2  湖南省の「211工程」大学のビジネス日本語教育の現状 

2.1 調査概要

湖单省の「211工程」におけるビジネス日本語教育現状、学生によるビジネス日本語の授業への評価(授業全体、教材・参考資料、授業方法、学生の学習姿勢などについて)と学生がビジネス日本語授業への希望や意見などを知ることを目的として、アンケート調査を行った。
インタビューによると、湖单省の三つの「211工程」大学 には全部ビジネス日本語の授業があるという。しかし、日本語学科の発展歴史と教師力、発展方向などに差があるので、開設する課程数量と名称は同じではない。

湖单大と中单大は「ビジネス日本語」という課程を開設している、師範大は「ビジネス日本語」ではなく、「日本企業の経営管理」というビジネス日本語と関係ある課程しか開設していない。湖单大に「ビジネス日本語マナー」「ビジネス日本語会話」と「日本概況」「日本文化」など日本への理解を高める課程が設けられる。

各大学のビジネス日本語の課程の内容が同じではないが、全体的に比較する、調査する価値があると思われるので、代表として、湖单大と中单大の「ビジネス日本語」・師範大の「日本企業の経営管理」を選んで、調査を行った。
実施時間:2011年4月21日から2011年4月26日まで
調査方式:調査用紙への記入(無記名)
調査対象:湖单大の日本語学科 3年生全員
師範大の日本語学科 3年生全員
中单大の日本語学科 3年生全員
各大学に配り、回収し、分析に利用した調査用紙の数量を表2.1.1で表す。

表2.1.1 調査用紙の数量

 

配布量

回収量

回収率

利用率

湖南大

80

75

93.75%

93.75%

師範大

60

57

95%

95%

中南大

26

25

96.15%

96.15%

合計

166

157

94.58%

94.58%

2.2 調査内容

各大学のビジネス日本語の授業アンケート(1番目の問題から20番目のに①②③④⑤で点数(満点5点)をつける)と学生がビジネス日本語授業を受けた後の感想、授業への希望や意見などを知るため、二つの部分を分けてアンケートをデザインした。第一部分と第二部分の内容は表2.2.1と表2.2.2に表れている。

表2.2.1 アンケートの内容(第一部分)

項目

番号

内  容

得点

項目

番号

内  容

得点

授業全体について

1

シラバスの到達目標の達成

 

教材

配布資料について

12

内容が価値を持っているか

 

2

シラバスが授業の履修に役立ったか

 

13

教材の難易度

 

3

授業はよく理解できたか

 

14

マルチメディア・生徒用学習ソフト・ダウンロードデータは充実か

 

4

授業分野への意欲が高まったか

 

15

教材に興味を持っていたか

 

5

授業の難易度は適切だったか

 

16

副教材と補助教材の利用

 

6

この授業に満足したか

 

 

 

授業方法について

7

授業の進度は適切か

 

学生の学習姿勢について

17

どの程度出席したか

 

8

教員の話し方は適切か

 

18

真剣に授業をうけたか(予習・授業中・復習)

 

9

教具、設備は適切か

 

19

授業に関する自己学習はどの程度

 

10

板書・資料提示は適切か

 

20

自分の姿勢に満足したか

 

11

意見や質問への対応

 

 

 

2、今まで、授業で利用していただいた教材の情報をお書きください。

書  名

編 者

出版社

出版時間

使う時間

3、全体として学校に開設しているビジネス日本語課程が充分だと思いますか。

A.とても充分。学びたい内容が全部含まれ、自分のレベルを超えた挑戦的なのもある。

B.充分。学びたい内容もあるし、難易度も適切であった。

C.尐し足りない。内容が浅すぎ、必要なのに開設されていない課程もある。

D.全然足りない。本当に役に立つ課程がないとも言える。

4、今開設しているビジネス日本語授業を全部受けて、会社でビジネス日本語に関する仕事ができると思いますか。

A.すぐできる。

B.しばらく練習すればできる。

C.長い時間練習すればできる。

D.どうしてもできない。

5、ビジネス日本語の課程を受けましたが、予想した効果に達成できなかったのはなぜだと思いますか。最も大切な原因をお選びください。

A.カリキュラム・シラバスが科学性、全体性と深さに足らないので。

B.授業の方法がよくないので。

C.先生のビジネス知識と能力が足りないので。

D.教材、教育設備がよくないので。

E.勉強不足・興味ないなどの個人的な原因で。

F.予想した効果に達成できた。

6、いつ日本語学科をビジネス日本語などの専門分野に分けるのが一番良いと思いますか?

