先日友人と東京・六本木に出かけたとき、おもしろいシーンに出合いました。芝生のエリアを鎖で丸く囲んで境目をつけていたのです。この日本人の気のきいた小さなユーモアは、私たちを深く感動させるとともに境界線を越えてはならないと警告しています。これはどんな強い言葉や高いよりも説得力があり効果的です。

前些日子我跟朋友到东京六本木去,看到了有趣的一幕。草坪用锁链围住,形成一个泾渭分明的界线。这一日本人机敏的小小幽默在深深打动我们的同时,也仿佛在警告我们不得越雷池一步。这比任何强硬的语言或高墙都更具说服力,更有效果。

実際、「無の哲学」や「少ない方がより効果的」という言葉は、日本人の生活のさまざまな場面で見受けられます。たとえば、日本の国旗は白地の中央に赤い丸だけがあり、いろいろと意味づけることが可能です。

实际上,“无的哲学”及“简洁更加有力”的说法,在日本人生活的方方面面都能得到印证。比如,日本国旗就是白底加上中央的红色圆形,可附会出各种象征意义。

もし日本の茶室庭園に行ったことがあれば、飛び石の上にワラビ縄やシュロ縄で十字に結ばれている関守石(止め石)を見たことがあるかもしれません。この石は飾るためでも、なまけ者の労働者が不注意で置き忘れたものでもありません。茶会が開かれていて、ここから先に行ってはいけないことを暗に伝えているのです。この方が、「芝生に入らないで下さい」という直接的な言葉の看板よりも心に訴えかけられ、アピールできます。

如果你去过日本的茶室庭园,可能看到过踏脚石上用蕨菜绳和棕榈绳所结成十字的关守石(止步石)。这石头既不是装饰,也不是工人偷懒不小心忘下的。这是在暗示前方在开茶会,不得再往前。这比“请勿踩踏草坪”这种直接的标语牌更加触动人心,更能传递信息。

茶室は通常、畳が敷かれ、しょうじがある和室で、家具などがまったく何もないコンテナのようです。しかし、もてなす側とお客双方の想像力がこの静かな空間に満ち、おだやかな雰囲気の中で美しい状況が心に呼び起こされます。

茶室通常是铺上榻榻米、有纸门的和室,家具全无,就像集装箱一样。但是,主人和客人双方的想象力会填满这一安静的空间,在恬静的氛围中,唤起心中魅力的图景。

近代化により、伝統的な和室は次第に少なくなりました。幸いにも、昨年実地調査で九州へ行ったときに、私は食事と宿泊が提供される伝統的な日本の民宿に泊まりました。そこで、日本の伝統的な建物の間取りを観察したり学んだりすることができました。

随着现代化的进程,传统的和室慢慢减少了。有幸的是,去年到九州实地调查时,我住在提供食宿的日本传统民宿。因此,有机会观察并学习到了日本建筑的传统房间布局。

私は床の間と呼ばれる空間に興味を持ちました。床の間は伝統的な和室に備え付けられた奥まった空間です。そこには書画の掛け軸や、生け花盆栽などが置かれています。ここに飾るものは慎重に選ばれ、その数は厳しく制限されています。

我对被称为壁龛的空间很有兴趣。壁龛是传统和室必备的里间,会悬挂书画挂轴,摆上插花或盆栽等。此处的装饰品需慎重选择,在数量上有着严格限制。

日本の習慣によると、最も大切なお客は背中を床の間に向けて座り、もてなす側はお客へ床の間の置物を見せびらかすこととなるのを避け、お客の反対側に座ります。一緒に行った日本人の友人は、床の間は和室には欠かすことのできない一部だと言いました。床の間は日本式建築の本質といっても言い過ぎではありません。

按照日本的习惯,最重要的客人要背对壁龛而坐,主人与客人相向而坐,以避免有向客人炫耀壁龛放置物品之嫌。同行的日本友人告诉我,壁龛是和室不可或缺的一部分。说壁龛是日式建筑的本质所在也不为过。

無の哲学はこの神聖な空間で特に反映されます。しょうじをつらぬく外の光が、静かな空間に置かれた選びぬかれた装飾品を照らし、次第に変化していく神秘的な雰囲気をつくり出します。その様子を想像してください。この狭くて何もない空間に言葉では表せない美しさを感じるでしょう。

无的哲学在这一神圣的空间里表现得特别明显。室外阳光穿过纸门,照到精心挑选的装点这一恬静空间的物品上,制造出一种渐次变化的神秘氛围。请想象这一场景。你能感受到在这狭窄而空无一物的空间里那无法言表的美丽。

日本人の考えでは、目立たない空間はたくさんの装飾品で飾られた空間よりも意味があり、すばらしく役立つようです。それは、あなたの意志を伝えるには装飾や複雑さよりも質素素朴さが適しています。つまり、「少ない方が効果的」ということです。

日本人认为不起眼的空间比用大量装饰品装饰的空间更有意义,效果出众。质朴和简素要比装饰性和复杂性更能传达你的想法。这就是所谓的“简洁更加有力”。

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