クドカン初の社会派ドラマ『ゆとりですがなにか』は、“ゆとり世代”の不安定さをどう描く?
宮藤官九郎的第一部社会派电视剧《宽松世代又怎样》描绘了“宽松世代”的不安定。
日曜夜10時から日本テレビ系で放送されている『ゆとりですがなにか』は、ゆとり世代と呼ばれる若者たちの姿を描いた社会派青春群像劇だ。脚本はクドカンこと宮藤官九郎。松尾スズキが主催する劇団「大人計画」に所属し、舞台、映画、バラエティなど様々なジャンルで活躍を見せる宮藤だが、彼の才能が最も発揮されるのは、やはりテレビドラマの脚本だろう。2000年に放送された『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系、以下、『IWGP』)以降、『木更津キャッツアイ』や『タイガー&ドラゴン』(ともにTBS系)といった若者向けドラマを執筆して、宮藤は新進気鋭の脚本家として高い評価を受け続けてきた。近年では2013年の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)の大ヒットが記憶に新しい。
日本电视台日十档播出的《宽松世代又怎样》,是一部描述当今社会被称作“宽松世代”的年轻群体的青春剧。编剧是宫藤官九郎,从属于松尾旗下的大人计划剧团,虽然他活跃于舞台剧、电影、综艺节目等各个领域,但是其才能发挥最淋漓精致的应该是在电视剧剧本上。2000年播出的《池袋西口公园》(TBS电视台,以下称为《IWGP》),此后又创作了面向年轻人的《木更津猫眼》、《虎与龙》(均播出于TBS电视台),宫藤作为新晋的人气剧作家,一直持续享有较高声望。近年来,2013年连载的电视剧《海女》(NHK)获得很大反响,至今令人记忆犹新。
「ゆとり世代」とは、2003年入学の高校一年生から改訂された学習指導要領の元におこなわれた「ゆとり教育」を受けた世代のことだ。ゆとり教育によって、学習内容は厳選され、授業時間が縮小されるようになり、学校は週休2日制となった。
“宽松世代”是指2003年高中入学那一届开始,实施修改后的学习指导要领,接受“宽松教育”的那一代人。依据宽松教育,严格选定教学内容、缩短上课时间、学校实行一周休两天的制度。
本作の主人公は、1987年に生まれた「ゆとり第一世代」に属する三人。営業職から系列店の居酒屋の店長に出向することとなった坂間正和(岡田将生)、正和がレンタルおじさん(吉田鋼太郎)に相談中に知り合った小学校教師の山路一豊(松坂桃李)、そして、二人を騙してぼったくりバーに誘いこんだ風俗店呼び込みの道下まりぶ(柳楽優弥)。彼らは今や、若い新入社員や教育実習生を指導する立場となっていたが、自分たち以上に、常識が通じない「ゆとり」な若者に手を焼いていた。
本剧的主人公是1987年出生的属于“第一代宽松世代”的三个年轻人。一个是从营业部门调到系列店的小酒馆出任店长的坂间正和(冈田将生 饰),另一个是正和在跟租赁大叔(吉田钢太郎 饰)的谈话中认识的小学教师山路一丰(松坂桃李 饰),还有一个是将他们两人骗到宰客酒吧的风俗店的招揽员道下万里部(柳乐优弥 饰)。他们虽然负责指导新入职员和实习生,但是还有比他们更加不懂常识的新一代“宽松世代“,让他们感到棘手。
まず、うまいと思ったのは、「ゆとり世代」を題材にしながら、大人と若者という安易な対立構造を選ばなかったことだ。ゆとり第一世代の正和たちは、上司からは「これだから、ゆとりが!」と怒られながら、90年代生まれのゆとりど真ん中の世代に苛立つという板挟みの立場にある。この大人でも若者でもないという、宙ぶらりんの不安定さは、今の宮藤の作風を考える上で、もっとも重要な要素だ。
首先,剧情的巧妙之处在于,虽然以“宽松世代”为题材,却避免了成年人和年轻人的简单的对立结构。身为第一代宽松世代的正和他们,一边被上司怒吼“正是因为这样,才说你们是宽松世代的!”一边被夹在90年代出生的新一代的宽松世代中间,处于左右为难、两头受气的境地。像这种既不是成年人,也不是年轻人,半吊子的不安定感,从如今的宫藤的写作手法方面考虑,是更加重要的要素。
第一話では、登場人物が一通り紹介された後、入社二年目の後輩・山岸ひろむ(太賀)が起こした発注ミスを、正和が叱る場面が描かれる。「初めて、ちゃんと叱ってもらったような気がします」と、その場では正和は感謝されるのだが、その後、山岸はLINEで退職届を一斉送信。その報告を正和が受けた直後、電車が人身事故で止まり、もしかしたら、山岸が飛び込み自殺をしたのではないか? という後味の悪い「引き」で次週に続く。
在第一集中,首先逐一介绍了出场人物,刚刚入职两年的后辈山岸(太贺 饰)由于自己的疏忽,引起订购错误,受到了正和严厉的批评。山岸感慨“这是我第一次被人好好地教训了一顿”,并想正和表示感谢。可在这之后,山岸在LINE上向公司的人群发辞职信。正和刚刚听到这个消息时,正好赶上一个年轻人卧轨自杀,他想卧轨的难道不会就是山岸吧?在这样的气氛下,观众开始期待下周的剧情展开。
