【有声日语文学作品】386ヴィヨンの妻(45)
来源:沪江听写酷
2013-05-05 16:00
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ほんの三十分、いいえ、もっと早いくらい、おや、と思ったくらいに早く、ご亭主がひとりで帰って来まして、私の傍に寄り、
「奥さん、ありがとうございました。お金はかえして戴きました」
「そう。よかったわね。全部?」
ご亭主は、へんな笑い方をして、
「ええ、きのうの、あの分だけはね」
「これまでのが全部で、いくらなの? ざっと、まあ、大負けに負けて」
「二万円」
「それだけでいいの?」
「大負けに負けました」
「おかえし致します。おじさん、あすから私を、ここで働かせてくれない? ね、そうして! 働いて返すわ」
「へえ? 奥さん、とんだ、おかるだね」
私たちは、声を合せて笑いました。
その夜、十時すぎ、私は中野の店をおいとまして、坊やを背負い、小金井の私たちの家にかえりました。やはり夫は帰って来ていませんでしたが、しかし私は、平気でした。
才过了三十分钟,不,也许还不到三十分钟,店主人就独自回来了,让我大吃一惊。他走到我身边说:“夫人,太感谢你了。他终于还钱了。”
“是吗,太好了。全还了吗?”
店老板苦笑着说道:“是啊,昨天的钱全都还了。”
“他一共欠了店里多少钱啊?说个大概吧,再算少一些。”
“两万元。”
“两万就够了吗?”
“我可打了不少折扣了。”
“一定还。老板,从明天开始请让我在这儿干活吧?行吗,求你了!让我干活还债吧。”
“哎?夫人,那可是求之不得啊。”
我们二人相视而笑。
当 晚十点出头,我从中野的店铺下班,背着儿子,回到了小金井的家中。丈夫果然还是没有回来。可我却觉得无所谓。