A.一年生の時(a前期・b後期)が良い。

B.三年生の時(a前期・b後期)が良い。

C.二年生の時(a前期・b後期)が良い。

D.必要ない。

7、最近、自分でご使用されたビジネス日本語参考書について、ご指導用教材として特に評価している参考書があれば、その書名(編者・出版社)と理由をお書きください。

8、ビジネス日本語教育にご意見がございましたら何でも自由にお書きください。

2.3 調査結果

表2.3.1における授業の平均点とは、①=5点、②=4点、③=3点、④=2点、⑤=1点とした時の学校平均点になる。三つの学校の第一部分の結果は次の図2.3.1(三つの学校の平均点)、図2.3.2(湖单大の平均点)、図2.3.3(師範大の平均点)、図2.3.4(中单大の平均点)に表れている。  

図2.3.2、図2.3.3、図2.3.4に表しているよう、1番目から20番目まで、湖单大の全体の平均点は4.1915に達する、その中で最も高いのは8番目と11番目の4.56点であり、後は17番目の4.5点である。数値の低い三つは16番目の3.31点、13番目の3.76点、20番目の3.8点である。
師範大の全体の平均点は3.087で、その中で最も高いのは3番目の3.46点、13番目の3.35点であり、後は8番目の3.33点である。最も低いの三つは20番目の2.61点、6番目の2.7点、16番目の2.72点である。

中单大の全体の平均点は3.818に達する、その中で最も高いのは3番目の4.4点、12番目の4.24点であり、後は5番目の4.12点である。最も低いの三つは20番目の3.04点、16番目の3.32点、19番目の3.48点である。

三つの学校の得点をみれば、最も低い三つの問題が6番目、16番目と20番目であるとはっきり分かる。つまり、学生たちはビジネス授業や副教材・教材や自分の学習姿勢への満足度が低いと思われる。全体として、授業方法への満足度が最も高く、教材への満足度が最も低い。

各学校の第二部分の3番目・4番目・5番目の結果を図2.3.5に表す。

 図2.3.5から、三つの学校の大部分の学生(湖单大66.67%、師範大50.88%、
中单大36%)が今開設しているビジネス日本語課程が尐し足りないと思るのが容易に分かる。ビジネス日本語の授業効果については、湖单大66.67%、師範大30.67%、中单大48%の学生は授業を受けて、長い時間練習すれば会社でビジネスに関する仕事ができると思っている。そして、湖单大30.67%、師範大14.04%、中单大36%の学生がしばらく練習すればできると思っている。中单大16%(5名)の学生を除き、湖单大と師範大にすぐできると思う学生がいない。
図2.3.5から見れば、今、湖单省のビジネス日本語課程が尐し足りない、授業の効果も普通であると考えられる。

ビジネス日本語授業が予想した効果に達成できなかったのはなぜであろうか。図2.3.5によると、湖单大32%のは個人的な原因、25.33%のは教材・教具、21.33%のはカリキュラム・シラバスがよくないと思う、師範大の38.6%のは授業方法、33.33%のは教材・教具、21.05%のはカリキュラム・シラバスがよくないと思う、中单大28%のは教材・教具、20%のはカリキュラム・シラバスがよくないと思っている。

各方面からアンケート結果を分析しようと思う。まず、三つの学校の「ビジネス日本語」授業の情報を表2.3.4を通して紹介する。

表2.3.4 三つの学校のビジネス日本語授業の情報

   

課程名称

教  材

授業で使う言語

時 間

試験方式

湖单大

ビジネス日本語

日本語で働く!ビジネス日本語

日本語

三年生の後期

口頭試験

師範大

日本企業の経営管理

自作した資料

中国語

三年生の後期

固定していない

中单大

ビジネス日本語

ビジネス日本語最前線

日本語と中国語

三年生の後期

口頭試験

直観的に結果を見れば、湖单大の得点は最も高く、師範大の得点は最も低い。しかし、湖单大のビジネス日本語課程が最も良い、師範大のがよくないとはいえない。各大学の学生は自分への要求に差があるので、実際に良いが、自分はよくないと思う可能性もあるのではないでしょうか。そして、平均点を通して結果を評価するのは容易で、よく統計に使われているが、最も科学的な方法にかぎらない、特に今度の調査された中单大の三年生全員は26名で、湖单大の80名と師範大の60名とかなり違いがある。湖单大では、ビジネス日本語の授業でアンケート調査をしたが、師範大・中单大の調査は友人に頼んで、ほかの授業で行った、調査者の私は湖单大学出身であり、集計状況などにそれぞれ差異があるので、結果に尐なくとも影響があるはずである。

以上に述べた主観的な原因を考えても、全体として、今度のアンケート調査の結果は湖单省の「211工程」大学のビジネス日本語教育の現状を把握するのに参考価値があると思う。