PART2

四、次の文章の空欄に入る最も適当な言葉を、それぞれ後の①②③④から一つ選びなさい。  (10点)

環境問題( A )関心は日毎に高まりつつ( B )、市民の多くはものを捨てることに対して罪悪感を抱いている。使えるものは修理して使おうと思うのは当然である。( C )、現在の複雑な技術では容易なことではない。ちょっとした故障でも自分ではなかなか修理できない。( D )修理を頼むのは面倒くさい。大きく重い製品のために人に来てもらうのは面倒である。いつも必ず家にいるという家庭ばかりではない。修理に来てもらうために、家人が仕事を休まなければならない場合もあろう。修理代も安くはない。新品を買ったほうが安くすむこともある。( E )、ちょっと直せばまだ使えるのに、とやましい気持ちを抱きながら( F )のが現状ではないだろうか。地球環境のために、少しでも協力したいと思う市民の気持ちに、技術は応えていない。
捨てるということにおいても、技術は市民にとってわからないものとなってしまっている。多くの自治体でゴミの分別収集が行われ、地域( G )かなり細かく分けて収集しているところもある。物を捨てるときに、これは可燃ゴミか、不燃ゴミか、プラスチックか、あるいは金属として資源ゴミか、一体どのゴミに分類されるのだろうかと悩んだ経験はないだろうか。材質が何なのかわからない場合もあれば、一つの製品にいろいろな材料が使われていて分離できない場合もある。ここでも技術は市民の協力を拒否している。人々が、こうして技術に( H )ような気持ちになるのは少しも不思議ではない。このような経験が積み重なれば、やがて技術に対して不信感( I )抱くことになってしまう。

複雑でわかりにくい現在の技術を誰にも理解できるものにするのは、すぐには無理かもしれない。しかし、市民が多少なりともコミットできるように技術を変えることはできる( J )である。

A ①に対する  ②に対して  ③にとって  ④に関する
B ①おり   ②いる   ③あり   ④ある
C ①つまり   ②そこで   ③そして   ④しかし
D ①が    ②かといって  ③いわば   ④要するに
E ①それなのに  ②そうして  ③ああして  ④こうして
F ①捨てなくてもいい    ②捨てるにすぎない    ③捨てざるをえない    ④捨てて見る
G ①としては  ②によっては  ③においては  ④をぐめっては
H ①裏切る   ②裏切った  ③裏切られる  ④裏切られた
I ①ばかり   ②さえ   ③まで   ④だけ
J ①べき   ②こと   ③もの   ④はず

五、文章を読んで、後の問いに答えなさい。(2×5=10点)

この頃、①大学の卒業生名簿の職業欄に「フリーター」という記入例があるという。フリーター、つまりフリーアルバイター。臨時のパートやアルバイトで暮らすことが堂々「定職化」してきた?

先日の「労働白書」によると、定職を持たずにアルバイトなどで生活する若年層のフリーターが151万人になった。この5年間で50万人も急増し、昨年は大学新卒者の23%も占めた。多くは「仕事が合わない」などと自分で会社を辞めるケースだという。

夏目漱石の中編小説「それから」の主人公、長井代助は30になっても、職業を持たず、親や兄から金をもらって趣味的に生きる「高等遊民」だった。しかしそれでも親から義絶され生活資金を絶たれると、ついに意を決して電車に乗って仕事を探しに出る……。

ところが②現代の代助たちはとんと慌てることがない。多くは親のすねをかじるパラサイト(寄生している)フリーターで、アルバイトで金を稼いでは旅に出たり、遊びに興じたり。正社員に採用されるのはまっぴらという若者も少なくないという。

 一口にフリーターと言っても、本当にやりたい仕事を求めて模索しているものもいれば、ただ働きたくないというという理由だけのものもいるはずだ。しかし多くは「管理社会への反乱」とか「自分探しの時代」などといった言葉の虚飾に踊らされている。要するに( ③ )。 

しかしどう転んでも食べていける幸福な時代はいつまでも続くとは思えない。老親の世話や子育てや、年金保険金の支払いなどはできるのか。日本の生産力の将来はどうなるのか。社会を漂流する若者の行方が気がかりになってくる。(2000年6月30日『産経新聞』より)

(註1)白書:政府が発行する報告書
(註2)義絶:親が子供との縁を切ること
(註3)とんと:少しも
(註4)虚飾:実質が伴わないのに見た目だけを飾ること

問1.「フリーター」の説明として適当なものはどれか。

1.親の心配をよそに、旅行や遊びに興じるためにお金を稼ぐ人
2.自分に合う仕事を模索し、いろいろな仕事を経験してみる人
3.親や兄弟からお金をもらって、趣味的に生きる人
4.定職につかず、パートやアルバイトで生活する人

問2.①「大学の卒業生名簿の職業欄にフリーターという記入例がある」とは何を指しているか。

1.大学新卒者における「フリーター」の割合は増加して、社会的な問題にっているということ  
2.社会的に「フリーター」の存在を認めざるを得ないようになってきたということ  
3.フリーターが本来の意味を離れ、職業としての意味を持ち始めたということ  
4.ここ数年間で増加した「フリーター」は2割以上が大学卒業者であったとうこと

問3.②「現代の代助たち」とは誰のことか。 

1.大学新卒者  2.大学の卒業者  3.長井代助   4.フリーアルバイター

問4.(③)に入る最も適切な言葉はどれか。 

1.甘ったれなのだろう       2.まじめなのだろう  
3.難しい世の中なのだろう    4.自立心が強いのだろう

問5.筆者がこの文章で最もいいたいことはどれが。 

1. 近年、職業意識は変化してきており、正社員になりたがらない若者が多いのもそのためである。社会の構造変革なしに問題の解決はない。

2. 若ものは定職につかないのは、親がいつまでも子供の面倒を見てしまうことに問題があるが、社会を変えるきっかけにはなるかもしれない。

3. 自由に生活できるのは若者のうちだけであり、フリーターも一時的なら悪くないが、未来のことを考えて生きていくことを忘れてはならない。

4. フリーターという職業が社会で認められてきてはいるものの、若者は定職を持たないことは社会全体の大きな気がかりであるといえよう。