声明:以下内容仅代表作者个人观点,仅供参考。

「ちょっと、ご不浄へ行ってくるわ。」そう言ってM先輩は、お茶の途中で席を立った。きょとん?とした20代のコに耳打ちする。「ご不浄って、トイレのことよ。」「へぇ~、そんな言い方があるんですかぁ~。」M先輩は30代の女性だが、時折りこんな古き良き日本語を使うのだ。

“我去下不净之地。”茶会中,M前辈说了这样一句话后离开了座位。那二十来岁的年轻人听完愣住了,我在他耳旁低声解释道:“不净之地指的是厕所啦。”“啊~还有这种说法~”M前辈是个三十多岁的女人,偶尔措辞会有些古色古香。

そういえば、別の飲み会の席では男友達が「ちょいと、厠(かわや)へ。」などと言ってトイレに立つこともあった。「ご不浄」に「厠(かわや)」かぁ。ふむふむ、トイレを指す日本語は、改めて数えてみると、実にバラエティ豊かである。他にも「雪隠(せっちん)」、「手水場(ちょうずば)」「憚り(はばかり)」「思案所」。普段使わないものの、昭和40年代生まれの私だって聞いたことはある。「思案所」だなんて哲学的でちょっと素敵。現在、一般的な表現は「お手洗い」「便所」「化粧室」といったところだろうか。

说来,在别的酒会上,一个男性朋友在去厕所前曾说了句“我去如厕”之类的。又是“不净之地”又是“茅厕”啊。嗯嗯,我再一数日语中的厕所代名词,还真是挺多样的。除了刚才那俩,还有“雪隠”、“手水場”、“憚り”、“思案所”。这些说法人们平时都不会用,不过昭和40年(即公元1965年)出生的我倒是有听说过。“思案所”这词颇有哲学味道,挺妙的。现在用的最多的就是“お手洗い(洗手间)”、“便所(厕所)”、“化粧室(化妆间)”这几个了吧。

そんなことを気にしながら、デパートをぶらぶらしていたら、トイレ案内の表示が目に入ってきた。「化粧室」の表示である。文字の横には見慣れた赤と黒の人型のイラスト。言うまでもなく、赤が婦人、黒が紳士だ。でも、まてよ。男の人は「化粧室はどこですか?」などと言ったりはしない。それなのに表示は男女まとめて「化粧室」。よ~く考えてみると、なんだか少し変な気がする。

我边想着这些事边在商场闲逛,这时一块厕所指示牌映入眼帘,上面写着“化粧室”。文字旁边标着我们很眼熟的红黑小人。不用说都知道,红色小人为女士,黑色小人为男士。哎,等下,男士们并不会问“化妆间在哪”之类的吧。然而指示牌却将男厕女厕统称为“化妆间”。仔细想想总觉得有点怪。

そういや、日本語だけではなく英語の「パウダールーム」も「化粧室」。パウダーは粉おしろいの意味を持つから、直訳すると「粉おしろい部屋」といったところだが、「トイレ」を意味する言葉である。ただし、「パウダールーム」は女性用のみに使うのだとか。確かに日本も欧米も、トイレには化粧直しのスペースが併設されていたりして、化粧室と名乗るにふさわしい。それでは、他の国ではどうなのだろう?

这么一说,其实不仅仅日语是这样,英语中的“powder room”也是“化妆间”。powder有香粉之意,虽然直译过来是“香粉间”,但其实指的是“厕所”,不过据说它是女士专用的。确实,不管是日本还是欧美,都会在厕所里同时设置补妆台,所以叫化妆间还是挺合适的。那么,其他国家又是怎样的呢?

「インドでは、トイレを指す言葉はひとつです。」インド人の日本語学習者に訊ねた答えがコレ。余談だがインドには公用語のヒンディー語の他に、英語をはじめとする準公用語がなんと17もある。地域独自の言語が存在するのだ。地域独自といっても、せいぜい日本の関東と関西の言葉の違い程度でしょ?と、たかをくくったら大間違い!全く異なる言語で、インド人同士でもわからないのだそう。地域其々の言語に「トイレ」を指す言葉があるのだが、日本の「化粧室」「便所」といったバリエーションはないとのこと。

“在印度,指代厕所的词语只有一个。”来自印度的日语学习者给了我这样的答案。顺便提下,印度的通用语除了印地语以外,还有以英语为代表的其他准通用语,全部加起来竟有17个之多。因为各个地域有他们自己的语言。就算是地域方言,其差别充其量也就是像日本关东关西用语那样吧。如果你这么想就大错特错了!它们之间完全不同,据说连印度人自己都不明白。虽然各地方言中都有厕所代名词,但却不像日语中的“化粧室”、“便所”这样富于变化。

婉曲表現といえば、フランス語では「トイレ」を「プチ コワン」とも表現する。「ちょっとした片隅」という意味だ。なんだか上品な感じがして好感を持ってしまう。ちょうど、日本語のトイレを指す表現のひとつ、「憚り(はばかり)」にも似た印象を受ける。憚る(はばかる)=遠慮する、に由来する「憚り(はばかり)」といい、冒頭に記した「ご不浄」といい、トイレを意味する日本語には、感情的な意味合いが込められた表現が目立つ。

说到厕所的委婉说法,法语中也有这样一个表达,“petit coin”,意为“小角落”。总觉得这词很雅致,让人不由得产生好感。刚好日语中有个厕所代名词也让我留下过类似的印象,那就是“憚り”。表示厕所之意的这些日语词中,不管是源于“憚る”(意为顾忌)的“憚り”,还是开头提到的“ご不浄”,都饱含感情,类似这样的表达很是显眼。

最近の日本のトイレ事情は急カーブで向上した。横浜は公衆トイレ発祥の地とも称されているが、横浜の駅のトイレもデパート並みだ。そのピッカピカの横浜のトイレで、最近がっくり肩を落としてしまう会話を耳にした。レベルアップしたトイレにて、化粧直しに余念のない二人組の女子高生。そのうちの一人が、鏡の中の友達に向って一言。「私、おしっこしてくるね~。」やれやれ。言葉の方はすっかりレベルダウンしているようだ。日本語の「トイレ」の呼称が多いのは、いつの世もトイレを直接的に表現するのをためらう日本人の気持ちが作用しているからではなかろうか。奥ゆかしさから生まれた、トイレの様々な言い回し。かなり時代錯誤ではあるが、M先輩の「ご不浄へ行ってくるわ」という発言は、そんな日本文化の香りがする。ふと、今度使ってみようかな、などと思った。

近来日本厕所业急剧发展。横滨作为公共厕所的发祥地,车站厕所都建得跟商场的没什么差别。就在这光洁如新的厕所里,我听到了让人无力的对话。在变高级了的厕所中,两个女高中生埋头补妆。其中一人对着镜子中的朋友说了句:“我去尿尿哦~”哎呀呀,说出口的话好像完全掉了个档次嘛。不管在哪个年代,日本人都羞于去直白地表达上厕所这事,正是在这种心境的作用下,日语中才会有如此多的厕所代名词吧。多种多样的厕所用词都源于这种文雅。虽然M前辈的那句“我去下不净之地”已经相当落伍了,但依然荡漾着日本文化的馨香。我突然觉得,改日可以一试呢。

从“音姬”看日本人对厕所的执着

声明:本双语文章的中文翻译系沪江日语原创内容,转载请注明出处。中文翻译仅代表译者个人观点,仅供参考。如有不妥之处,欢迎指正。