『IWGP』以降、宮藤はポップなコメディテイストのドラマを作り続けてきた。『IWGP』で、宮藤の脚本の中にあるポップで毒のある笑いを、より倍増させた堤幸彦のジャンクな映像感覚は、『木更津キャッツアイ』を担当した金子文紀、片山修に引き継がれ、彼らと併走する形で、00年代の宮藤は新しいドラマを切り開いていった。
继《IWGP》之后,宮藤又创作了流行的喜剧式风格的电视剧。在《IWGP》中,比起宮藤的剧本里那些“有毒”的笑点,更为有看头的是堤幸彦所表现出的颓废感。他继承了金子文纪、片山修执导的《木更津猫眼》的风格,并与其并驾齐驱,开创了00年代宮藤的新剧风格。
しかし『ゆとりですがなにか』は、笑える場面は多いが、画面から受ける印象は実にシリアスで、今までのクドカンドラマとは違うものを感じる。チーフ演出は水田伸生。最近では『Mother』や『Woman』(ともに日本テレビ系)といった坂元裕二脚本の社会派ドラマで知られている。宮藤のドラマは、2003年の『ぼくの魔法使い』(日本テレビ系)以来13年ぶりだが、『舞妓Haaaan!!!』、『なくもんか』、『謝罪の王様』といった阿部サダヲ主演の映画でチームを組んでいる。宮藤は本作を「コメディ要素はあったとしても、今回はあくまで“社会派ドラマ”です」と言っており、以前から、水田が坂元と組んだ『Mother』のようなドラマをやってみたかったと語っている。(参考:4月15日ORICONニュース「宮藤官九郎、初の“社会派ドラマ”に手応え「新鮮」 得意技も封印し役者で勝負」)
但是在《宽松世代又如何》这部剧中,虽然引人发笑的场景很多,但从画面来看,给人很严肃的印象,和以往的宮藤的电视剧相比,大有不同。出演主任的水田伸生,因最近的坂元裕二创作的社会派电视剧《Mother》、《Woman》(均播出于日本电视台)被大众熟知。宮藤的这部电视剧,是继2003年的《爱的魔法使》(日本电视台)之后,时隔13年的作品,和阿部真夫主演的电影《舞妓哈哈哈》、《有泪不轻弹》、《谢罪的王子》等组成一个团队。 宮藤说“虽然有喜剧的要素,但这次是一部彻头彻尾的社会剧”,像以前一样尝试创作,水田和坂元合作的类似《Mother》一样的电视剧。(参考:4月15日ORICON新闻“宫藤官九郎的首部社会剧,将以往的‘新鲜感’的绝技封印,由演员决定胜败”)
そのためか、前クールに坂元裕二が手掛けたドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系、以下『いつ恋』)と、ついつい比較したくなってしまう。『いつ恋』の登場人物は2016年の時点で20代後半くらいだったが、年齢的には本作の主人公と、ほぼ同世代だろう。宮藤がどこまで、坂元を意識しているのかはわからないが、『いつ恋』で象徴的なモチーフとして描かれていた「人身事故で電車が止まる」という場面が、本作でも描かれている。『いつ恋』では、人身事故のアナウンスに舌打ちする人に対して、哀しい気持ちになる主人公の内面を、繊細で美しいものとして描いていたが、宮藤の場合は、SNSの反応や正和の妹・ゆとり(島崎遥香・AKB48)の「ちょっと勘弁してよ」という台詞に見られるように、少し突き放したニュアンスとなっている。
因此,上一季的由坂元裕二亲手执导的电视剧《想起这段恋爱时定会哭泣》(富士电视台,以下称《追忆潸然》),很自然的不想与其比较。《追忆潸然》的出场人物在2016年这个时间点来看,属于20多岁的群体,和本剧的主人公一样,在年龄上差不多属于同代人。不知道宮藤是不是或多或少受到坂元的影响,本剧也描述了《追忆潸然》中的象征性的中心思想的场景,即“由于交通事故导致电车停运”的场景。在《追忆潸然》中,人们对播音员的卧轨自杀咂嘴感叹,与此衬托,细致的描绘了主人公内心的悲伤之美。在宮藤的剧中,SNS上的反响以及正和的妹妹(岛崎遥香 饰)所说的“快饶了我吧”的台词中可以看出,两者细微的差别。
だが一方で、後輩が自分のせいで自殺したかもしれないという正和の不安は、ゆとり世代の問題は「決して、他人事ではない」という気持ちの表れにも思える。若者ではなくなりつつある正和たちは、自分より年下の繊細で傷付きやすい若者たちと、どのように向き合っていくのか。それは、新鋭若手作家として若者向けドラマを書き続けてきた70年生まれの宮藤が、中堅作家となった今、自分よりもはるかに若い「ゆとり世代」を、どのように描くのかという問題意識とも重なっている。
另一方面,正和担心后辈是不是由于他的原因而选择自杀,因此而不安。这份不安也表现了宽松世代的心理问题,即“这一定和我有关”的心境。像正和一样的已经不再年轻的群体,该如何跟比自己年龄小的、心灵更容易受伤的年轻人相处呢?这就是70年代出生的宮藤,作为新晋年轻作家创作的面向年轻人的剧。如今宮藤作为中坚作家,不断意识到如何描述比自己年纪小的“宽松世代”的问题。