希望不再是以全家的长时间付出为前提来搞研究,不再是以这种模式当做宣传手段,希望能够提出一种全新的夫妇工作状态。

国や大学が研究援助のための人員をより増やせば、研究者一人一人の労働時間も少しは減るでしょう。また、育児・家事援助サービスを提供することで負担は減ります。男性研究者・配偶者の意識改革も必要でしょう。

如果国家和大学增加了科研团队的人数,那么每个研究者的劳动时间就会相应减少了。另外,育儿家政服务的出现,也会减轻研究者的负担。看来需要改革男性研究者・配偶者的意识了。

大隅さんの受賞会見に同席した万里子さんが、研究者を目指す若い女性に向けて、次のような言葉を贈ったのが印象的でした。

此次,大隅先生的妻子万里子陪丈夫一同出席了颁奖见面会,她鼓励年轻的女性研究人员也努力争取诺奖。

「(私は)若気の至りで早めに結婚してしまったのですが、勉強は思う存分できる時代がある。きちんと勉強していればその後の人生はかなり違ったと思う。私は勉強することを放棄してしまったので、若い女性はチャンスがあれば仕事をして、できれば自分の幸せを実らせてほしい。そういう女性が増えているので、期待しています」

“我在年轻气盛的时候就结婚了,那是一个可以充分学习的时代。如果我当初把这段时间用来好好学习搞研究的话,那么我想我之后的人生会大大不同吧。我当初放弃了学习的机会,如果现在有机会的话,我希望如今年轻的女性能够把握住工作的机会,尽自己所能来充实自己。真心希望新一代女性不断增加。”

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